大正製薬HDのMBO価格(もっと話題になってよいのでは?)
いつも回覧しているブログではENEOSの「二度あることは三度ある」事件に話題が集中していますが、大正製薬ホールディングス(およびその経営者)によるMBO価格に関するアクティビストの動きについてももっと話題が集まってもよいと思うのは私だけでしょうか。2月20日の四季報オンラインでは、「大正製薬HDのMBO、『物言う株主』キュリRMBが反対の方針-MBO価格の精緻な検討を行わず」と題する記事が掲載されています。
オーナー家管理会社による大正製薬ホールディングスへのTOBが、買い付け予定数の下限を上回る応募を得て成立し、同管理会社が73%超の議決権を取得しました。しかし、キュリRMB、オアシス、カタリスト投資顧問等のアクティビストファンドが「TOB価格が安すぎる」とのことで臨時株主総会で反対する可能性が高いようです。とりわけキュリRMB(細水さんのところですね)はMBOのプロセスに問題があるとのことで、おそらく伊藤忠・ファミマのMBO事件と同様、強く反対意思を表明されているようです。
たしかに上記記事にあるように、同MBOプロセスには(2019年の経産省M&A指針や昨年の伊藤忠・ファミマ価格決定裁判の趣旨に照らして)構造的な利益相反を排除したといえるのか、MBO価格は独立した第三者との取引価格と同等といえるのか等、いろいろと議論となりそうな論点があります。今後、価格決定申立事件となれば興味深い裁判となりそうです。こういった事案は裁判になる前にもっと様々な立場の人たちが議論をしてTOBの価格や成否に当該議論の結果が影響する、というのが本筋ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
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