東洋建設取締役候補者として-敗戦の弁と「ノーサイド」
本日(6月27日)は役員退任が決まっておりました大東建託と大阪メトロの株主総会を欠席させていただき、東洋建設の定時株主総会の(株主側)取締役候補者として、神田神保町の控え会議室にて投票結果を見守っておりました。既報のとおり、株主側(YFO-任天堂創業家側)が9名中7名選任可決、会社側が11名中6名選任可決、ということで、株主側が7対6の過半数を獲得する結果となりました。そして私は9名中2名の選任否決の候補者で終わりました。
候補者となって3か月、国内外の機関投資家および議決権行使助言会社からのすべてのヒアリングに応じてきました。また、取締役・監査役候補者を代表して会社側への対応にも力を注ぎました。ということで、この結果についてはとても残念であり悔しいです。午後に控室で結果を聞いたときには血の気が引く思いでした。ただ、YFO側としては一定の成果を出した中での株主の皆様の総意として受け止めざるを得ないですし、自らの力不足を素直に認めたいと思います。
私個人の敗戦の原因を素直に検討してみますと、やや言い訳めいた物言いになりますが、いくつか考えられます。まず、ISSから反対推奨を受けたこと。なぜ反対なのか、その理由は意見書では触れられていませんでしたが、大株主との距離感が近いということで、社外取締役にとって不可欠な「独立性」という視点で問題があると考えられたと思われます。また、ISSが述べる「取締役の適正人数11名」という中で、YFO側に経営経験豊富な弁護士の方がいらっしゃったので、山口のほうは✖という「重複感からの反対」とされたのかもしれません。さらには「ガバナンスに精通した候補者」といっても、今回は企業不祥事発生時の候補者ではなかったので、会社側からの将来へのガバナンス対応が示された以上はそれほどのインパクトがなく、むしろ経営経験者によるボードモニタリングへの期待が強まったのではないかと推測しています。
ともかく、株主提案による取締役が過半数を占め、さらに株主側が業務執行取締役候補者を2名も送り込むという「異例中の異例の株主総会」に当事者として「知力を振り絞って」参加させていただいたことはとても貴重な体験でした。今夜から始まる新しい取締役会に参加できないのは本当に残念ですが、東洋建設のポテンシャルを評価して、日本の将来にとても役に立つ会社にしていきたいという意欲はすべての新任取締役が強く抱いていることは間違いありません。もちろん課題は山積でありますが(その中身については申し上げられませんが)会社側そして大株主側で選出された役員の皆様は、これからはノーサイドです。ぜひ「ONE東洋建設」となって、持続的成長を果たしていただきたいと切に願っております。
最後になりますが、英語に堪能でない私のために、すべてのヒアリングの機会に通訳をしていただいた某法律事務所の先生方に御礼申し上げます(控室を出るときに少しだけ挨拶できましたが、結果を出せずにゴメンナサイ!)。また、最後の総会への欠席をお許しいただいた大東建託、大阪メトロの役職員の皆様にも、この場を借りて本当に感謝申し上げます。ありがとうございました<(_ _)>。
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コメント
8月22日付の日経新聞に、山口先生の立候補のことが書かれていました。非常に好意的ですし、時代の流れの変化という視点で捉えられ、株主提案側の立候補でもレピュテーションが傷つかない時代になってくることの先鞭になってほしいです。
投稿: Kazu | 2023年8月22日 (火) 17時37分