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2024年4月 1日 (月)

内部通報制度の大切さをいかに社長に伝えるか(消費者庁の提言)

最近のデロイトトーマツ・グループによる「調査レポート 内部通報制度の整備状況に関する調査2023年版」では、日本企業の内部通報制度の最新事情がアンケート調査集計として示されており、制度を取り巻く現実の厳しさがよくわかります。①高い倫理観をもつ従業員が内部通報制度を知っていて(認知度が高く)、②組織が信頼されており(信頼性が高く)、なおかつ③通報者個人に対してもなんらかの見返りがある(メリットが大きい)とき、組織にとっての有益な通報が促されるものと考えます。」と締めくくられています。

また、KPMG社の日本企業の不正に関する実態調査 2022によりますと、日本企業(単体)における不正発覚の経緯の35%が「内部通報」によるものだそうです。通報受領後の対応のまずさによって新たに「二次不祥事」を発生させている企業もあることを考えますと、適切な内部通報の整備・運用こそ「自浄能力に高さ」を示すためのメルクマールではないかと思います。

ところで形式だけではなく、実質的にも内部通報制度を適切に機能させる(実効性を高める)ためには社長自身の本気度が極めて重要と言われていますが、では、社長にどのように伝えれば「その気」になってもらえるのか、そのヒントを消費者庁が提言としてまとめて公表しています(「2023年度調査-企業不祥事における内部通報制度の実効性に関する調査・分析‐不正の早期発見・是正に向けた経営トップに対する提言」3月27日公表)。この提言は、デロイトトーマツ弁護士法人が、平成31年1月以降に公表された企業不祥事に関する調査報告書265本を収集・分析した結果を受けて、消費者庁が経営トップに対する提言としてまとめたものです。これだけ膨大な調査報告書を一定のテーマに従って収集・分析することは、なかなか個人では難しいところでして、とても貴重な資料ですね。

世間にあまり公表されない「内部通報制度がうまく機能したので、大きな不祥事に至らなかった事案」も紹介・分析されています。経営陣だけでなく、管理部門のマネジメントに携わる方々にもご一読をお勧めいたします。ただ、私の実務感覚からしますと、(この提言が実効性向上につながるためには)通報制度の実効性を高める土壌としての「職場の心理的安全性」を確保すること、たとえばハラスメント研修も一緒に実施することやリスクマネジメントの失敗を歓迎すること、つまり「20件の通報のうち、1件でも会社にとって重要と思われる通報が上がってくれば制度を設けた意味がある」という思想を全社的に浸透させることが必要かと思われます。

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