「企業不祥事発覚時の第三者委員会による経済刑法の補完機能」なる論稿を掲載していただきました。
さて私事ではありますが、成文堂最新刊「刑事法の理論と実務⑥」におきまして、拙稿「企業不祥事発覚時の第三者委員会による経済刑法の補完機能」を掲載していただきました。某刑事法学者の方からお誘いをうけて、格式のある書籍に本格的な法律論文を発表いたしました。タイトルには「第三者委員会」とありますが、日弁連ガイドラインに準拠したものだけでなく、特別調査委員会等、これに準ずる委員会も含めて、経済刑法(刑法、刑事訴訟法)の役割や機能をどこまで補完しているか、といった問題提起を中心に書かせていただきました。
「代替機能を果たせるほどの理想的な調査委員会など実際にあるのか」といったツッコミは承知のうえで、それでも社会的な要請を受けて増え続ける第三者委員会の果たすべき機能を詳細に分析したものです。学者の皆様から見れば、任意の調査委員会などに経済刑法の果たす役割は担えないだろう、といったお気持ちがあると思います。ただ、役割が果たし切れていないがゆえに、その間隙をぬって世間で第三者委員会が必要とされているのではないでしょうか。
しかし、書籍全体を冷静に眺めると、ちょっと他の学者の方々のご論稿とは格が違います。そもそも刑事系学術論文を書く際の「お約束ごと」を知らずに書いてしまったところもあるかもしれません。4月16日のブログ「株主エンゲージメントの活性化と金商法上の「重要な事項」の解釈」でも(関連ご論文を)ご紹介した梅本剛正教授の本格論文「非財務情報の重要な事項についての虚偽記載 」などと読み比べても、ちょっと恥ずかしくなってしまいます(梅本先生のご見解は、本当に裁判実務に反映されるのではないかと期待をしております)。そこは「第三者委員会」の実務を経験している実務家の(勢いで書いた?)論稿ということでおおめに見ていただけますと幸いです。
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