2年連続社長交代?-東洋建設のガバナンス改革の進捗状況について
損保ジャパン・企業保険カルテルに関する調査報告書(6月14日リリース)が、すでにあちこちで話題になっておりますが、報告結果もさることながら調査報告書のスタイルもかなり斬新で読み応えありますね。また追ってコメントしたいと思います。以下、本日は野次馬的見解です。
さて、昨年の今頃は、東洋建設の定時株主総会対応で大忙しでした。株主(任天堂創業家側ファンド)提案の取締役候補者でしたが、国内外の機関投資家や議決権行使助言会社から毎日のように面談を要望されてプロモーションをしていましたね。結局、こちらのエントリーで総括したとおり、私は力及ばず僅差で落選しましたが、ご承知のように大株主側提案の取締役が過半数を占めることになりました。
ところで、6月14日付けダイヤモンドオンラインの有料会員向け記事「東洋建設で異例の2年連続の社長交代!任天堂創業家ファンドが過半を握る取締役会で起きた『地殻変動』」を読み、たいへん驚きました。社長交代だけでなく、役員構成もずいぶんと変わったのですね。結論としては、(総会によって承認が得られれば)取締役会の構成メンバーの全体数が減って大株主側候補者とプロパー出身の方がちょうど半々になるそうです。それでも任天堂創業家側としては歓迎をしている、とのこと。記事のトーンは「混乱時期からガバナンス整備時期へ」ということで、経営戦略の方向性が未だ見えないところはあるものの、ガバナンス改革は良い方向に進展している、というものです。
自分が否決されたので偉そうな言い方はできませんが、(とりまとめ役として)監査役候補者を含め、昨年(大株主側候補者である)10名で何度か協議をしましたが、どなたも社外取締役(社外監査役)としてふさわしい人たちだと感じました。はっきりとした自分の意見を持ち、安易に迎合せず、それでも企業価値をどうすれば向上させることができるか、他者と是々非々で議論を重ねて真摯に実践する覚悟をお持ちでした。その後、取締役会が任天堂創業家側ファンドのTOB提案を安易に受け入れなかった一連の経緯は皆様ご承知のとおりです。
CEOとCOOを分離する、有事型から平時戦略展開型の社長に交代する、社外取締役(大株主側候補者)から常務執行役員に移る人がいる、意見の相違からか(?)役員を辞退する人もいる、相談役・顧問の多くがわずか1年で退任する。この1年のガバナンス面、業務執行面での様々なイベントを通じて、執行と監督の分離を徹底する(取締役会がモニタリングに徹する)ガバナンスの確立が「カタチになってきた」ということでしょうね。
さて、ガバナンスがしっかりしてきたとなると、つぎは東洋建設の将来に向けた事業戦略の方向性の決定とその実践ですね。その戦略を遂行するにあたり、現在の役員構成がふさわしいのかどうか。別の大株主である前田建設工業の意向はどうなのか。N弁護士やM氏など、法律雑誌によく登場される方々も再任予定とのことで、また雑誌等でガバナンス改革の好事例の渦中にいた方として知見を語っていただける日が来るかもしれません。外部から野次馬として、これからも注目しておきたいと思います。
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