金融庁アクションプログラム2025と企業の「稼ぐ力」
6月30日に金融庁のアクションプログラム2025が公表され、2021年以来のコーポレートガバナンス・コードの見直し(第三次改訂)が行われるようですね。企業統治改革の深化に一定の役割を果たしたのが「アクションプログラム2023」だったので、今回も上場企業の経営、とりわけ取締役会改革に大きな影響を及ぼすことになるのでしょうね。
ところで私が無知なだけかもしれませんが(いや、おそらく無知だと思います)、ここのところの企業統治改革の運用をみていて「素朴な疑問」として抱くのが「稼ぐ力」とガバナンス改革との関係です。PBR1倍割れ解消に向けて、多くの上場企業が資本コストを意識した経営、資本効率を向上させるための経営に真摯に取り組んでいますが、これは「本源的価値」に株価が追いつくための施策ではないのでしょうか?
要はガバナンス・コードを実施することは、本源的価値が株価に反映されていないので、反映させるような施策を講じることにある。いわば上場企業が真に投資対象となる「スタート地点」に着くための施策であって、スタートしてから本当に企業価値を上げる(稼ぐ力を取り戻す)ためには、ガバナンス・コードの実施とは別の視点からガバナンスの評価を行う必要があるのでは?
機関投資家の方々も、実はそのあたりは心得ていて、ガバナンス改革に熱心な企業の株価が上がるのは、ようやく株価に本源的価値が反映されるようになるからであり、ではその後に当該企業が持続的成長を図ることができるかどうかは、ガバナンス・コードとは別のところで評価をしなければならないというところは(投資家の方々にも)認識されているように思うのです。
では「稼ぐ力」につながるガバナンス評価とはどこに注目すべきなのか?たとえば取締役会の3分の1や過半数を構成する社外取締役はどのように「稼ぐ力」を向上させるために貢献しているのか(貢献すべきなのか)。その貢献度(貢献可能性)はどのように開示すれば機関投資家に理解してもらえるのか。これらは、何名かの元経営者の方々と議論をしているところでありまして、(講演や研究会発表ではすでに私論としてお話ししておりますが)ブログでもまた別の機会に述べてみたいと思います。
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コメント
>たとえば取締役会の3分の1や過半数を構成する社外取締役はどのように「稼ぐ力」を向上させるために貢献しているのか(貢献すべきなのか)。その貢献度(貢献可能性)はどのように開示すれば機関投資家に理解してもらえるのか。
社外取締役の役割は株主の利益の代表であるところ、その「利益」の主要は株価向上であり、配当ですよね。いずれ、そういう枠組みで社外取締役への評価や選解任を考える仕組みの必要性が出てくるのだろうか、と妄想しています。
(因果関係の把握が難しいし、そんなことしたらなり手がいなくなる、と言われそうですが...)
経営難の某自動車メーカーの社外取締役が全員しれっと再任されているのが、どういう理屈なのかが理解できかねています。。。
投稿: てふ | 2025年7月 3日 (木) 12時35分