フジ・メディア・ホールディングスが第三者委員会報告書を公表しました。
3月4日にフジ・メディア・ホールディングスの第三者委員会委員に就任して以来、すっかりご無沙汰しておりました。兵庫県知事の文書問題にかかる第三者委員会報告書という画期的な(今後おおいに実務の参考になるであろう)報告書が公表されていましたが、なんらコメントも残すこともできませんでした。近々、この第三者委員会報告書については当ブログでも解説したいと思います。
さて、報道のとおり、当職が委員を務めておりましたフジ・メディア・ホールディングスの第三者委員会報告書が公表されました。しかし、この公表方法は誠実とは言い難いですね。普通は「公表版」「公表版別冊」「要約版」と分けて開示するでしょう。この公表方法だと、せっかく要約版を作ったのに要約版の存在を知ることが困難です。(>_<)
私は2時間の会見でひとことしか発言しておりませんでしたが、やはり注目の会見とあって緊張しておりました。調査の中身についてはここでは述べませんが、本日発表された「女性A」さんの(代理人を通じた)コメントを聞き、「調査の中立性・公正性を貫くことで、N氏側にも、女性A氏側にも納得できない内容が含まれることになるけれど、ただこの報告書の公表が二次被害を発生させることだけは避けたい」といった気持ちでしたので、(ほんの少しですが)解放された気分であります。
とりあえず少しお休みをいただいて、またブログを再開いたしますので、引き続きどうかよろしくお願いします。
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コメント
山口先生
フジHDの第三者委員会、お疲れ様でした!
監査懇話会や協会のほうで何回も先生のセミナーを視聴させていただいております。今は大阪のALLAGI という会社の監査役をしています。
昨日の記者会見では、先生の髪形や眼鏡?が気になりましたが、やはり記者会見では通常とは違う雰囲気で登場されるのですね。
そんなことはどうでもよかったですね。
また、休養されて先生の冴えた目線のブログを楽しみにしています。
投稿: HT | 2025年4月 1日 (火) 15時31分
いつもこちらのページで勉強させて頂いております。今回は、急な要請で大変だったと思いますが、本当に素晴らしい報告書で感心しております。ここで危惧されていた「3月末では時間が足りないのでは?」とのコメントも気になっておりましたが、類似案件についても、もしかすると気になる事案もあったかもしれませんが、重要な2案件に集中して報告されたことも時間との関係で的確で理解しやすい報告となっておりました。さすがに日本のトップを誇るメンバー構成の第三者委員会だけに素晴らしい報告書であったと感じております。本当にお疲れ様でした。フジテレビが社員を大切にして、正しい報道ができる企業に改善されることを祈っております。
投稿: unknown1 | 2025年4月 1日 (火) 16時04分
山口先生、委員会発足当初には、各方面からこのような短期間では十分な報告書が出ないのでは、などと憶測が流れていました。ところが、この堂々たる内容はどうでしょう!調査期間中の寝食を忘れてのご奮闘が伺えて、感嘆の気持ちを禁じ得ません。
投稿: Qちゃん | 2025年4月 1日 (火) 16時13分
HTさん、ありがとうございます。髪型や眼鏡だけでなく、プロのメイクまで施しておりまして(誰も気づかないと思いますが)そういったやり慣れていないことが緊張感を高めていたところがありました。
unknown1さん、コメントありがとうございます。類似案件の開示については、実は会見でも話せないこともあります。そこらあたりを話す時間があれば、もっと深みのある会見になったのではないかと感じております。
Qちゃんさん、ありがとうございます。
私も当初大丈夫かな・・・と思いましたが、委員会の体制がきわめて充実しており、日弁連ガイドライン準拠委員会経験者が多かったために生産性が極めて高い仕事ができました。私が言うのもへんですが、各チームの委員補佐の能力の賜物でした。
投稿: toshi | 2025年4月 1日 (火) 16時19分
山口先生
第三者委員会お疲れさまでした。
報告書を拝読させていただきましたが、Bさんの事案の詳細とその背景にあるフジに蔓延していた時代遅れの人権軽視の風潮及びその原因にまで鋭く切り込んだ、たいへん素晴らしい内容だと感じました。
今後の類似案件の指標となる報告書だと思います。
また、第三者委員会の在り方・目指すべき姿を、一段高いレベルまで引き上げたのではないでしょうか。
個人的には、性暴力の被害者であるにもかかわらず様々な誹謗中傷を受けていたBさんが、本報告書によって救われることになり本当に良かったと感じています。
同様に一管理職の職責を超える負担を課せられた上で世間から非難されていたF氏も本報告書で救われると思います。
フジには第三者委員会が明らかにしてくれた数多くの問題点を速やかに解決していって欲しいです。
大多氏はじめ報告書に名前の出ている方々の責任もハッキリさせるべきかでしょう。
またガバナンス不全に陥っていたことは明らかなので、委員会設置会社に移行しガバナンス強化と透明性を高めることも、大いに検討すべきかと考えます。
最後に、今回の報告書で明らかになった問題点が一刻も早く改善され、多くのステークホルダー、とりわけ真面目に働いているフジテレビの社員の方々が、安心できる会社に生れ変ることを切に願います。
投稿: 艦長 | 2025年4月 2日 (水) 11時20分
艦長さん、コメントありがとうございます。
私が今後の再発防止策についてここでコメントすることは控えますが、「Fさんは報道されていたところとは異なり、ずいぶんと尽力されていた」という意見は、いろいろなところから聞こえてきます。
フジテレビとして、今後やらなければならないことは多いというのは私も同感です。
投稿: toshi | 2025年4月 2日 (水) 11時46分
山口先生
お疲れさまでした。短期間であれだけの調査報告書を作成するにあたり、さぞ心身共に疲労困憊だったでしょう。テレビでは少しやせたように見受けられました。(竹内氏は太ったような感じでしたが)
報告書から
フジMHは監査関連(監査等委員会・監査役・監査部門)が全く機能していない(執行側が報告をしないためも含みます)会社であり、社外を除く取締役の方々は臭いものには蓋をして関係者のみで処理をする悪いオーナー会社の類だったと判断します。また、フジMHが普通の会社と改善が認められるまで、報道関連の放映は差し控えべきレベルの会社です。3ライン等の責任について監査等委員会が損害賠償訴訟をしないと判断したことも不可解です。・・・そのため株主訴訟が提起されましたが。
投稿: コンプライアンスの番人 | 2025年4月 2日 (水) 12時59分
山口先生 お疲れさまでした。
竹内委員長以下ドリームチームでの調査にふさわしく、証拠に基づいた事実認定、すばらしかったです。特に、証拠がないから分からないと逃げるのではなく、限られた証拠で踏み込んで事実認定をされたところには敬意を表します。
強制権限がないとはいえ、限られた証拠でも事実認定をしてくる委員会に対しては、疑惑を持たれている当事者は、きちんと証拠提出をして申し開きをしないといけない時代になっていますね。
また、記者会見お疲れさまでした。委員長が別人のような写真で映っていたのは、メイクのおかげもありそうです。
絶対延長と思っていたのですが、期限に間に合わせるすばらしいチームでしたし、報告書の内容も、読みやすく、また、ステークホルダー、特にフジメディアグループ社員やOBの気持ちに、かなり正面から応えたよみごたえのある、かつ意義のあるものだったと思います。
実際、この報告書については、委員会への批判は殆どききません。忖度をしない、勇気を持って事実認定をした、こういったことが、第三者委員会としての報告書の価値を高めていると思います。
公認不正検査士の勉強会で、テーマにさせていただきます。
投稿: Kazu | 2025年4月 2日 (水) 13時22分
コンプライアンスの番人さん、KAZUさん、コメントありがとうございます。報告書については賛否両論あるのは当然ですが、これを題材にビジネスと人権に関する議論が企業でなされることとなれば幸いです。「カスハラ」も「ビジネスと人権」も過渡期にある課題です。おそらく経営環境の変化によって、他社でも重要なテーマになるはずです。
投稿: toshi | 2025年4月 2日 (水) 21時45分
山口先生
昨年監査懇話会で先生のセミナーを会場で聴講させていただきました。
まず、第三者委員会お疲れさまでした。
ハラスメントや性加害という非常に難しいテーマで、泣く子も黙る超有名タレントN氏が関わった世間的にも話題となった案件、おまけに当初の委員の一人が途中で辞任されてある意味ピンチヒッターという感じで報告期日まで1か月を切った中での途中参加というさらに難しい局面だったと思いますが、報告書を拝読いたしまして、この短期間でここまでの事実認定をなされたことに対しまして、改めまして竹内委員長、五味委員(このお二方も監査懇話会のセミナーを視聴したことがあります。)、そして山口先生に敬意を表したいと思います。
被害にあわれたBさんも、本報告書によって救われることになり本当に良かったと感じていますし、何より誹謗中傷を受けることも覚悟されたと思いますが、勇気を出して告発したことを契機に、ハラスメントや性加害に対する考え方も変わっていくと思いました。
今回の報告書を見て感じたことは、削除された電子メール等のやり取りがデジタルフォレンジックやデータ復元によって明らかにされて、N氏やフジテレビの関係者の悪質さが明白なものとなったことを踏まえ、デジタルフォレンジックやデータ復元の技術力の高さやその影響力がますます高まるだろうと感じました。この点、山口先生のご見解をいただけますと幸いです。(もちろん今回の案件については守秘義務があると思いますので、言及できる範囲で差し支えございません。)
また、第三者委員会で委員の方が途中で辞任されたことにも驚きましたが、このようなケースはあまりないと思っておりますが、この点についても山口先生のご見解をいただけますと幸いです。
末筆ながら、山口先生の今後のブログの更新を楽しみに待っております。
投稿: masa | 2025年4月 3日 (木) 21時39分
masaさん、コメントありがとうございます。報告書公表後3日ほど経ちましたが、まだまだ反響が大きくて振り返る余裕もございませんのでご質問にお答えできるものはございません。
ただ、郷原弁護士がご自身のYouTubeチャンネルでも述べておられるように、日本企業のセクハラ対策が、この報告書によって相当程度レベルを上げざるを得ないだろう、という点は、多くの企業の皆様に認知していただく必要があると思います。本報告書がWHOの「性暴力」概念を用いて事実認定に至ったこと、企業のガバナンス、内部統制評価にあたって国連人権指導原則というモノサシを使ったことを認識していただければ幸いです。
投稿: toshi | 2025年4月 3日 (木) 22時55分
山口先生
いつもブログにて勉強させていただいており、ありがとうございます。
また、第三者委員会のお仕事では、お疲れ様でした。報告書を拝読いたしました。
そのうえで、一点感想を記載いたします。
かつて企業にて内部監査業務を担当していた者としては、CX内の監査業務を担っていた方々の無力感に思いをはせてしまいます。
これらの方々はきっと気づいていたが、声を上げるすべがなかったのではないかと。
つまり、リスクマネジメント体制のなかで、123線の防御線すべてが無力化されていたのではないかと感じました。
したがって、この報告書は「内部統制の無力化」の実例を示すものではないかと思いました。
内部統制が無力化されると、リスクが発現してダメージが見える形にならないと止まらないのだと、よくわかります。
こうならないためのリスクマネジメントのはずなのに、実効性のある運用は難しいということを教えてくれていると感じました。
投稿: 花輪くん | 2025年4月 4日 (金) 09時28分