いよいよ「ビジネスと人権」も第2ステージか?-法案検討
(4月30日追記あり)
すでにご承知の方もいらっしゃるかもしれませんが、4月26日の産経新聞ニュースにて、人権DD(デューデリジェンス)の法制化に向けて国会議員が動き出したことが報じられています。議員立法にて今秋の臨時国会に法案が提出されることが想定されているようです。提言は広島サミットの前に岸田首相に手渡される、とのこと。企業が「外部不経済」への対処なくして「社会的課題解決」のコミットメントはあり得ない・・・という資本主義の考え方が世界的な潮流なので、これは現実味を帯びた施策といえそうです。
人権DDのキモは「社内に救済手段を設置しているか」という点になりますが、現時点ではこちらのJaCERが最も信頼性の高い苦情処理機関ではないかと思っております(HPの下段に、すでに正会員になっておられる企業名が列記されていますね。すでに人権DDの重要性を認識しておられる企業ばかりのようですが・・・)。労働紛争は原則として企業と社内の労働者との労使関係の解決となりますが、こちらは企業と社外の労働者との紛争解決がメインとなりますので、仲介役の専門家もいろいろと模索しながらの対応となるのでしょうね。
今後、ビジネスと人権に関する企業姿勢は、環境問題解決への姿勢と同様「負の外部性に対して企業はどう動くのか」、政府と二人三脚で検討すべき喫緊の課題になりますね。上場企業を中心に、ビジネスと人権への本格的な対処が求められる「第2ステージ」が始まりますね。
(4月30日追記)同様の記事が毎日新聞ニュースでも掲載されています(こちらのほうが詳細です)。一定規模以上の企業に人権DDが義務化される、とのことで内部統制の構築義務として理解しておくべきことかと。
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コメント
山口先生、法律誌での玉稿や本ブログを含めて、日頃から学ばせていただいております。
ご高名な先生に、ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に言及していただけるのは大変ありがたいと思っております。
ビジネスと人権に関する企業姿勢は、「負の外部性に対して企業はどう動くのか」という文脈で、政府と二人三脚で検討すべき喫緊の課題になっており、上場企業を中心に、ビジネスと人権への本格的な対処が求められる「第2ステージ」が始まるというお考えには全く同感です。
私も関与しております、ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)もそのような認識で運営が行われております。先生とも議論させていただける機会があれば幸いです。よろしくお願い申し上げます。
投稿: 蔵元 | 2023年5月 3日 (水) 14時49分
蔵元先生、ご丁寧にコメントをいただきまして、ありがとうございます(コメントが来ているのに気がつきませんでした・・・)。企業イメージに対する世代間ギャップが大きいことに、あまり気がついていない経営陣が多いように思います。私も以前は「誰一人取り残さない」というのは「きれいごと」ではないかと思っておりましたが、現時点では取引の前提となる「信頼と安心」を構築することが、ビジネスのリスク管理としても重要であることを身をもって認識しております。いよいよ企業の本気度が試される時期に来ていると考えております。
投稿: toshi | 2023年5月 9日 (火) 22時15分