損保ジャパン-不祥事忘れない(伝承室の設置とリマインダーセッション)
今年の10大企業不祥事のひとつ(と勝手に思っている)であるJR九州高速船浸水事故の第三者委員会報告書が本日リリースされましたね。最近は社外役員さんが調査委員に含まれるケースが多いので、純粋に外部有識者のみによる「日弁連ガイドラインに準拠した第三者委員会」の報告書は久しぶりに出会えたような気がします。たいへん興味深いのですが、まだ読み込む時間がないので、追ってご紹介いたします(以下本題です)。
少し前の記事になりますが、11月7日の日経記事によりますと、損害保険ジャパン社は旧ビッグモーター社の保険金不正請求や企業向け保険料の事前調整、さらに情報漏洩問題を受けて、社員に教訓を伝える展示室(伝承室)を新設するそうです。行政処分の内容や顧客からの声を資料や動画で残し、毎年11月を全社員が一連の問題を反省する月間と定め、記憶の風化を防ぐ、とのこと。調査報告書なども閲覧できるようです。
事故の風化を防ぐといえば、以前コンプライアンス研修の講師を務めさせていただいた名古屋のパロマ(当時はパロマ工業)さんの事故記念館が有名です。こちらの記事等、何度もご紹介したパロマ工業の給湯器事故を忘れないための「一棟の建物」ですが、私も見学させていただきました(本社に来られた営業上のお客様にも閲覧していただくそうです)。事故を起こした給湯器が当時のまま「生々しく」展示されていますし、社会的批判を浴びたメディア記事なども閲覧できます。社会的な非難を受けて20年が経過し「当時を知る社員」もかなり少なくなったのではないでしょうか。(パロマ社は非上場ですが)健全なリスクテイクが求められる時代となりましたが、消費者の安全を第一に考える姿勢をいつまでも維持するために「パーパス」を具現化したものと言えます。
毎度申し上げることですが、不祥事の早期発見・早期是正は自助努力でできますが「不祥事予防」はステークホルダーとの連携がなければ困難です。せっかく「伝承室」を作るのですから(一般には非公開であったとしても)、取引先や顧客、代理店の皆様には広く展示物をご紹介してはいかがでしょうか。新しい社長さんが「売上至上主義からの決別」を宣言されていましたが、不祥事を疑似体験していただくことによって「損保ジャパンの再発防止に協力しよう」との意識を持っていただく契機とすべきです。
| 固定リンク
コメント