大阪・関西万博建設工事にグリーバンスメカニズム(人権救済機関)は必須と考える
関西以外の方にはあまり興味もないかもしれませんが、大阪・関西万博まであと500日となり、いよいよ用地整備、パビリオン建設が本格化する時期となりました。すでに申し上げておりますように、私は万博推進派ではございますが、「延期もやむなし」「延期ができないのであれば、パビリオンは閉幕までに完成すべし」と考えております。すべては2024年問題、つまり建設工事に従事される国内外の労働者の人権ファーストで工事は進めなければならないと考えるからです。
万博開幕にすべての工事を間に合わせるための「超法規的措置」は当然ありえないのですが、労働者の人権を侵害してでも国家的威信をかけた万博を開幕させるとなれば、来年6月に国連人権委員会作業部会が国連に提出する最終ステートメントでは(たとえ開幕前でも)厳しい意見が記載されるのではないでしょうか。そこにはもはや「命輝く未来社会のデザイン」なるテーマを万博に掲げる資格はありません。
労働者の人権を守りつつ万博を開幕させるのであれば、労働者の人権侵害リスクに真正面から向き合うために、最低限度「グリーバンスメカニズム(人権救済のための苦情処理機関)」を設置すること(もしくは建設業の事業者団体に設置を促すこと)は不可欠でしょうし、国もグリーバンスメカニズムの設置に消極的な姿勢であれば、そのこと自体が「労働者の人権侵害を国として容認する」ということを国内外に表明していることになると考えます。なお「ビジネスと人権」指導原則に合致したグリーバンスメカニズムと言えるためには、正当性だけでなく、運用における公正性や透明性、利用可能性等、具体的な7要件を満たすものでなければならないため、できるだけ早く設置すべきです。
もちろん、建設事業者は各社とも内部通報制度は運用しておられると思います。しかし、自社の従業員だけでなく、取引先や下請先、さらにはフリーランスの方々まで人権侵害を訴えることができる窓口がなければ現場における労働基準法違反行為を抑止できないはずです。「ビジネスと人権」問題といえば、SMILE-UP(旧ジャニーズ事務所)事案、ハマス・イスラエル戦闘における戦争支援企業事案が話題となっていますが、大阪・関西万博における建設工事事案も今後大きな話題になると思います。
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