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2023年9月 7日 (木)

東京海上日動、ジャニーズ事務所との広告契約の更新を停止(ビジネスと人権の視点)

8月30日のエントリー「ジャニーズ事務所問題-「ビジネスと人権」に対する日本企業の本気度はいかに?」でも書きましたが、いよいよ事業者の「ビジネスと人権」への対応が明らかになりつつあります。

本日(9月7日)の株式会社ジャニーズ事務所の新体制発表会見(過去における創業者による児童虐待の事実を正式に認める)、そして主要テレビ局の「今後もタレントを使い続ける」との宣言により、今度はジャニーズ所属タレントが出演する番組に広告料を出す側、ジャニーズ事務所のタレントをイメージブランドとして活用する側の事業者の対応が問題となります。いち早く、東京海上日動社がジャニーズ事務所との広告契約については今後更新しないことを決定、事務所タレントを使用している現契約の即時解除を検討と報じられています(朝日新聞ニュースはこちらです)。

東京海上日動社の広告に出演しておられる方は、世間的にはとても好感度の高いタレントさんですが、やはり「児童虐待を容認してきた企業(ジャニーズ事務所)の収益に寄与することは、国内だけでなく海外にも説明がつかない」ということで毅然とした対応を決断した、ということかと。今後は、主要メディアが制作するジャニーズ所属タレント出演番組への広告や、企業が契約するタレントとの契約について、個々の事業者が東京海上日動社と同様、どのような経営判断に至るのか、多くの国民が注目することになりますね。まさに「ビジネスと人権」への企業の姿勢の本気度が試されるところです。私としては、むしろ「使い続ける正当な理由」「広告料を出す正当な理由」のほうを知りたい。それが日本および海外の人たちに受け入れられるものかどうか。

なお、個々の事業者の経営判断なので、主要テレビ局の対応についての個人的な意見は控えますが、今後もジャニーズ事務所の収益獲得に寄与するわけですから、なぜ「児童虐待の被害拡大を助長してきた主要テレビ局として、今後もジャニーズ事務所の収益寄与に貢献することが企業理念に反することにならないのか、人権侵害を絶対容認しないと宣言することとなぜ矛盾しないのか」合理的な説明が求められるはずです(おそらく、その説明がなければ海外メディアからは大きな批判を受け続けるでしょうし、今後、児童虐待を批判する報道は困難となると思います)。

 

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コメント

東京海上日動さんを皮切りに、こういう流れは社会的注目度の高い企業さんが追随しそうですね。

しかし疑問なのは「ジャニーズ」の看板を下ろさない判断をしたこと、東山さんが社長を継いだことの2点です。
いずれも「解体的出直し」という第三者委員会の報告書の提言に沿ったものなのかという疑問です。

前者については、
加害者の名前を掲げて続けることの意味を事務所が理解したうえでの決定なのか?英語の「Johnny&Associates」も残るわけで、国連も注目する状況下では甘い判断な気がしています。
会見では下記のような厳しい意見も出ております。極端ではありますが、過去に雪印が屋号を変えなかった例とはワケが違う深刻さだと感じています。

「ヒトラー株式会社やスターリン株式会社と同じだ」ジャニーズ名称存続で波紋
https://news.yahoo.co.jp/articles/5cee49f2b9573f5fde5f4129fe8c6ad3580cae54

後者については、
「解体的出直し」が提言されるような事案において、新社長を内部昇格者から選任することは、一般的な不祥事対応・企業再生という視点で妥当な選択肢と言えるのでしょうか?
BM社の事案にも繋がると思いますが、社会から厳しい批判を受けた企業文化を受け継いでいる人物が新たなトップになったところで、社会的な支持は受けづらいと思われます。
東山さんの資質というよりも、打ち手して妥当といえるのか、ご意見をうかがえると嬉しいです。

投稿: てふ | 2023年9月 8日 (金) 16時16分

てふさん、貴重なコメントありがとうございます。ご指摘の点はガバナンスの視点からのものと受け取りました。アサヒビール社など、すでに自社の方針を明らかにしたところもあり、ガバナンスの視点も含めて別途エントリーを書きますので、そこで私の意見を述べさせてください。

投稿: toshi | 2023年9月 8日 (金) 17時23分

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