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2024年10月 3日 (木)

関西送配電社の虚偽報告発覚と「自浄能力」

すでに昨日報じられているように、関西電力グループの関西電力送配電社において、過去の柱上変圧器の不適切事案に関する国への虚偽報告が問題となっております(詳しく伝える朝日新聞ニュースはこちら)。。10月1日付けにて、虚偽報告を指示したとされる同社副社長さんが辞任されたこともリリースされています。

なお、同社のリリースを読みますと、昨年11月に(おそらく電気事業法違反の事実を伝える)公益通報が窓口に届き、社外の弁護士が調査を行い、報じられているような虚偽報告の事実も明らかになったとのこと。同社はこれを自ら公表し、責任者である副社長さんが辞任されたとあるので、おそらく関電グループとしての自浄作用を発揮されたものと推測いたします。

ただ、通報があったのは2023年11月ということで、公表まで11カ月を要しています。まだ全容は解明されていないようですが、そもそも国民の安全に関わる不正を申告してから11カ月もの間、通報者としてはじっと調査結果を待っておられたのでしょうか?私が同様の調査を行っている経験上、通報者が会社の調査結果を待っていられるのは3か月程度が限界であり、もし通報者の目に見えるような対処が認められない場合には、通報者は監督官庁やマスコミに内部告発(いわゆる「外部公益通報」)を行うことが多いです。ということは、今回公表に至ったのは、果たして自浄作用を発揮したのか、それとも外部公益通報によって発覚してやむを得ず公表したのか、やや疑問が残るところです。

本件リリースにおいては、もし自浄作用を発揮して公表したのであれば、内部通報の実効性が高いことを示す好事例となりえます。したがって、なぜ11カ月を要したのか、そのあたりをもう少し詳しく説明されたほうが良いのではないかと感じました(ひょっとすると、通報者も副社長の関与を知ったうえで通報していたのかもしれませんが、そのあたりも不明であります)。

しかし大阪に猛威を振るった2018年の「台風21号」がなければ、そして同社社員による勇気ある公益通報がなければ、国民の安全に関わる問題が明らかになることもなく、そのまま放置されていた可能性があると思うといろいろと考えさせられるところがありますね。

 

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