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2023年10月12日 (木)

BM・損保ジャパン癒着問題-内部通報よりも内部告発が決め手となる

昨日(10月11日)、SONPOホールディングスのHPに「ビッグモーター社による不正事案に関する社外調査委員会の中間報告書受領について」として、外部有識者による調査委員会報告書(中間報告書)が公表されましたね。一読して感想を日経エキスパートのほうへコメントしましたが、たくさん「いいね」をいただきました(ありがとうございます)。

「エキスパート」では、わずか300字でコメントしなければならず、また影響度が半端ないので、本当に書きたいことが書けなかったりするわけですが、実は「おお!」と思ったことがありまして、こちらのブログで短めに書いておきます(身の回りの本業でいろいろございまして、ブログを書いている場合ではないかもしれませんが・・・)。

以下は私の主観的な推測も含まれますのでご注意ください。今でこそ日本を代表する保険会社が大ピンチに陥っている状況ですが、ビッグモーター社の保険金不適切請求案件を契機として「損保会社の一大事」になるまでにはかなり長い道のりがあったはずです。この道のりを振り返ってみますと、やはり内部通報、内部告発(社員による外部第三者への情報提供)の存在が大きかったと思われます。

まず2022年1月ころのBM社員による内部告発(損保協会への通報)。大手損保がBM社とのDRS取引を停止するきっかけとなりました。その後、2022年8月下旬に某経済誌が損保ジャパンとBM社との癒着問題(不可解なDRS取引の再開)を初めて取り上げることになりますが、昨日の報告書を読むと、どうも損保ジャパンの社内から情報がタイムリーに某経済誌記者に提供されていたような気配がありますね(報告書28頁あたりを読むと、損保ジャパンが金融庁に提出した文書すら適時に記者の手元にあったそうです)。ここは推測ですが、損保ジャパンの社員によるマスコミへの情報提供、つまり内部告発の存在が(本癒着問題を世に出すにあたり)大きかったのではないでしょうか。

そして最後に今年2月のフライデー記事ですね。BM社員がフライデー記者に「過剰な修理やっておきました!」と上司に報告するLINEメールの画像とともに、過剰修理の様子を写した画像を提供しています。7年ほど前の「日大アメフト事件」と同様、世間で騒ぎが大きくなるのは、誰でもひとめで「こりゃあかんやろ!」と憤慨するための画像、動画、録音データの存在に左右されます。このフライデーのWEB記事がここに至るまでのポイントになったような気がいたします。

BM社内では、以前から内部通報が届いていたらしいですし、また、某経済誌のニュースは昨年から報じられていましたが、なかなか火がつくことはありませんでした。改正公益通報者保護法は、社員(退職者を含む)による外部への情報提供行為の保護を厚くしましたが、ぜひ職場環境を変えるためにも、内部通報だけでなく内部告発についても労働者の正当な行動として理解をしていただきたいなぁと考える次第です。内部告発の動機は「正義感」ではなく「自分の職場を働きやすくしたい」という私利私欲だけで十分なのです。

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