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2025年8月15日 (金)

一定規模の企業に内部通報(外部窓口)設置義務を-大川原化工冤罪報道に思う

8月14日の毎日新聞ニュース(特報)によりますと、警視庁公安部による冤罪(えんざい)「大川原化工機事件」で、逮捕された大川原化工機社長らが起訴される5日前の2020年3月、公安部の捜査員が警視庁の監察部門に対し、捜査の過程で違法行為があったと内部通報していたことが判明したそうです(別のニュースによると「捜査員の3分の1が起訴に反対していた」そうです)。しかしながら監察部門はこれに何らの対応もしなかった、とのこと。本日付けでは毎日新聞の特報ですが、これが事実であればきわめて重大な組織不祥事であり、他のメディアでも大きく取り上げられるべき問題案件ではないでしょうか。

本日、「たかさん」から別のエントリーに(本報道を受けて)以下のとおりコメントをいただきました(どうもありがとうございます)。

2025年8月14日付の毎日新聞報道によれば、「大川原化工機事件」において、起訴前に複数の警部補クラスの警察官が上層部に対し、良心に基づき重大な問題点を内部通報していたにもかかわらず、その声は握りつぶされ、証拠の廃棄やもみ消しが行われた疑いが浮かび上がっています。この事案は、現行の公益通報者保護法が「通報を守る」だけでなく、「通報を活かす」仕組みを欠いていることを如実に示しています。現行制度では

•通報を受けた組織が調査や是正を行う義務の実効性が弱い

•通報が握りつぶされることを防ぐ独立ルートが脆弱

•捜査機関内部の通報制度が十分に整備されていない

といった問題があることが記事から読み取れます。今後、次のような制度強化が議論されるべきではないでしょうか。

1.調査・是正義務の強化と外部検証制度の導入

2.独立した外部通報窓口の常設(司法・警察内にも設置)

3.不利益取扱いの厳格な禁止と違反時の制裁強化

4.証拠保全義務の明文化と刑事罰化

今回、公益通報を行った複数の警察官は、職務倫理と市民の安全を守るため、組織内の圧力やリスクを承知で勇気ある行動を取りました。このような人達こそ「真の警察官」であり、国民は賞賛の声を上げるべきです。さらに、行政府を担当している国家議員や立法府を構成している国会議員に対し、こうした人材を警視や警視長など警察組織における管理監督者の立場に抜擢し、組織の立て直しを担わせるよう求めることは、今を生きる私たちの権利であり未来の世代のための責務でもあります。公益通報者を守り、活かし、評価することができる社会こそ健全です。更なる制度改正と国民的意思表示の両輪で、二度とこうした事案を繰り返さない仕組みを築く必要があります。

本件は「指揮命令系統の機能不全が原因だった」と発表されていますが、このような事実が明らかになると、もっと担当者の個人的な責任が追及されるべき原因があったのではないかと思います。もちろん上記毎日新聞ニュースの報道内容が真実であることが前提ですが、本件は次の公益通報者保護法改正に向けた立法事実として記憶に残しておく必要があります。

また、私の印象では内部通報のもみ消しは普通の企業でも発生しているものであり、たとえばオルツの事例(ただし通報者が存在したかどうかは明らかにされず)やいわき信用組合の事例でも、独立した通報受領機関があれば全く異なる状況に至ったはずです。たかさんも指摘しておられますが、一定規模の企業に対しては、高い費用をかけて不正予防措置を構築するよりも、不祥事が起きた場合を想定して(つまり早期発見を重視して)外部に内部通報の窓口を設置することを義務化すべきではないでしょうか。人的資本経営が謳われ、労働人口の流動化も進んでいる中で、もうそろそろ内部統制構築義務の具体的な内容を法制化すべき時期に来ているように思います。

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