大阪・関西万博と一連の東京五輪汚職・談合事案
最近はガバナンス関連で注目すべき事案が多すぎて、何をブログで書けばよいのか迷うところです(個人的には日大アメフト部員薬物問題がもっとも関心が高いですね)。
さて、前も書きましたが、私は大阪・関西万博推進派ですが、いまの状況をみると東京五輪汚職・談合事案を想起させます。東京五輪では組織委員会の関係者と大手広告代理店の幹部の方々の刑事事件に発展したことは皆様もご承知のとおりですが、なぜ東京オリパラに汚点を残してしまったのか・・・と考えてみますと、やはり「絶対に成功させなければならない」という国家的機運に由来する関係者の使命感、そこに関係する諸団体の責任の曖昧さ、実務を仕切る人たちの行動の聖域化(「餅は餅屋」による丸投げに基づくブラックボックス化)、事前規制よりも事後規制の対応重視というところで不正リスクをあらかじめ特定できなかったことが問題だったと考えます。
このたびの大阪・関西万博の準備状況をみますと、東京五輪の様子とよく似ています(まだ汚職・談合事案の刑事裁判は続いています)。さらに大阪・関西万博では、大手広告代理店の力が発揮できる領域が限定的であること、「ビジネスと人権」に関連する責任がパビリオン建設を発注する諸外国にも及ぶことから、東京五輪のとき以上に不正リスクは高まるはずです。この点、事前規制的な発想で対処しなければ、日本は海外諸国にも後日、多大な不正リスクの顕在化を招くことにもなりかねず、とりわけ汚職、談合、人権侵害はあらかじめ徹底的に予防する体制をとる必要があると思います。これはまさに「日本の威信をかけて」検討すべき課題ではないでしょうか。
どんなに「成功させなければならない」という機運が高まったとしても、不正リスクを堂々と責任者に主張し、リスクマネジメントを実行させるだけの人物が現れなければ、東京五輪以上に大きな不正リスクの顕在化を招くことになるような気がいたします。
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コメント
山口先生へ
本日、日経新聞のインターネットニュースに、「企業保険、100社超で事前調整か 損保4社が当局に報告へ」とありました。法務ロスですね。そろそろ、実行した本人達と損保企業4社は市場撤退させるべきですね。電力会社並みに厳罰化しないと日本は社会構造が持たないまま沈没しそうです。生涯賃金数億円を稼ぐ輩の集団とは思えません。
投稿: サンダース | 2023年9月28日 (木) 07時37分