ガバナンスや内部統制を語るとき・学ぶときに大切なこと
11月5日、日本ガバナンス研究学会(旧日本内部統制研究学会)におきまして、私は従前同様の理事に就任しましたが(もう4期目?)、ひさしぶりに法曹界出身の会長が選任されました。久保利英明弁護士が新会長となり(一同どよめく・・・、いや、そのいで立ちで誰もがすぐに覚りましたが)、これからの3年間の学会は「久保利丸」での船出となりました。ひさしぶりにいろいろとお話しましたが、相変わらず頭脳明晰、体調万全のご様子でした。
ちなみに退任される橋本前会長は証券取引等監視委員会での大役が待っておられるそうです(もちろん衆参両院での同意が必要となります)。ということで、私はガバナンス・ネットワークでは牛島理事長の下で、ガバナンス研究学会では久保利会長の下で、それぞれ「番頭格」のような立ち位置になってしまいました( ;∀;)
さて、本業はと言えば、ようやく普段の業務体制が戻ってまいりまして、ガバナンスや内部統制の支援業務も再開しております。昨日は東京近郊の某社のコンプライアンス経営のお手伝いをしておりました。自分がかかわったことのない業界の会社さんなので、私が抱いている「コンプライアンス経営」のモデルがそのままでは通用しないようで、「腹落ち→実践」のためにはかなりの工夫が必要と感じました。
ところで、某審議会の委員として会議に出席して、他の委員の方々のご発言を拝聴している際に「この委員の方の頭の中には、どれくらいの規模の上場会社をイメージしておられるのだろうか?」との疑問が湧いてきます。ガバナンス、内部統制を語るにあたり、50人規模の上場準備会社と1万人以上の社員を抱える上場会社では、当然違うことを言わなければ説得力はありません。私はいつも「それって、どのくらいの上場会社をイメージしたものでしょうか?」と質問したくなります。事業の効率性を向上させるためのガバナンス、内部統制は「100社あれば100通りのガバナンス、内部統制がある」というのが正解だと確信しています。
ハードローである内部統制報告制度だけでなく、ガバナンスコードやCGS研究会ガイドラインのようなソフトローも、さらには人的資本開示に関する指針も、「日本株式会社」の価値向上のために作られたものであり、個々の企業のガバナンス、内部統制のベストモデルを示したものではないはずです。最近はVUCAの時代(不確実性の時代)と言われて、経営環境の変化への柔軟性が求められるようになりましたが、まず経営環境よりも先に、自社組織の強み、弱みをきちんと共有する(共有できる)ことが大切です。しかしこれがなかなかむずかしい。だからこそ「株主出身の非常勤取締役歓迎」のような「リスクを共有した外部の目」がけっこうモテているのではないでしょうか(いわゆる「ボード3.0」ですね)。
時事ネタを少しずつインプットする時間もできてきて、ようやく新聞記者さん方からの取材にも応じることができるようになりましたので、このあたりの具体例はまた追ってブログで述べたいと思います。
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