これはビックリ(@_@;)!太陽HD、再任否決の前社長が上席専務執行役員で残留?(追記あり)
一昨日アップしている「AGPへの海外ファンドTOBとJAL、ANAの拒絶方針」にtyさんからコメントを頂戴しております。私がモノが言えないところをフォローしていただいておりまして、ご興味がございましたらぜひコメント欄を閲覧していただければと。
さて、今年の株主総会の話題として、ホギメディカル社、栄研化学社等、今年も株主提案が可決されるケースが出てきましたね。ただ、これは単に「大株主が会社に勝利した」と結論だけから判断するのではなく、当該結論に至るまでのアクティビストと会社とのエンゲージメントについて「時間軸に沿った経緯」を詳細に分析把握して、そのプロセスを学ぶ(仮説を立てて検証する)ほうが教訓になるような気がしております(そのあたりは別途エントリーにて解説できればと)。
6月26日追記:東京コスモス電機社でも会社側取締役候補者全員が否決、アクティビスト側取締役候補者全員が選任、という結果になりました。この事例においても、総会を迎えるまでのアクティビスト側の尽力、アクティビスト代表者の覚悟の賜物によるものだと思います。(追記ここまで)
また、株主の意思が総会決議に反映された事例として、大株主が「社長の再任NO」を突き付けて代表取締役社長の交代を余儀なくされた太陽ホールディングス社事案が興味深いです。その結論から、日本の証券市場における「アクティビズム抬頭の象徴例」と評されています(たとえば四季報オンラインニュースはこちら)。ただ、太陽ホールディングス社において、なんと前社長さんが取締役会において「上席専務執行役員」に選定されたそうです(これはビックリです)。大株主の方々は、前社長の業務執行に疑問を投げかけて再任を拒否したわけですから、この大株主の意思に太陽ホールディングスの取締役会は真っ向から反対したものと思われます。たとえばブルームバーグニュースは以下のように報じています。
一方で、新たな火種となりそうなのが、S氏が代表権を持たない上席専務執行役員として経営に関与し続ける点だ。大和総研の鈴木氏は一般論として、株主総会で否決された人物を執行部に残すことは、株主の意向に反し「道義的に大問題」だと指摘する。過去には、フジテックで株主総会直前に取締役再任案を撤回し、退任した社長を会長に登用した際、是認した社外取締役らに批判が集中した。
これを創業家やアクティビストを含めた大株主の方々はどうみるのか・・・。なにもしなければ「株主資本主義もアクティビズムこの程度のもの」と考える人が出てくるでしょうし、今後同様の対応に出る上場会社も増えてくるように思います。とりわけ「独立社外取締役など、何人いても変わらない」と評価されても良いのでしょうかね。
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コメント
株主総会で取締役を外れた人物が直後に執行役員に選定された事例といって思い出されるのは5年前の天馬でしょうか。
その後経営権争いがファンドの参入もあってひっくり返ったところまでは追いかけていたんですが、この記事見て思い出して見に行ってみたらMBOで上場廃止の運びとなっていて驚きました。
投稿: 紡 | 2025年6月27日 (金) 18時54分
紡様の凄い記憶力とDATA力に感服します。
当時、株主総会で否認された前取締役の2人を執行役員に選出したのは現社長でした。それも不祥事の隠蔽の中心となった2人であり、総務人事部長、財務経理部長という立場も継続させました。承認した取締役会状況も報じられましたね。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/062900112/?SS=imgview&FD=-1040850507
投稿: コンプライアンスの番人 | 2025年7月 1日 (火) 10時00分
追記です。
山口先生も非常に明確に問題提起されていました。〔参照:ビジネス法務の部屋;2020年6月30日 (火)ブログ〕その際、紡氏もコメントされており、さすがです。
投稿: コンプライアンスの番人 | 2025年7月 1日 (火) 10時21分
紡さん、コンプライアンスの番人さん、コメントありがとうございます。私も天馬の件はすぐに思い出したのですが、少し前にアイアールジャパンの第三者委員会委員長として報告書を公表しておりますので、この件について触れることはしませんでした。いろいろと関わる案件が増えますと(仕事としてはありがたいことですが)、ブログの記載にも制約が増えて書きづらくなってきました。
投稿: toshi | 2025年7月 1日 (火) 12時43分