« 旧東洋ゴム工業免震偽装・株主代表訴訟判決における経営陣の責任とは? | トップページ | 日本の「モノづくり企業」にご提案-不祥事シミュレーションのススメ »

2024年2月 1日 (木)

経営判断を修正(訂正)する勇気とパーパス経営

豊田自動織機の認証不正について、トヨタグループのガバナンスとの関係で個人的意見を述べたかったのですが、本日は時間がないので「パーパス経営」について一言だけ。以前、ガバナンス改善の支援をさせていただいていた会社も資本効率の向上に向けて経営判断の修正(最適資源配分の見直し)を検討していましたが、なかなか反対意見が強くて前に進まなかったことがありました。

ただ、これだけ経営環境が変化するなかで「ブレない経営」というのも限界があります。「ブレること」で会社の信用や将来性への期待にキズがつくように思う役員の方もいらっしゃいます。たしかに「ブレる経営」は、社内における内部統制の不備や将来予測に関する分析力の不足を推認させるため、投資家からマイナスの評価を受けることも否めません。ただ、ブレたとしても、上位概念である「パーパス」に合致していると(こじつけでも?)説明することで会社の存在意義(アイデンティティ)は守られるのではないでしょうか。パーパスは神棚に飾っておくモノではなく、どれほど日頃の事業執行に活かすことができるか、そのツールとしての意味を真剣に考えております(かつて某社社長のハラスメント案件で、懲戒処分の根拠としてパーパスを引用したことはご紹介しました)。

こちらのエントリーでも少し述べたとおり、カリスマ会長の辞任など、SOMPOホールディングスのガバナンスが話題になっていますが、経営陣が大きく変わったとしても、その変わり方が同社の「パーパス経営」の発現事象だと捉えることで対外的な説明を果たすことになるのかもしれません。VUCAの時代だからこそ、パーパスは(日本企業が苦手とされる)経営判断の修正や訂正を前向きに評価することに役立つように思います。「なんだか人的資本との関係で『パーパス経営』が推奨されているから、うちも・・」といった横並びの意識からではなく、企業の持続的な成長のための使い勝手の良い「上位規範」と捉えることができるように思います。

なお、経営判断を修正(訂正)するための経営環境としては、たとえば管理監督部門や社外役員の発言力が日頃から高いことが前提となるでしょう。かつては(管理監督部門の発言力を強化するために)米国企業に倣って「職務の責任と権限の明確化」を内規で図ろう・・・といった施策を一生懸命講じましたが、その「権限と責任のあいまいさ」が日本企業の特徴であり、また長所でもあるような気もしていて、なかなかうまくいきません。不祥事の根本原因とされる「経営幹部と現場との距離」とか「組織間の力学的バランスの崩壊(法規認証や品質保証部門よりも、やたら営業や開発部門が強い」といった課題解決についても、パーパスの組織横断的浸透や組織縦断的浸透を図ることで、少しでも管理監督部門の発想を活かす(もちろん失敗も許容する)地道な努力が欠かせないように思われます。

|

« 旧東洋ゴム工業免震偽装・株主代表訴訟判決における経営陣の責任とは? | トップページ | 日本の「モノづくり企業」にご提案-不祥事シミュレーションのススメ »

コメント

事業そのものが世の中の役に立っている当社のパーパスは「○○で××」!
各事業部門でパーパスを実践し、ROE△△%は必達。
未達の事業はどんどん入れ替えて、企業価値をばっちり向上させます!
と、ひねくれものの私には読めてしまう、誰もが知る某社の統合報告書を読んだことがあります。
頭のいい人たちは、いろんなことを思いつくものだといたく感心しました。

投稿: MAX | 2024年2月 1日 (木) 13時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 旧東洋ゴム工業免震偽装・株主代表訴訟判決における経営陣の責任とは? | トップページ | 日本の「モノづくり企業」にご提案-不祥事シミュレーションのススメ »