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2023年10月26日 (木)

SMILE-UP(旧ジャニーズ事務所)性加害問題-TBSの調査対応を高く評価する

25日の深夜に「性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件」に関する最高裁大法廷決定の全文を読みました。私個人としては、三浦、草野、宇賀裁判官の反対意見に賛同するものです(本ブログはビジネス法務に関するものなので、これ以上のコメントは控えます)。

さて、10月25日のTBS社長の定例会見にて、TBSはSMILE-UP事案(旧ジャニーズ事務所性加害問題)について、TBSと旧ジャニーズ事務所との関係について外部弁護士による調査を開始したことが報告されました(朝日新聞ニュースはこちら)。すでに社内では検証が行われて検証番組も放送されましたが、

(佐々木社長)会社としても、今後は弁護士の力もお借りして、中立的な立場からの社内調査も実施する。幅広く調査し、まとまった提言にする。事務所との付き合い方も含めて、調査を受けて考えていく

とのことで、中立公正な立場から性加害行為への助長行為の有無について調査を進めるそうです。当ブログでも、かねてより民放各社が第三者委員会を設置すべきと主張してきましたが(たとえば「ジャニーズ事務所問題-若年女性の「ジャニーズ離れ」加速(元NHK解説委員寄稿)」、他局に先駆けてTBSが複数の外部弁護士による調査・検証を始めたことは高く評価したいと思います。TBSも、今後は「通信と放送の融合」を目指し、海外の通信事業者との番組共同制作をビジネスの目玉に挙げているので、後ろ向きではなく、前向きな戦略として「ビジネスと人権」に対応するものと理解いたしました。

ただ、外部の弁護士による調査・検証は「調査委員会」として行うのか、何をどの範囲で調査対象とするのか、調査・検証の結果については報告書として公表されるのか、わからないところもあります。最近の社外調査委員会報告書はビッグモーター、損保ジャパン、SMILE-UP社いずれも企業への風向きを一気に変えるだけのインパクトがありました。TBSも、ある程度は覚悟の上で外部弁護士の調査に委ねたものと思います。できれば報告書は公表していただき、TBS自身やスポンサー企業がSMILE-UP社(および事業を引き継ぐ新会社)との取引を再開すべきかどうか、判断するための資料として(公共財として)活用できればいいですね。さあ、これにNHK、その他民放キー局が追随して外部委員による調査を開始するのかどうか、さらに注目しておきたいと思います。

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