公益通報者保護法に基づく事業者等の義務への実務対応
3月14日に公表されたグローリー株式会社(東証1部)の社内調査報告書を読みますと、グループ会社の経理担当者が21億円も着服横領できる体制(グループ会社の内部統制の不備)というものは本当におそろしいなぁと思いますね。しかし、いくら経理の属人性がやむを得ないものであったとしても、10年以上も犯罪行為を繰り返していた担当者の「立ち居振る舞い」には「気配」はなかったのでしょうか?急に身なりが贅沢になったり、ギャンブルの話をするようになったり、生活が派手になったり。上司が銀行口座の取引明細を確認して発見したときの驚愕が目に浮かびます(以下本題です)。
さて、改正公益通報者保護法の施行を目前に控えまして、たくさんの事業者の皆様よりご相談を受けるようになりましたが、今回は法律の性格が少し変わりましたので(民法の特則的性格+行為規制的性格)、ご理解いただくのはなかなか難しい。
ただ「難しい」と言ってるだけでは、企業が行政処分の対象になったり、役職員が刑事罰を受けるリスクが現実化するかもしれず、せめて「内部公益通報対応体制の整備・運用」と「対応業務従事者の決定」に関する方針だけは5月の取締役会までに決議をしておきたいところですね。ちなみに2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂に関する金融庁パブリックコメントにおいて、原則2-5の「内部通報に係る適切な体制の整備」にあたっては、令和2年の公益通報者保護法の改正が施行されれば、当該改正内容も踏まえてご対応いただくことが考えられます、と「考え方」が示されていますが、体制整備方針や従事者決定方針は施行前に「その他の重要な業務執行の決定方針」(会社法362条4項柱書)として、取締役会決議を経て定めておくべきではないかと。
ということで、改正公益通報者保護法への企業の実務対応として、いま読んでおいて間違いないのが「公益通報者保護法に基づく事業者等の義務への実務対応」(中野真弁護士著 商事法務2022年3月12日発売)です。消費者庁での法改正及び指針案の策定を担当された中野弁護士(現在は渥美坂井法律事務所・外国法共同事業に所属)のご執筆によるもので、消費者庁による「指針の解説」を詳しく解説されていて、たとえば上記のように「せめてここまでは取締役会における決議が必要ではないか」と、あまり誰も触れてこなかった論点にもズバリ触れておられます。「指針の解説」といっても、単なるガイドラインの解説ではなく、法令違反になるかならないか、という重要な点の解説です(この点すら、まだあまり理解されていないのです)。
企業の顧問弁護士をされている同業者の皆様も、問い合わせへの対応に難儀しているかもしれませんが、ぜひ事業者の義務に照準を合わせている本書をご一読いただければ、なんとか対応できそうな気がいたします(私も、グループ通報制度への改正法-指針を含め-の適用問題をはじめ、企業側の数々のご質問への回答に苦悩しておりますので、活用させていただきます)。
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コメント
(日に日に増大する、ロシア国軍の、ウクライナ国侵攻ですが…)
かつての同国領土だった地域が、ソ連崩壊を機にウクライナ独立となって数十年経過し、対立する双方の言い分の本質など、遠い異国で見聞する報道の類いを一体どこまで信用出来るのでしょう…と思いつつ、芸能人各氏が声高にワイドショーで安全保障問題を(好き放題に)主張している現状…かと。
そんな折、ロシア国営放送の生放送中に、制作に携わるロシア人女性が、「ロシア国内のプロバガンダ報道に騙されないで」という様な紙を、ニュースキャスターの後ろで、戦争反対記述と共に視聴者向けにメッセージを掲げた事が波紋を呼んでいる様です。
ロシア国内の法規に違反する行為だとして罰金などが科せられたそうです。彼女本人も、逮捕拘束も覚悟の上だったとか。
つまり、これも一つの「内部告発」だとすれば、ロシアにおける(同等の社会主義国家視点でも)公益通報者を保護する法規類はどこまで存在/機能しているのかな?と思ったりしています。
(例えば、国内の民放やNHKで同等の行動が発生したら…?)
仮に、朝昼のワイドショーや、ニュース番組の時間帯で、テレビ業界の内幕や、出演者のウラの顔:大麻所持や覚せい剤使用などを暴露するディレクターが出て来たり…とか。そういう際の、告発した当事者を保護する法律は何処まで、今回の改正で適用されるのでしょう。
民放における、スポンサー企業の不正や役員の汚職とか、NHKにおける出演者忖度=受信料原資の下での、一部の芸能事務所への過度な番組予算配分とか。かつての読売新聞投書欄でも、お笑いタレントが、NHKの教育番組まで「侵攻」出演が多発している事への危惧記事などに触れると、「同じ穴の狢」的な中で新たな事件事故にドサクサ紛れになっている実態が、角界や日大、広島議員汚職と同等かそれ以上の問題が潜んでいる…?
私はテレビ局の類の株は所有していませんので有報等を見る機会は少ないものの、毎日の様に世の悪事を追求/報道しているメディア自体が、実は公益通報保護法にビクビクしている重役達で蔓延しているとしたら、残念な事です・・・。
投稿: にこらうす | 2022年3月17日 (木) 09時02分