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2023年12月23日 (土)

日本もそろそろ「内部告発者奨励金制度」を導入する時期では?

SMILE-UP(旧ジャニーズ事務所)事件、ビッグモーター事件、日大アメフト薬物事件、そしてダイハツの品質不正事件と、今年世間で話題となった企業不祥事(組織不祥事)はいずれも内部者による外部への情報提供が発覚の端緒でした。古いところでは、今年「非公開化」で揺れた東芝の会計不正事件も内部告発が端緒でしたね。つまり、内部告発がなければ世間に公表されず、また行政処分もなかった、さらには取引先への飛び火(損保ジャパン、各放送局の検証等、いわゆる「やぶへびコンプライアンス」)もありませんでした。

本日(12月23日)のブルームバーグニュースでは、米SEC、内部告発者7人に計40億円余り支給-重要情報提供で報奨金との見出しで、金融不正事件の内部告発者に多額の報奨金が支払われた事実が報じられています。また、11月28日の日経ニュース「米企業の不正摘発、内部告発増加 報奨金最高」では、今年9月に報奨金制度の改訂が行われ、一人の内部告発者に171億円もの報奨金が支払われた事実(過去最高)も報じられています(MLBの契約金並みですね)。日本の不正発覚の実情をみるに、記事の中で西村あさひ法律事務所の弁護士の方が「世界的には社外への通報環境を整備する流れになっている」と解説されていますが、私も同じ流れを想定しています。

今年大きな話題となった電力カルテル事件、裁判係属中の東京五輪カルテル事件をはじめ、公正取引委員会が動く事案においてもリニエンシー(自主申告制度)が有効に機能していますが、リニエンシー導入が検討されていた時期には「日本ではおそらく自主申告などする企業はないだろう」と言われていましたから、企業を取り巻く環境は大きく変わっているのでしょうね。告発にはやはり明確なインセンティブ(告発によって生じるリスクと得られるリターンとの比較考量)が必要であり、「会社を良くしたい」という精神論だけではなかなか有力な情報が当局に集まらないのかもしれません。裏を返せば「社員によって内部告発をされないために、内部通報制度を充実させるべき」(制度間競争的発想)となるわけで、改正公益通報者保護法に準拠した通報制度への運用見直しは経営問題と認識すべきでしょう。

ということで、日本も内部告発奨励金制度の導入に向かって真剣に検討すべき時期に来ているものと思われます。

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余談ですが(手前みそになりますが)、今週はダイハツの品質不正事件のエントリーで連日1万を超えるアクセスをいただいたこともあり、本日も「ココログ人気ブログランキング」で昨日同様4位ということになりました。10月以降で6回目のベスト5位入りです(こんなことはブログを18年間書き続けてきて初めてであり、とても信じられません)。新規でご愛読いただくようになった方もとても増えており「ビジネス法務」「企業法務」の認知度が多くの方に高まっていることを実感いたします。本当にどうもありがとうございました。

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