専門家としての企業の危機管理対応の極意とは?
SMILE-UP社(旧ジャニーズ事務所)問題によってエンターテインメント業界におけるタレントの労働者性が話題になっていますが、10月から始まったNHK朝の連ドラ「ブギウギ」では、いよいよ第3週、第4週で少女歌劇団の労働争議(ストライキ)が描かれるようです。主人公のモデルとなった笠置シヅ子さんも委員長(水ノ江瀧子さん、「ターキーさん」ですね、なつかしい♪)とともに高野山に籠城してストライキに参加、そのため処分を受けたそうです。ドラマでは史実どおりかどうかはわかりませんが、今後の展開をとても楽しみにしております。
さて、昨年、三菱電機の品質不正事案のお仕事をご一緒した木目田裕弁護士のインタビュー記事を読みました(中央公論2023年11月号「不祥事対応のエキスパート弁護士が語る-危機管理の要諦」)。さすがにSMILE-UP社関連のお話については「守秘義務がありますので」ということでお話はされていませんが、木目田弁護士の語る危機管理の要諦は「なるほどなぁ」と思わず納得する内容です(最後のほうは、すこし西村あさひの広報のような内容ですが)。
私も場末ではありますが「企業の危機管理対応」を仕事にしている専門家として、そのとおり!と感じたのが「個別対応よりも総合的判断」でコトにあたる、という点です。企業の危機対応は被害者対応、監督官庁対応、司法対応、銀行対応、取引所対応、顧客・取引先対応、海外対応、メディア対応、株主対応等への総合力で「いかに顧客の信用を維持するか、ダメージを最小化するか」というところが「極意」だと考えます。
ところが上記対応は「あちらを立てればこちらが立たず」となりまして、何を最優先で守るべきかという点は、有事に置かれた個別企業の状況から判断せざるを得ないわけです(たとえばSMILE-UP社の件では、エンターテインメント業界であるがゆえに被害者対応、メディア対応、海外対応あたりが最優先かと)。本当にマニュアルが存在しない世界であり、バランス感覚が求められる。結果の善し悪しの責任はすべてかぶる覚悟が必要です。ただ、そこに「プロでないとできない仕事」の醍醐味があると感じております。様々な分野の専門家の方のご意見なども拝聴しながら、また会社の経営陣とコミュニケーションを図りながら進めるのが常道ですね。
ちょっと気になりましたのが「(危機管理対応では)メディア対応も重要になってきました(ね)」との質問者のフリに対して
(木目田弁護士)「当たり前のことですが、嘘はつかないことです。もちろん言えること、言えないことはありますが、問題があれば隠さないで公表し、対応する。これが重要だと思います」
(;^_^A・・・・・頑張ってください!!m(__)m。
| 固定リンク
コメント
企業法務に関連した幅広い話題、いつも「なるほど」と思いながら楽しく拝読しています。
一つ質問です: この13日の話題の中に、朝ドラ(妻との朝の恒例行事として楽しませてもらっているもの)の山寺ストライキに関連して、ターキーさんが蒼井優役のモデルだと書かれていると理解しました。本日11/2の放送では、出産時に若くして死亡というストーリになっており、ターキーさんのその後のご活躍とは相当にズレている気がします。TVドラマ上のストーリですからそれほど拘るわけではありませんが、コメント頂ければ嬉しいです。本ブログの本来の目的とはまったく関係ない話でした。
投稿: ミノル | 2023年11月 2日 (木) 18時14分
ミノルさん、いつもご愛読いただき、ありがとうございます。
ターキーさん(水の江瀧子さん)が争議委員長、飛鳥明子さんが争議団長ですね。ドラマ「ブギウギ」では飛鳥明子役が蒼井優さん(ドラマでは亡くなりましたね。ショックです!!)、ターキーさんの役は翼和希さんですね。実際にも、最初は水の江瀧子さんは争議に反対しておられたそうです。
投稿: TOSHI | 2023年11月 2日 (木) 20時39分