社外取締役が増えると取締役会の審議が形骸化する(ように思う)
本日(10月8日)某社適時開示では、9月の定時株主総会において、会社法上社外監査役にできない人を社外監査役にしてしまった、とのことで、監査役会に欠員が生じてしまったことがリリースされています。会社法上の社外監査役→社外取締役の横滑りはできても、その反対はできないのですよね。選任決議がなされた後に気づくと結構手続きが煩雑となりますのでお気をつけください。
さて、今週はガバナンス関連のエントリーばかりですが、ダイヤモンドオンラインで八田進二先生による「社外取締役はオーナーと刺し違える覚悟を持て!」なるインタビュー記事が掲載されていて、毎度のことながら胸のすくような思いで拝読いたしました。「それだけの気概を持った社外役員がどれほどいるだろうか」「本当に刺し違える気概をもって刺し違えたら、おそらく他社からはもうオファーが来ないだろう」などツッコミを入れたくなるところもありますが(^^;)。
ただ、的を得ていると感じたのは「社外取を増やすほど取締役会内に重要な情報が入りづらくなります」とのご意見。まさにそのとおりであり、社外取締役が3名、4名となればなるほど取締役会の性格(場の雰囲気)は変わりますね。たとえ社外取締役が半数に満たなくても、全員が反対に回れば事実上、審議案件は通らないです。これをおそれて(? というか面倒なことにならないように)重要な案件に関する実質的な意思決定は「専務会」「常務会」といった要職の取締役、執行役員のみで構成された任意の機関でなされていて、取締役会は重要戦略の「お見立て会」「お披露目会」になってしまうことが多いように思います。
取締役会への上程事項についても、事実上、このような専務会・常務会で選別されてしまうので、不祥事案件を社外役員が知る機会もなくなるというわけです。唯一、社外取締役が取締役会議長を務めている企業では、この弊害から免れることができるかもしれません(取締役会の性格を変えるという意味では、やはり社外取締役が議長を務めることの意味は大きいと思います)。
ガバナンスを「見える化」しても、この専務会・常務会は目に見えるものではありません(機関投資家の方々も、あまり気づかないと思います)。集団浅慮からの脱却を図る良い機会であるにもかかわらず、取締役会が「とりあえず社外の意見も聞きました」で終わってしまうのはかなりもったいないように思います。社外取締役の数が増えるほど、上記の傾向は強くなっているので、社外取締役だけの意見交換の場を設けることも必要になると考えます。
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