社外取締役急増によって変わりつつある企業法務の風景
まだまだ本業における苦悩が続いておりまして(笑)、ブログ更新も週一くらいになりそうです。ブログといえば、若き女性社長さんの「ワタシってこんなにすごいの!」といったエントリー(note)が随分と世間を騒がせておりますが、私もときどき苦情が入って「こっそり」修正したり削除しているので、あまり偉そうなことは言えません。ブログを書き始めてもうすぐ20年になりますが、やはり細心の注意をもって文章を書くしかないと思います。
さて、ほぼ100%の東証プライム企業で社外取締役が3分の1以上を占める時代となりまして、企業のコーポレートガバナンス回りの景色も変わりつつあるように思います。そこで、社外取締役の急増によって、風景が変わってきたと感じている点について指摘しておきます。
ひとつは(不祥事発覚時における)日弁連ガイドラインに準拠した第三者委員会が減っているのではないか、との実感です。きちんと調べたわけではないのですが、ボードに社外取締役が増えたことで、社外取締役が委員会メンバーに入って積極的に調査活動に関与する、という傾向が強まっています。ステークホルダーの納得感が得られているかどうかはさておき、おそらく調査委員会の費用も低く抑えられることになっているのではないでしょうか。
つぎに「指名委員会等設置会社」の建付けを見直す機運が高まっていることです。2000年代初頭に委員会設置会社(現指名委員会等設置会社)の機関設計が認められたわけですが、少ない社外取締役でも、法定の三委員会(指名委員会、報酬委員会、監査委員会)の過半数を社外取締役で占めることでモニタリングモデルのガバナンス構築を図る道が作られました。しかし、取締役会自体に社外取締役の数が増えたので(つまりモニタリングは委員会ではなくても取締役会で図られるので)、今度は三委員会の権限が強すぎる・・・という短所が(やたら)目につき始めました。
そして最後が「取締役会における取締役の行為規範」です。当ブログでも過去に何度か話題にしたところですね。重要な取締役会上程事項の審議において、賛成や反対の意思表示以外に「中立」という意思表示は許されるか、とか、業務執行報告は半年に1回でもよいか、業績連動報酬の決定において対象取締役は審議に加われるかといった、企業統治改革が進む中での新たな法的論点(取締役の善管注意義務に関する論点)が浮上してきた、ということです。
まだ、あまり世間では注目されていないものばかりですが、いずれも結構企業実務への影響はあるのでは・・・と思っております。また時間的な余裕ができればひとつひとつ検討したいと考えております。
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