東洋ゴム工業(現TOYO TIRE)株主代表訴訟判決(全文公開)とその射程距離
調査委員会の仕事が終わったら読もうと思っておりましたが、免震ゴム偽装に関する東洋ゴム工業(現TOYOTIRE社)株主代表訴訟の令和6年1月26日付け大阪地裁判決の全文が裁判所HPにて公開されておりますので告知しておきます(ようやく判決文にアクセスできました!)。なお、判決時の報道内容からコメントを残した1月30日付けのエントリーはこちらです。
まだしっかり読めていませんが、偽装と知りつつ出荷を継続してしまった取締役2名の善管注意義務違反の根拠、法令違反の商品が出回っていることを知りつつも、3カ月間、国交省への報告や世間への公表を控えていた取締役らの善管注意義務違反の根拠が相当詳細に指摘されています(「文系出身の取締役だから、安全性への疑念を抱くことができなかったので注意義務なし」といった理由も書かれていますね)。本裁判は確定していますので、この大阪地裁判決は重いですね。
また、学者の皆様の判例評釈をお待ちしておりますが、私自身もしっかり熟読したいと思います。平成18年のダスキン事件大阪高裁判決と比較して、その射程範囲はどの程度なのか、事件公表直後に設置された社外調査委員会の認定とどれほどの違いがあるのか、有事に直面した取締役の行動規範を探るうえでとても興味深いところです。また、小林製薬事案における公表・報告の責任判定にも参考になるかもしれません。当ブログをご覧になった皆様も、お読みになった感想をいただければ幸いです。しかし株主から提訴請求の通知を受けた当時の監査役の皆様は、どういった理由で「監査役会は(会社を代表して取締役らを)提訴しないことに決定した」との結論に至ったのか、そっちにも興味があります。
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