法律実務家のための「コンプライアンスと危機管理の基礎知識」(新刊書のご紹介)
有斐閣から法律実務家向けの新しい「基礎知識シリーズ」の本が出版されまして、その第一弾が「法律実務家のためのコンプライアンスと危機管理の基礎知識」です。はしがきには「本書が想定する読者層は、弁護士などの法曹や企業において法務・コンプライアンスに関わる役職員など、企業不祥事に対応する法律実務家である」と記載されています。
現在、某研究会でご一緒している西村あさひの木目田弁護士よりご献本いただきました(どうもありがとうございます)。木目田弁護士が総論執筆・監修、西村あさひの危機管理グループの皆様が各論執筆ということで、基礎知識を押さえるにあたってはとても充実した内容です。西村あさひの先生方による危機管理マニュアルといえば、大作「危機管理法大全」が存在しますが、こちらの「基礎知識」は、全体をコンパクトに解説した内容と言えるでしょう。ただ、コンパクトといっても①「不祥事対応」に必要な各論テーマ(ほぼ網羅されている)には十分な解説が付されており、②引用されている政府指針やガイドラインなども最新版が紹介されており、さらに③最近の裁判例なども掲載されていて、とても重宝します。さっそく、現在担当している事例について「公表の要否判断」などを参考に、経営陣の方々に説明しようと考えています。
これは個人的な好みの問題ですが、各論部分に「環境法コンプライアンス」と「薬機法」についても触れていただけるとありがたいなぁと思いました。環境法コンプライアンスについては同じ有斐閣の「実務に効く(シリーズ)」で西村あさひの平尾弁護士の執筆部分がとても参考になっているので(環境規制の領域における行政処分と刑事罰との関係性からみて、起訴猶予を目指す必要あり、等)、そのあたりの記述とか、薬機法と景表法、不競法との整理とか、けっこう実務家にとっても分かりづらい「基礎知識」ではないかと思います。
今後出版されるシリーズも、ほぼ企業法務に近いテーマだと思いますので、続編も期待をいたします。
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