証券アナリストジャーナルに講演録を掲載していただきました。
フジテレビ問題については、ダルトンインベストメンツが3回目の書簡を送付したそうで、今回は具体的に相談役取締役であるH氏の辞任と独立社外取締役を過半数とする取締役会構成を求めるとの要望を出したそうです(こちらのニュースが詳しく報じています)。定時株主総会で再任案が出れば他の株主の賛同を得ることを想定したキャンペーンを張るのでしょうね。こちらのエントリーでも述べましたが、最終的には株主総会で経営責任を追及してガバナンスの一掃を求める、ということでしょうか。
ただ、どなたもフジメディアホールディングスとフジテレビの「監査制度」をどのように改革すべきか、ガバナンス不全が問題になっているにもかかわらず具体的な提案がないのは寂しいですね。日産のカリスマ会長を排斥した大事件は「ひとりの日産の常勤監査役の行動」から始まったことをもう多くの方が忘れてしまったのかもしれません。
さて、日本証券アナリスト協会の月刊誌「証券アナリストジャーナル」2025年2月号に「近時の企業不祥事とアナリストが持つべき視点」と題する講演録を掲載していただきました。本講演録は、昨年10月29日に日本証券アナリスト協会で開催された当職の講演要旨に、今年1月上旬までの情勢変化を踏まえて加筆したものです。
ここのところ国内外のアクティビストやパッシブ投資家の皆様からの支援要請、ご相談、ご講演がとても増えました。いずれも不祥事発生企業に対するエンゲージメントの手法や議決権行使(行使基準の判断)についてでありまして、株主エンゲージメントやアクティビストのキャンペーンへの対応などが中心です。そのような職務のなかで、ぜひとも証券アナリストの皆様に、どのような視点で不祥事発生企業に向き合っていただきたいか、本当に個人的な意見ではございますが講演をさせていただきました。
とりわけ、私も「再発防止策」のアドバイザーや外部モニタリング機関の一員として不祥事に強い企業と脆い企業をみてきましたので(けっこう辛い思いもしましたので)、大きな不祥事を起こしても、業績も株価も回復させる企業と、不幸にして同業他社に統合されてしまう企業の組織風土にはどのような違いがあるのか、そのあたりを経験に基づいてお話しました。さらに、近時の企業不祥事の特徴と、不祥事防止策の傾向などについても書き加えました。 私自身も、まだまだ実務を通じて「気づき」を得ているところですが、ご参考になれば幸いです。
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