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2024年12月25日 (水)

完全オンライン株主総会の手続き簡素化(会社法改正)

本日(12月24日)、私も委員を務めております消費者庁の公益通報者保護制度実効性検討会(第9回)が開催され、報道されているとおり公益通報者保護法の改正に向けた報告書案がとりまとめられました。内容については述べませんが、5月から何度も実質的な審議を重ね、ここまでやっとだとりつきました。山本座長の「最終意見陳述」が心にしみました。もうここまで来ると、なんとしてでも来年の通常国会に改正案が上程されることを強く希望しております(以下本題-本日は完全オンライン株主総会に関するお話です)。

さて、12月23日の日経ニュースによりますと、政府の規制改革推進会議は株主総会を完全オンラインで開くのに必要な手続きをしやすくすることを検討しているようです。(産業競争力強化法上で求められるような)定款の変更や所管大臣による確認も不要として手続きを簡素化するそうで、会社法の具体的な改正項目を検討して、2025年2月に予定する法制審議会に諮問、早期の国会提出を目指す、とのこと。ちなみに経産省「稼ぐ力の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会の報告書案」でも「バーチャルオンリー株主総会」として会社法改正が検討されていますね。

もし会社法改正につなげるのであれば、これまで誰もが想像する「リアルな株主総会」の電子化による延長・・・のようなイメージを持ってしまいそうですが、そのような「株主総会効率化」のイメージはいったん頭の中から消し去って、新しい株主総会のイメージを作り直す必要があるのではないかと思う次第です。つまり、企業統治改革の進展によって、受託者責任を負った株主(機関投資家)と会社との対話は一年を通じて行われているのであり、その年間を通じたエンゲージメントに基づく賛否集計システムが年に一度の株主総会として稼働する、というイメージです。

完全オンライン株主総会への取組みも、日本の企業において、DX革命が既存事業の効率化には寄与しても生産性向上には寄与していないのと同じ状況に陥ることが懸念されます。同じ場所に集まって議論することによって、株主の意見を集約していくという従来の発想を消し去って、株主(機関投資家)にも受託者責任という法的義務を尽くしていただき年間を通じたエンゲージメントを必須のものとしなければ、バーチャルオンリー株主総会を上場会社に浸透させることはできないように思いますが、いかがなものでしょうか。

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