関西テレビ「さまよう信念 情報源は見殺しにされた」
昨年11月、関西テレビのドキュメント「逆転裁判官の真意」をご紹介しましたが、あの番組のディレクターである上田大輔氏(組織内弁護士)の新しい制作番組がtverでご覧になれます(さまよう信念 情報源は見殺しにされた)。予告編から引用しますが
17年前、情報源は罪に問われ、見殺しにされた。奈良県田原本町で母子3人が亡くなった少年放火事件。翌2007年、講談社から「僕はパパを殺すことに決めた」が出版される。本には逮捕された少年の供述調書が引用されていたことから法務省が問題視。検察は本を執筆したジャーナリストの草薙厚子さん宅などを強制捜査し、その情報源だった精神科医の崎濱盛三医師が秘密漏示の疑いで逮捕・起訴される。想定外の事態に、出版に携わった関係者たちの信念が揺らぎ始める。法廷で「後悔はしていない」と語っていた崎濱医師。その信念が揺らぐことはなかったのか?そしてメディアは、“表現の自由”に対する公権力の介入にどう向き合ったのか。17年間の沈黙を破った当事者たちが、初めてカメラの前でその真意を語る。
Nスぺ、クロ現などドキュメント番組はときどき視聴しますが、間違いなく今年視聴した中では文句なしの一番の秀作、ぜひ視聴していただきたい60分番組です。もちろん、視点は上田ディレクターのものであり、ご覧になった方は様々な意見を持たれると思いますが、事件の当事者らが17年経過した現時点で語るところは非常に重い。そして最後にはこれまで事件に登場してこなかった「もうひとりの主人公」がインタビューに応じるわけでして、これで事件が「つながる」ことになります(おそらく上田ディレクターが語りたかったこと)。
折しも鹿児島県警の前生活安全部長による内部文書漏えい事件と重なります。崎濱医師の弁護人は存じ上げている弁護士(京大アメリカンフットボール部で活躍していた方ですね)、講談社の出版までの経緯を調査する委員会メンバーの方は、関西テレビ「あるある大事典」事件でも委員をされていた方でした。しかし、よくこれだけの関係者の方々がインタビューに応じていただけたなぁと感心しました。
朝ドラ「虎に翼」をご覧の皆様は「家庭裁判所は愛の裁判所である」と理解しておられるかもしれませんが、ぜひ別の視点から「家庭裁判所」について知っていただければと。
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