« 改正障害者差別解消法の施行と6月株主総会対策 | トップページ | 大隅=今井=小林「新会社法概説」は秀逸な会社法基本書(だと思う) »

2024年5月 1日 (水)

社長が愛人と出張ー「経営者の女性問題、防ぐのは困難」

日経ビジネスオンラインの記事「社長が愛人と出張-『経営者の女性問題、防ぐのは困難』と進化心理学者」をとても興味深く読みました。最後のほうの「さらに愛人問題で経営者が失脚する確率は小さいのが現実です。『女性スキャンダルに発展する恐れがあるから不倫するな』と主張することは、『墜落事故のリスクがあるから、飛行機には乗るな』と言っているのと同じです。ほとんどの人は飛行機に乗っても、無事でいられるように、愛人がいる経営者のほとんどが、無事に過ごせています。リスクを取ってでも愛人をつくることは合理的な判断だとも言えるのです。」とのご意見は、私もある程度は共感いたします。

しかし「一般的に男性は経営者を目指して懸命に働いており、無意識のうちにより多くの女性と情事を重ねることをその目的としています。経営者になることは手段にすぎず、女性との情事こそが本来の無意識的な目的だと私は考えます。」とか「より多くの女性との情事を重ねることが、経営者になった本来の目的なので、防ぐのは非常に難しいでしょう。」といった表現はどうも共感できません。

おそらく私が進化心理学という学問の在り方を知らないからだと思います。たとえば東大の教員でいらっしゃるこちらの方の自著紹介ブログを読むと、なるほど進化心理学とはこのような学問なのか、と少し納得をしました。「ある行動傾向がなぜ進化したのかという「~である」の説明は、私たちがどのように行動「すべき」かという道徳の問題とは切り離して考えなければならない。」うーーん、無意識に道徳の問題と切り離せずに理屈で考えようとしているのかもしれません・・・。ただ「愛人がいる経営者のほとんどが無事に過ごせている」ことが真実だとすれば、それはやはり道徳の問題と関係していることの証左ではないかと思うところもあります。

海外での学問的な歴史はどのようなものでしょうか?とても興味を持ちました。

|

« 改正障害者差別解消法の施行と6月株主総会対策 | トップページ | 大隅=今井=小林「新会社法概説」は秀逸な会社法基本書(だと思う) »

コメント

そうですね、ちょっと断片的になってしまいますが、まったく同感です。展開されている表現がまったく身も蓋もないと思います。
一側面からの考察は学問としては成り立つのでしょうが、不祥事案を一刀のもとに切り捨てるような筆致はいかがなものかと思いました。(笑)

投稿: 読者 | 2024年5月 2日 (木) 19時21分

「なぜ経営者を目指す男性が一定数いるのか」という問いに対して、「『経営者である』ような地位の高さは子孫を残すのに有利であるからそういう傾向が保存された」というような話が進化心理学なんじゃないかと思います……
記事のごときはそれこそ大坪氏の紹介にあるような『ある行動がどのような機能のために進化したのかに関する究極要因の説明と個体にその行動をとらせる至近要因の説明が混同』した話に見えますし、『進化心理学とは、ヒトの心のはたらきを「自然淘汰による進化」という考え方によって統一的に説明しようとする分野』という説明の枠からも外れるもののように見えるところです。

投稿: 紡 | 2024年5月 3日 (金) 10時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 改正障害者差別解消法の施行と6月株主総会対策 | トップページ | 大隅=今井=小林「新会社法概説」は秀逸な会社法基本書(だと思う) »