攻めの事業戦略をとん挫させる「社長のセクハラ」の脅威
本日はショートエントリーです。3月6日付け東洋経済オンラインの会員記事「三菱商事が『ローソンを非上場化』する真の狙い-【KFC売却】も俎上、聖域なき中西社長の事業再編」を読みました。本来は三菱商事のしたたかな資本効率重視の経営姿勢を紹介する記事ですが、本論とは異なるところで意外な事実に驚きました。
公表資料によれば、2022年12月から協議に加わった別の「パートナー候補者」がいた。複数の関係者によれば、この「候補者」はENEOSホールディングスを指す。だが、2023年12月下旬に酒席でのセクハラ行為による社長の解任騒動があり、同社は協議から離脱する。
とのこと。ENEOSホールディングスの社長セクハラ事件といえば、昨年12月20日のエントリー「コンプライアンス担当役員の不祥事発生時における結果責任」でもご紹介したとおり、内部通報が機能した「モデル例」としても有名です。この事案さえ明るみになっていなければ、ENEOSは三菱商事と共同してローソンの経営に参画していた可能性があるということですね。このような事実をみるに、経営者のハラスメント防止は「守りの経営」と言われてきましたが、もはや「攻めの経営」を支えるリスクマネジメントの要と言えます。
このような事実を目の前にして「社長セクハラは見て見ぬふりをしないと持続的成長が阻害されてしまう」と考えるか「当社の成長のためにも、指名委員会はハラスメントから無縁な社長を選任しなければならない」と考えるかは、皆様次第です。しかし内部通報と、これに応えるガバナンスの威力はおそろしい。
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