弁護士によるインサイダー取引-「市場の公正性」はいずこに
メガバンク行員、裁判官(金融庁)、東証職員ときて、今度は弁護士とのこと(時事通信ニュースはこちら)。市場に関与していた弁護士ではありませんので「一次情報受領者」として株の売買に及んだようです。当該弁護士の方も課徴金処分となりましたが、同時に情報伝達者も処分の対象とされています。わずか数万円の利益のために重大な法令違反行為に及ぶとは、ホントに常識では考えられません。なぜバレないと思ったのでしょうかね?
まさか「バレても課徴金で済むレベルだから大丈夫」といった規範意識があったとすれば、もう一度インサイダー取引規制の在り方から考え直す必要がありそうです。
| 固定リンク
コメント
今回の金融庁・東証の職員によるインサイダー事案について、気になるのは比較的「若手」によるルール違反だということです。資本市場に関係する一定以上の年配の人間は、インサイダーに関するルールの変遷やその元になった大事件などを知っています。
ところが若手はそういった経緯を知らず、なぜそのようなルールができたか、そのためにどれだけの大騒ぎがあったかを体験していません。
また学生から社会人に変わるときのギャップもあります。若手職員のごく一部に、ルールに対して極めて安易に考えていて、「根拠のない自信のようなもの」により、学生時代のルール違反と同レベルに社会人になったときのペナルティを軽く見ている者がいます。今回のような事案は、「身近な上司に怒られないようにやれば大丈夫」と考えたのではないでしょうか。若手は、「知らない人に見られているという経験が少ない」、というのは社会人経験が長い上司から見ると見落としがちな点です。
また、昨今のハラスメント怖さから指導教育の深度が低下しているのではないか、という可能性もあります。
なので、今回の件についてはなぜ安易に「やっていい」と考えたかという点について根本原因をしっかり分析してほしいと期待したいです。
上記の仮説の通りであれば、対応策として有効なのは若手に対する根本的な教育方法の見直しと、その上司の心の持ち方です。将来ある有望な若手の人生をルール違反でめちゃくちゃにしないようにするのは(大変ですが)上司にも責任の一端があると思います(そう教わってきましたが、反省も込めて自分も十分できたわけではありません)。
投稿: 柳澤達維 | 2024年10月27日 (日) 04時17分