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2025年8月21日 (木)

東洋ショー劇場への行政処分から学ぶ「企業コンプライアンス」

事務所から徒歩でも行ける(?)天満・東洋ショー劇場が現在営業停止処分中だそうです(最近、あまり天神橋筋商店街に出向くことがないので全く知りませんでした)。8月20日の産経新聞ニュースによると、劇場の経営者は公然わいせつ罪で略式起訴され、大阪簡裁が罰金30万円の略式命令、これを受けて府公安委員会が(劇場に対して)行政処分として、今年5月から来年1月までの8カ月間の営業停止を命じた、とのこと。

上記産経新聞の記事は、いたって「まとも」な内容の記事ではありますが、残念ながら「なぜ東洋ショー劇場が摘発されたのか」という根本理由については、当然の法令違反の事実以外には触れられていません。「刑事法の違反行為があれば逮捕される」はその通りなのですが、誰もが思っているはずです・・・そんなの、どこでもやってるやろ?なんで東洋ショーだけ?。しかし経営者の刑事罰は罰金30万円なのに「営業停止」(行政処分)は8カ月という重い処分、この「ギャップ」すごいと思いませんか?

企業の法令違反に刑事司法や行政が動くかどうか、という点は、企業コンプライアンスの核心に迫る問題です。法令違反行為についての摘発や行政処分についてもファジーな面があり、上記東洋ショー劇場の摘発・行政処分も、この「ファジー」なところで一歩踏み出してしまったところがマズかったと思います(詳しい解説は差し控えます)。かつてビジネスホテルとして運営していた〇〇ホテル(外観上は誰が見ても〇〇ホテル)が風営法違反で摘発された事例をご紹介したことがありますが(たとえば2008年のこちらのエントリー)、これに類似したところもあります。

①捜査・調査機関の人的・物的資源には限界がある、②しかし今の時代、規制権限者が不正を放置していると行政手続法36条の3により(もしくは市民団体の運動等により)国や自治体の不作為の違法性を追及されるおそれがある、③経営者や法人に刑事罰が科される(たとえ軽微でも!)ことが前提となり、行政による強大な処分裁量権が発動される、といったあたりは、法令違反行為が企業の社会的評価に与える影響を検討するにあたって重要なポイントとなります。

毎度申し上げているとおり、残念ながら企業不祥事が発生するかどうかは「運」でありまして、どんなに誠実な企業でも不祥事は発生します。ただその発生した不祥事が企業の社会的信用を毀損させるかどうかは企業の日ごろからの行い次第です。経済法違反や環境法違反、労働法違反等によるコンプライアンス問題を、いかに企業の信用問題にまで発展させずに済ませることができるか。2005年のブログ開設以来、ずっと「行政法専門弁護士待望論」を主張しておりますが、先の東洋ショー劇場のような事件に関わった経験を有する弁護士に相談ができれば、おのずと企業のコンプライアンス経営への重要な示唆を得られるのではないかと思うところであります。

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