企業のイノベーションを蝕む「コンプライアンス経営」?
8月29日(金)のNHKプロジェクトXは「QRコード誕生-夢路に咲いた世界標準」というタイトルで、デンソーの研究員、トヨタ研究所員によるQRコード開発からISOに世界標準登録されるまでの激動の2年間(1992年から1994年)の軌跡を辿るものでした。研究者たちの凄まじいほどの開発への熱意には今更ながら敬服いたします。トヨタの研究者の方は、交際中の彼女に「このプロジェクトが成功するまで結婚は待ってほしい」と懇願して、彼女もこれを受け入れていたということでしたが、うーーーん、こちらも30年前と今とでは事情が異なるのではないかと思ったりもしておりました。
QRコードの開発と世界標準に向けたサクセスストーリーとして感動しておりましたが、連日深夜に及ぶ研究活動が、果たして「働き方改革」が浸透している現時点の日本企業においてもなしうるものなのかどうか。一つ間違えると労働基準法違反として経営者や法人が刑事罰の対象となってしまう時代に、コンプライアンス経営に目をつぶってでも研究活動に没頭する研究者たちに好きなように仕事をさせる余裕が今の日本企業にあるのか、少し考え込んでしまいました。そもそも現時点でも、生成AIに解析してもらうデータ自体をひとつひとつ手作業で結果を出さないといけない(あえて何度も失敗を繰り返さないといけない)わけですから、おそらくAIに問題解決方法を提案してもらうわけにもいかないと思います。
そういえば当ブログでも過去に小野薬品の事例をご紹介したエントリー(2018年10月29日付け-小野薬品のめざましい業績の陰にコンプライアンス問題?)でも、ストーリー自体は美談ではありますが、研究者の行動はコンプライアンス違反ではないか・・・という疑問が残りました(当時、このエントリーはニュースでも取り上げられましたね)。まさに「コンプライアンスでは飯は食えない」ということで、いろいろと考えさせられましたが、今の時代、企業のイノベーションはどっかでコンプライアンス経営と折り合いをつけなければ実現しないのではないかと。このあたり、メーカーの研究開発に携わっておられる方は労務コンプライアンスをどう考えながらお仕事をされているのか、お聞きしたいところです。
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