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2023年11月27日 (月)

SMILE-UP(旧ジャニーズ事務所)性加害問題-TBSHD特別調査委員会報告書について(その1)

「逆転裁判官の真意」(関西テレビ・ローカル)を早速視聴しました。期待していた以上に面白く、いろいろと考えるところがありました。おそらく近日中には関西テレビのtoutubeでご覧いただけるようになると思いますので、私の感想はまたそのときにchannelのご紹介とともにお話ししたいと思います。

さて、11月26日、TBSHD社はSMILE-UP社創業者による性加害問題へのTBSの対応について特別調査委員会報告書を公表し、併せて検証番組を放送しました。検証番組もTVERで拝見しましたが、今回は特別調査委員会報告書についての第一印象について述べておきます。

TBSHDのコンプライアンス担当役員を委員長として、検察官ご出身の弁護士2名を外部委員とする特別調査委員会は、純粋な第三者委員会とは言えませんが、一般の方々が素朴に疑問に感じている点について事実関係を一定程度明らかにしており、本件に対するTBSとしての姿勢がうかがわれる内容でした。新たに判明した事実についてはショッキングな事実もありますが、すでに各メディアが報じていますので、当ブログでは省略いたします。

まず、過去のタレント事件の報道について、編集局と報道局、またラジオ局とのかなり突っ込んだやりとりが印象的です。やはり報道局の公平・公正な報道が歪められたことは重大な問題です。ただ、もう少しツッコんでほしかったのは「このような編成局・番組制作局と報道局とのむずかしいやりとりは、旧ジャニーズ事務所問題以外にも頻繁に起きるものなのか、それとも旧ジャニーズ事務所問題は特別であり、他ではほどんと起きないレアケースだったのか」という点への説明です。ここは再発防止の実効性を検討するうえでも重要かと思いました。

次に「以前から、TBSにもいわゆる『ジャニ担』がいたのではないか?」と誰もが疑問を抱いていたと思います。癒着問題を語るにおいて非常に重要なポイントです。この点、報告書では編成局に担当者らしき人がいたことが明らかにされました(報告書33頁、34頁あたりの記述)。その背景事情として、旧ジャニーズ事務所内部の派閥争いが示されていました。TBSと第一派閥、第二派閥との関係がとても複雑ということだったので、おそらくTBS側でも調整役は必要だったと思います。

ただ、「ジャニ担」がいたとしても、いなかったとしても、忖度や圧力は旧ジャニーズ事務所と「編成局」、「報道局」とのやりとりでとどまっており、もっと個別の力を持った人の意見とか指示というところに光があたったほうがよかったのではないかと(TBSのほとんどの社員がジャニー喜多川氏と会ったことがないそうなので、なおさらです)。役職員の証言から事実認定するには限界があったのかもしれませんが、そこが少しぼやかしているようにも思えました。←ちなみにTBSラジオが編成局からの圧力に屈することなく旧ジャニーズ問題を取り上げることができた背景説明の箇所では、「俺が腹をくくるから」と部下に覚悟を示した特定の上司やラジオ番組の制作に影響を及ぼした外部第三者の存在を実名で取り上げていますので、余計にギャップを感じました。

TBSとしては、再発防止にあたり、今後の防止策の実施状況をモニタリング機関が監視監督したうえで、その進捗状況は逐次公表されるそうです。この点は外部の人から見るとTBSの自浄能力を示すものとして高い評価を得られると思います。TBSを含め、テレビ各局がこれまで示してきた検証結果と比較すると格段に高い評価を得られるはずです。佐々木社長が検証番組で述べておられたように、これからはサプライチェーン全体の人権侵害を防止する責任を果たしていかれることを宣言されたので、今後もしサプライチェーンにおいて不正・不祥事が起きた場合には、決して見て見ぬふりをせず、公正・公平な立場で報道していただきたいと切に希望します。

このTBSHDの検証結果を踏まえて、SMILE-UP社の事業を引き継ぐ新会社とどのようにスポンサー企業が対処すべきか、そのあたりは「その2」で述べたいと思います。

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