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2024年5月22日 (水)

NHKクロ現「公益通報者保護制度」-不利益処分への制裁と立証責任の転換

5月21日NHKクローズアップ現代「公益通報-内部からの声どう守る」をNHKプラスで視聴いたしました。NHKの看板番組が公益通報者保護制度を真摯に取り上げたことに深く感謝したうえで、私個人として視聴した感想をいくつか記しておきます。

まず前半は公益通報をしたのに会社から不利益処分を受け「(通報したことによって会社は動いたが、報復を受けたとして)通報したことを後悔している」とつぶやく方々が登場します。現実はそのとおり、といいますかもっと厳しい。なので私は「グループ匿名通報(通補者一同名義)」をお勧めしています。複数名の匿名通報は会社にとってもインパクトがありますし、報復のリスクも減ります。できれば複数名で証拠も収集して「会社が動かなければ、証拠持参で監督官庁に告発予定、その後、マスコミや大株主(近時はアクティビストもあり)へ告発予定」というのが常套手段となります。会社が動いた場合、(匿名通報ゆえ)是正措置は社内周知が必須となります。

内部通報制度をコンプライアンス経営に積極的に活かしている企業があります、とのナレーションで登場したのがなんと(!)三菱電機。おお!ガバナンスレビュー委員会の活動時、一生懸命再発防止策を検討しておられたK常務、Y部長(ビックリ)。このような取組みで登場するのは日本郵政グループかと思っておりましたが、社内コミュニケーション改革(通常のレポートラインの健全性向上にむけた施策)の様子も含めて、本当に頑張っておられるお姿を拝見して少々感動いたしました。

公益通報者保護制度検討会の紹介において、焦点として「公益通報者への不利益処分を行った企業への制裁」と「立証責任の転換」が示されていました。もちろん大きな論点ではありますが、検討会の関心はそれだけではございません。たとえば公益通報対応体制の整備義務違反への制裁(企業に対する)や、内部通報の整備運用に関する社内通知義務の明記も不可欠の論点です。また、個人的には会社が「通報者への不利益処分は、通報をしたからではなく職務評価によるものであった」という立証は、実体判断だけでなく、デュープロセス(社内の公益通報対応体制が適正に運用されていること)の立証も成功してはじめてfairなtrialが成り立つということも、どこかで示されるべきではないか、と考えております。裁判官の自由心証主義による事実認定を拘束する懸念はありますが、事業者側に体制整備に向けたインセンティブが必要ではないかと思う次第です。

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コメント

山口先生のブログを時々拝見していて、クローズアップ現代で放映されるのを知り、番組を視聴しました。会計・監査ジャーナル6月号の座談会記事も拝読しました。私の勤務先も公益通報に関する社内規程や今どきはコンプライアンス関連規程が次々増えてきています。これ以上の
コメントはいたしませんが、山口先生のブログファンとして投稿いたしました。ご活躍を引続きウォッチいたします。

投稿: ナカジマ | 2024年5月23日 (木) 09時30分

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