中央経済社「ビジネス法務」2022年3月号に拙稿を掲載いただきました。
中央経済社「ビジネス法務」の最新号(2022年3月号)に「2021年に起きた企業不祥事とコンプライアンス強化へ向けた示唆」と題する論稿を掲載していただきました。
この「企業不祥事モノ」は、毎年恒例で掲載いただいておりますが、今年は情報漏えい事例、品質偽装事例、メガバンクのシステム障害事例、その他、社員による不正によりグループのレピュテーションが毀損された事例などを取り上げ、「誠実な企業の誠実な社員が不正に走るには、それなりの【正当化理由】がある」として、その【正当化理由】を分類してみました。実は「正当化理由」は事案ごとに異なるもので、そもそも分類するということがむずかしいのですが、あえて「似たもの」をまとめてみました。
また、「不正に走る」と書きましたが、コンプライアンスが「法令遵守」を超えて「社会からの要請に適切に対応すること」を包摂するようになったため、「不正に走る」とは社員が法令違反行為に走ることだけでなく、役職員が「社会からの要請に不適切に対応すること」も含みます。したがって、法令違反行為に対して社会の批判が集まる場合もあれば、その法令違反行為への役職員の向き合い方に批判が集まることもあり、むしろ後者のほうが「企業の信用毀損」という意味では重要ではないかと思います(そのあたりが、なかなか理解されにくいところかと)。この後者にも「正当化理由」は存在するからこそ、不祥事予防はむずかしい。
役職員は「勇気」や「正義」に頼っていても不祥事はなくならない、という点も「心理的安全性」や「認知的不協和」といった組織心理学の視点から分析をしています。無理に不祥事をなくそうとせず、むしろ「不祥事と上手に付き合っていく」ほうが、持続的成長が求められる時代の不祥事対応としては、企業の正しい姿かもしれません。上記3月号は「株主総会2022」や「M&AにおけるPMI入門」など、しっかりした特集記事が掲載されておりますので、勉強の息抜き(?)にでもお読みいただければ幸いです。
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