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2024年10月17日 (木)

今年の「会計監査界隈」で注目すべき三大事件について

一昨日のエントリーについては、熊本市保健所の記者会見記事をもとに修正をしております。賞味期限の改ざん問題はけっこう根が深いことがわかりました。もしお時間がございましたら、そちらもご覧ください。

さて、まだ今年も2か月以上残しておりますが、2024年に会計監査関連の注目案件を挙げるとすれば、下記の三つではないでしょうか。もちろん自分的に会計監査の素人的な立場から興味があったものなので「これはおかしい」とか「他にこんなのもありますよ」という事件がございましたらご教示いただけると幸いです。そもそもこのような事案は何が正しい解決策なのか、どなたか持論を展開して「たたき台(たたかれ台?)」が登場してこないと議論が深まらないと思います。

まずなんといっても「エネチェンジ会計粉飾疑惑事件」ですね。これはおそらく当ブログにお越しの皆様にも異論のないところかと。最終的には会社側が会計監査人の適正意見をもらうために妥協をするわけですが、会社が設置した第三者委員会と会計監査人とで「会計不正(粉飾)」該当性で意見が分かれた、という問題は、ぜひ法律業界と会計監査業界で議論をしていただきたい、と強く願うところです。会計監査人が「見解書」を提出した、社外取締役や監査役から「誓約書」をとりつけた、といったビックリ事実も公表されていて、ガバナンス的にもとても興味深い事案です(ちなみに会計監査人に対する外部からの情報提供にて発覚)。

つぎに「レーザーテック株式空売り騒動」です。アクティビスト(スコーピオン?)によって「粉飾だよね」と300頁を超える報告書が開示され、これにレーザーテック社が調査委員会報告書によって「会計不正は見当たらない」と対抗したもの。株価は一時急落したものの、アクティビストによって指摘された疑惑を一つ一つつぶしたことで市場からは好感されました。風説の流布に該当するのではないか、といった意見も出て、ややグレーゾーンが残ったような雰囲気もありましたが、事後的に円満解決になったということであれば、今後同様の会計不正疑惑に関する意見開示の事案も出てくるのではないでしょうか(ちなみにレーザーテックさんとは関係ありませんが、エンロンの巨額粉飾事件を最初に指摘したのも米国大手ヘッジファンドでした)。

そして最後に環境経営総合研究所(ERI)の会社更生事件です。事実関係はまだ今年いっぱいくらいまで新事実が出てくるのかもしれませんが、ESGの時代にふさわしいビジネスモデルとして世間が注目するなかで、15年も前から虚偽の売上が計上されていたということで驚きの倒産劇です。資本金は24億を超えていますので、当然会計監査人による会社法監査は受けていたはず。しかし会計監査人が誰なのか、どんなガバナンスだったのか(取締役+監査役+会計監査人、という機関形態も可)謎に包まれたままであります。もし懈怠があるとすれば、会社法違反の罰則があまりにも緩いので、会社法を改正すべき論点だとは思うのですが。金融機関や格付け機関は同社のガバナンスをどのように評価していたのか、とても関心があります(金融機関からの会社更生開始申立によって発覚)。

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コメント

いつも勉強のため拝見しております。ありがとうございます。
私は経理周りのお仕事をしているものですが、会計監査周りでは、今年はサンテック社も非常に大きな事件だったと思います(会計監査人が意見不表明を出されました。更に会計監査人に就任初年度のことであり、かつその後辞任)

会計監査人と経理部門(会社サイド)の信頼関係がこじれたことなども要因だったようです。


開示等はしていただきたくないのですが、3大事件の中で私は、エネチェンジについでの2位にしたのはサンテック社でした。(エネチェンジは頭一つ抜けていますが)

また、会社更生事件のほうは知らなかったのでびっくりしました。登記を見たら、会計監査人の記載がなかったのでその時点で問題ですね(投資や貸付等する際には、登記の確認は必要だと改めて思いました)

投稿: 匿名 | 2024年10月23日 (水) 18時35分

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