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2022年10月25日 (火)

金融庁・企業会計審議会委員を拝命いたしました(J-SOXに改訂はあるか?)

さて、少し遅くなりましたが、金融庁の企業会計審議会委員を拝命いたしましたので、お知らせいたします(正確には「内部統制部会の臨時委員」です)。2008年施行以来の内部統制報告制度(いわゆるJ-SOX)の改訂(の要否ならびに改訂内容の審議)に関わるものでして、企業実務的にも大きな影響が出るものと思われます。

このブログでも10年以上前から「これはおかしな運用ではないか?」と疑問を呈していたところ(たとえば当ブログ2013年10月17日「法令違反が放置されている内部統制報告制度の運用」をご参照ください)も漸く改訂の検討がなされるということで、委員としても積極的に意見を述べたいと思います。その他、金商法と会社法の考え方の相違がよく理解されないままに議論されている課題もいくつか散見されますので、法律家の視点から意見を述べたいと思います。

施行から14年、15年経過後の改訂作業なので、各界から様々な改正要望が出されるようですが、金商法を改正しなければ改訂できない課題については時間的な余裕もないはずです。したがって、今回は基準、実施基準を改訂することで制度趣旨と乖離した運用を少しでも解消できる範囲に留められるのではないか、と(個人的な意見として)予想しております。ただ「今後の課題」もまとめられると思いますので、今後は頻繁に見直しの機会を設けて、法改正が必要な課題についても実質審議ができるような状況になれば・・・と。

「『今年中にとりまとめ』って、そんな短時間で何が審議できるのか?」といったご意見もありそうですが、最近の審議会では(民間有識者を含めた)事前の検討会や勉強会も盛んですから、そこでおそらくいろんな議論がなされたのかもしれませんね。知らんけど・・・(#^.^#)しかし2010年前後のブログを読みかえしますと、ホント元気がありましたね。。。

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コメント

山口先生、

かなり以前にですが、先生が講師をされていたセミナーに参加し、セミナー後に名刺交換をさせて頂いたことがあるソフトバンクの阿部と申します。
そのセミナーは確かコーポレート・ガバナンスに関するものだったかと記憶しており、セミナー後に私から「J-SOXの全社的な内部統制と、コーポレート・ガバナンスの違いをどう考えるべきか」といったことを個別にご質問させて頂いた記憶があります。その節はお世話になりました。

今回の内部統制部会での審議項目の中に「内部統制の基本的枠組み」があり、おそらくその中でコーポレート・ガバナンスと内部統制の関係性を見直されるのではないかと期待しており、そうであれば、実施基準に記載されている42個の例示の統制項目を見直されるべきだと思っております。J-SOXの実施者(各企業の内部監査部門や内部統制部門)が、取締役会や監査役等の統制活動を評価するのは、どうにもコーポレート・ガバナンスと内部統制の区分けが適切では無いと考えられるからです。

またDX/AIといった言葉が世間で盛んですが、例えばAIが統制活動を担っている場合にどう評価すべきか、評価する際にAIを使う場合にどのような使い方が許容されるか・されないか(特にランダムサンプリング等で)といったあたりも時代に合わせてた見直しという点では必要では無いかと思うところです。

評価範囲の見直しも今回の協議事項にありますが、ソフトバンクグループ㈱の内部統制報告書を読んで頂けると分かりますが、自社の特性に応じてスコーピング方針は毎期適切に見直している自負もありますので、スコーピング方針については会社の自主性で良いのでは、と思っております。

最後に、今回の内部統制部会のメンバーは私のような企業実務(評価業務)をしている人がおそらく一人もいない気がして、その点は非常に残念に思っております。私のような実務を担っている人間を数名を部会に入れるように、今後変わっていくと嬉しく思うところです。

長文、失礼いたしました。

投稿: 某社の内部統制部門の部門長 | 2022年10月25日 (火) 13時30分

 素晴らしい。よろしくお願い致します。
いつも同じようなメンバーばかりでは、進展がないと
企業開示課長にお願いをしたら、早速かなえて下さったようです。

 ご活躍を期待しています。

投稿: Kazu | 2022年10月27日 (木) 16時14分

内部統制報告制度の導入検討が始まった2005年、内部統制部会の委員に内部監査は影も形もありませんでした。今回はIIAのS氏と実務家のY氏の2名がしっかりとおられます。この間、内部監査という仕事が世の中に認知され、ガバナンス上の位置づけが定着し、また内部監査の手法等が金融庁、各種団体(日本内部監査協会、日本金融監査協会等)、内部監査人のご努力により、相当な進歩を遂げたと思っております。
再びブログを拝読できることを楽しみにし、勉強させていただきます。よろしくお願い致します。

投稿: ヤマノボリ | 2022年10月27日 (木) 19時53分

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