空売りファンドの戦略-監査役員こそ見習うべきでは?
7月14日の日経ビジネス有料記事「狙われたレーザーテック CFO交代に勢いづく空売りファンド」を読みました。レーザーテックに空売りを仕掛けたファンド創業者へのインタビュー記事ですが、実際にレーザーテック社のCFOの方が交代したことで、空売りレポートの信ぴょう性が増したのではないか、との話題も出てきています。
レポートは330頁ほどにのぼるのですが、このインタビュー記事を読み、「不正会計の疑いあり」と合理的な疑問を抱くには、会計リテラシーは当然の前提として、企業の財務情報と、業界を取り巻く経営環境への勉強が必要だと痛感しました。そのなかで、開示情報の不自然な変化に注目して「普通だったら、こんな変化にはならない」といった推論で会計不正の疑惑を掲示するというもの。会社側は即時に反論するのですが、当該反論と空売りファンドの推論のどちらを信用するかは投資家の自己責任ということで。
私個人の感想でいえば、ファンドの推論はそれなりに合理性がある、と思料される箇所もあるので、会計不正はないと主張する企業側がきちんと説明できるかどうか、というところに注目してしまいます。ただ、(読み物としての面白さは別として)このファンドの努力は本来企業自身の監査役員がやらなければならないのではないか、と感じました。会計リテラシーと自社ビジネスモデルへの理解があれば、「これっておかしいのではないか」との疑問も出てくるかもしれません。
そういえば6月26日にリリースされた(伊藤邦雄座長による)経産省「持続的な企業価値向上に関する懇談会(座長としての中間報告)」を読みましたが、「経営者を支える経営陣」の重要性のなかに、監査役というフレーズは一度も出てきませんでした(社外取締役はとても重要、とのことでしたが)。かなり悔しいですが、監査役員が経営に関与するためにも、「これって外から見ておかしいと思われないか」という点こそ、監査役がきちんと(学習成果を)社長に投げかけるべきではないかと。
| 固定リンク
コメント