ジャニーズ事務所問題-「ビジネスと人権」に対する日本企業の本気度はいかに?
みなさま、すでにご承知のとおり、株式会社ジャニーズ事務所の設置した外部専門家による再発防止特別チームの調査報告書が公表されました。委員会としての同事務所のガバナンス改善要望や社長辞任要請などへの関心もあるかもしれませんが、ともかく創業者による加害行為が事実として認定されただけでなく、これを隠ぺいした人がいること、見て見ぬふりをした人がいることが報告された以上、「もはや過去のこと」として済まされない(つまり現存する法人の問題として捉える)のでありまして、今後の日本企業の対応に(国連を含め、世界から)注目が集まることになりそうです。日本企業にはサステナビリティ経営に向けた本気度があるのか、単なるウォッシングなのか、世界から試される事態となるわけであり、とても「興味本位」で語ることができる問題ではありません。
放送事業者、通信事業者は、今後ジャニーズ事務所による営利目的事業に関与して収益を上げ続けるのか、それとも関係を解消するのか、かりに今後も継続的に関与するとして、その放送・通信番組に対してスポンサーはつくのか(広告代理店は、どのような正当な理由によって媒介事業を行うのか)。いま「ビジネスと人権」に対して世界的に厳しい目が向けられている中で、日本の企業がどのような対応に出るのか、その様子を現在進行形で検証することになります。おそらく今後の「ビジネスと人権」に対する日本企業の経営判断の先例ともなりうると思います。
JT子会社がロシアで事業を継続して収益を上げていることについて、私個人としてはJT社の反論にはそれなりの理屈が立つと考えていたところ、(思いがけず)さきごろウクライナ政府から「戦争支援企業」として指定を受ける事態となりました。本件については企業の危機管理の視点からみると、日本の企業社会における「オトシドコロ」が世界で通用するのかどうか(うーーん、個人的には通用しないような気がします。ホント、海外のNPO・NGO団体の圧力は-保有している資産が桁違いなので-スゴイです・・・)。上記報告書では「ガバナンスの改善」が提案されていますが、ガバナンス云々で終わらないような気もいたします。いかがでしょうか。
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コメント
ビッグモーターではコマーシャルがなくなり、ウェブサイトへの掲載がなくなって、役所から立入があったのですが、ジャニーズは、同じようなことになるのかならないのか、ならないとすれば、どこがビッグモーターと違うのか、研究材料になりそうですね。
ジャニーズには、厚生労働省の児童労働者の保護の観点から立入調査が必要かもしれません。
投稿: Kazu | 2023年8月30日 (水) 16時04分
kazuさん、いつもコメントありがとうございます。国連の動きからすれば行政調査の可能性はあるかもしれませんね。内容を読みましたが、マスコミの報道不作為が多数の性被害少年を生み出した可能性が高いとあります。マスコミは単に「遺憾。動向を見守る」ではなく、なぜ不作為となったのか、その検証作業が必要ではないでしょうか。
投稿: toshi | 2023年8月30日 (水) 16時27分