« FMH・CXの第三者委員会報告書-日本監査役協会のご意見をお聞きしたい | トップページ | 公益通報者保護法・改正法案の実質審議が始まりましたね »

2025年4月14日 (月)

「株主と対話する企業」12年ぶりの「第2版」発売

東証の企業行動規範の改訂といえば少数株主保護を強化したMBO指針の改訂が話題になっていますが、4月10日の日経ニュース「IR体制整備急ぐ上場企業 東証新ルール、負担増に懸念も」で報じられたIR部署、IR担当者の義務付けに関する規程の新設も話題になりそうです。

Img_20250412_212300_512 いずれも機関投資家がスチュワードシップ・コードに基づく責任を果たすことを後押しするための改訂ですが、MBO指針改訂とは異なり、IR担当者の義務付けは上場企業全体に関わる改訂であり、大規模上場企業にとっては「何をいまさら」ということかもしれませんが、中小上場企業にとってはかなりインパクトが大きいのではないでしょうか。

フジテレビの第三者委員会の仕事が終わったらぜひ読みたいと思っていたのが「株主と対話する企業(第2版)-「対話」による企業価値創造と大競争時代のIR・SR」(三菱UFJ信託銀行コンサルティング部/証券代行部 日本シェアホールダーサービス編著 商事法務 2,800円税別)でして、一気に読了いたしました。そこそこ理解していたことの確認という意味で読み始めたのですが「新たな気づき」とか「これは勉強不足」と反省するところもあり、とても有益でした。エンゲージメント(対話)の重要性が語られる中での機関投資家側の課題(問題点)にも触れられています。

日頃から大手機関投資家と接しておられるIRアドバイザー企業のご担当者の皆様が、専門領域の視点から「企業統治改革の現在地」を解説しておられ、近時のコーポレートガバナンスに関心のある方には必読の一冊と思います。なんといっても初版から12年ぶりの「第2版」ということもあり、初版とはご執筆者も違いますし、取り上げるテーマも異なるわけでして、まさにIR部署、IR担当者が義務付けられる時代には上場企業の経営者こそ理解しておくべきテーマがてんこ盛りとなっております。帯には「アクティビズム」「サステナビリティ」などのキーワードが並んでおりますが、「資本コストを意識した経営とは何か」といった根源的なところから実務上の理解が進む点に特長があります。

私自身の感想としては「アクティビストから株式を大量保有されてしまった、どうしよう」と悩む前に、アクティビストが株式を保有する「旨味のない会社」になるための参考書としてお読みいただくほうが良いのではないか、と思いました。

|

« FMH・CXの第三者委員会報告書-日本監査役協会のご意見をお聞きしたい | トップページ | 公益通報者保護法・改正法案の実質審議が始まりましたね »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« FMH・CXの第三者委員会報告書-日本監査役協会のご意見をお聞きしたい | トップページ | 公益通報者保護法・改正法案の実質審議が始まりましたね »