第三者委員会史上最悪の不祥事?-いわき信用組合不適切融資
6月2日、いよいよ改正公益通報者保護法の審議も佳境に入り、参議院消費者問題特別委員会で法案が確定するのではないでしょうか。また衆議院同様、附帯決議の内容についても理解をしておきたいところです。ただ、いくら公益通報者保護法の実効性を向上させたとしても、社員がSNSでつぶやいたほうが不正発覚のためには有用ではないか、と(悲しいかな)思わせてしまう事件がまた大きく報じられています。いわき信用組合の不正融資事件ですね。
いや、これはホントにスゴイです。いわき信用組合が設置した第三者委員会の報告書は、口座偽造などによって不正融資を実行した総額が247億円に上るという驚愕(きょうがく)の内容でして、第三者委員会をして「調査過程でこれほどまでに重要な事実及び資料が隠されるということは、不祥事に伴う第三者委員会の調査実務でも前例のない状況と考えられる。」(同報告書39頁)と言わしめるほどであります。しかし、一体この組織のどのようなエネルギーがここまで調査妨害に走らせるのか、その動機が知りたいです。
過去に不正に手を染めた人たちが内部監査を担当し、過去から不正を熟知していたひとたちが長年監事(監査役)を務めていた、ということなので、再発防止策とかって、ホントに実践できるのでしょうかね?長年会計監査を担当して、ずっと「無限定適正意見」を出してきたEY新日本監査法人の監査に対する第三者委員会のコメントも(会計監査にご興味のある方には)必読ではないかと(たとえばこちらの読売新聞ニュースが参考になります)。巧妙な手口で信用組合からずっと騙され続けてきた(だから会計監査人も被害者です)、で済むのか済まないのか。
なお、私が拙ブログで申し上げたいことは、以下の2点です。ひとつは不正融資の発覚経緯です。X(旧Twitter)に元社員という人が書き込んで、これが拡散したことで発覚しました。30代までの人たちは「不正を知ったら公益通報などせずに、SNSに書き込みます」とする割合がとても高い。これが現実です。「黙って言われたことだけやってればいいんや!」と言われた30代の社員は、「ほな、辞めますわ」の後にこのような選択に至りますよね。
そしてもうひとつは、いわき信用組合の社会貢献です。地方創生に向けて、クラウドファンディング等にも積極的に取り組んでいたのですね。たとえばこちらの記事などを読むと、理事長以下、誰も不正など手を染めている信用組合だとは思わないでしょう。積極的に地域の創生に貢献する金融機関としての評判が高まれば、おそらくステークホルダーの目も曇ってしまうのでしょうね。これもまた現実であり、だからこそ経営トップに忖度しない独立性のある監査体制は大切なのです。
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コメント
これは読みます。金融機関の規模に比して巨額ですね。
投稿: Kazu | 2025年6月 9日 (月) 13時34分