宝印刷D&IRに「ビジネスと人権」に関する論稿を掲載いただきました。
SBIと新生銀行が今後の新生銀行の経営支配権について合意に至ったため、新生銀行は買収防衛策を撤回し、25日の臨時株主総会は中止、SBIのTOBに対して反対意見を中立意見に変更することが報じられています。「銀行初の敵対的買収は一転して幕切れの公算が大きくなった」とメディアが報じていますが、これは国or監督官庁(金融庁)のシナリオ通りではないでしょうか。後出しジャンケンのような物言いで恐縮ですが、そもそも議決権行使の結果および理由を金融庁自身が国民に向けて説明する、ということは「ほぼない」と思っていたので、私個人としては予想どおりであります。
さて、宝印刷さんの「D(Disclosure)&IR」2021年11月号に、拙稿「もはや『沈黙』では済まなくなった『ビジネスと人権』への経営判断」を掲載していただきました。「ビジネスと人権」という言葉が企業社会で独り歩きしているようにも思いますが、実は様々な背景があって、いま「ビジネスと人権」に注目が集まっている、その背景を理解しなければ企業としての重要な経営判断は困難である、といった趣旨の論稿となっております。
本日も日経ニュースにおいて「ESG時代の独禁法、環境保護の連携はカルテルか」といったテーマで有識者の意見が掲載されておりましたが、これも環境問題と人権(消費者保護)のバランスをどう調和させるのか、といった視点から検討されるべき問題であり、諸外国の人権思想、環境問題の「実質ルール」と「救済ルール」に配慮した解決策が求められる重要課題です。正解を見つけるということよりも、社会的な課題解決のための良質な問いを見つけて、自社がこれにどう対応するか、そのプロセスを社会に示すことが(これからの経営判断には)必要ではないかと。
データに基づいた解析を中心とした論稿、最先端の著作、論文を多数引用して近時の法・会計ルールの解釈を世に問う労作等、多くの秀逸なご論稿が掲載される中で、拙稿はひときわ「ゆるい」です(笑)。いや、ホントにお恥ずかしいほどユルい。その分、見開き8ページにわたって読みやすいとも言えますので(笑)、「D&IR」をお手に取る機会がございましたら、ぜひご一読いただければ幸いです。
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コメント
バーチャルウォーターという言葉に象徴される国内の輸入産物類には、原産地などの水資源の大量消費負担が根底にあり、最終的に先進国の栄華が形成…それが遠方になればなるほど、環境負荷や、資源確保に携わる現地の人達の過酷な労働などが、消費国/エンドユーザーには見えにくいのが現状です。
人権問題報道が増えている中国。来年の北京五輪では、政界では「外交的ボイコット」という言葉がメディアに流れていますが、五輪を支える巨大企業=スポンサーの動向は如何に?今年の東京五輪ではコロナ問題が焦点でしたが、今後の五輪は何が問われるでしょう。
国内では、与党政府の人権問題対策等が不十分だと主張して来た野党第一党の党首選挙が行なわれ、電器労連含む連合との関係構築が、(原発の是非と絡めて)焦点の一つとして、有権者の関心が高まっています。
(例えば…原発是非論と、人権は無縁でしょうか?)
脱炭素視点から懸念されている石炭火力発電所の稼働には、地球温暖化問題から、ある程度解りやすく、ビジネス界からもESG投資の方向性は明確になりつつありますが、国内電力の一定割合を原発に依存する我々は、原発を稼働するに不可欠な鉱物資源産出国の人権に対し、目を向けないままで良いのでしょうか?と、新たなコロナウィルス/変異の「オミクロン株」が、国内でも感染者が確認された報道と併せて、考えさせられています。
日本原子力産業協会が今年2月付で報告している「ウラン2020-資源、生産、需要」のデータでは、世界の既知ウラン資源の上位に、ナミビア国が記載されています。
先日、国内最初のオミクロン株感染者は、上記ナミビア国の外交官との報道から、この国と、国内電力業界/政府との関係は如何に?と思いました。(来日目的の真意など、一般庶民には知る由もありませんが)
途上国で過酷な生産を強いてきた衣料業界/企業が岐路に立たされているのと同様に、もしかしたら、ウラン産出国の現地住人達が、先進国の電力需要を満たす為に劣悪過酷な労働条件に晒されているとしたら…。
一般的な人権問題=職場における、上下関係でのハラスメントや、性的差別対策も人権議論なら、グローバル社会に生きる我々の生活/ビジネスの原資調達先にも配慮するのも人権…これは決して、かつての植民地政策を展開して来た欧米諸国や多国籍企業だけの責任ではなく、むしろ考え方によっては、エンドユーザー/輸入国としての電気の使い方と調達方法など、我々が新たな責務を考える岐路に(新時代へと持続させる意味でもグローバル企業と対立するだけではなく)、コロナウィルス変異株対策と併せた視野視点の拡大が求められていると思うのは私だけでしょうか。
国レベルの議論に耐え得る、しっかりと根づく、さらに高い説得力を備えるビジネス法整備も不可欠と思っています・・・。
投稿: にこらうす | 2021年12月 1日 (水) 12時42分