ニデック・取引所による特別注意銘柄指定とJ-SOXの重み
10月27日、日本取引所グループは、同自主規制法人の審査を経てニデックを特別注意銘柄に指定したことを公表しています(リリースはこちらです)。報道されているとおり、特別注意銘柄に指定された後、原則として1年後の審査までに内部管理体制などの改善見込みがないと判断される場合は、監理銘柄への指定などを経て上場廃止となる可能性があります。
不正事実の発覚が重なり、第三者委員会の調査も終えていないため・・・といった単純な話ではなく、実はニデックの内部統制報告書では、2023年3月期から三期連続で内部統制には重大な不備があり、有効とは言えないとの評価結果が続いています。2025年3月期に至っては、期末までに重要な不備が是正されているかどうか、すらわからない(評価が困難なため結果を表明できない)という事態となっています。となれば、さすがに(第三者委員会の報告を待つわけにもいかず)当局も手を打たないわけにはいかないでしょう。
以前も申し上げましたが、上場会社の多くでJ-SOXの評価作業および評価結果についてはルーチン化しており、言葉は悪いですが「やっつけ仕事」のようなイメージを持たれているようですが、いざ会計不正事件が発覚した際には、内部統制の有効性を前提として、同種事案の調査範囲などが決まります。しかし、今年9月29日エントリー「ニデック会計不正疑惑が醸し出す内部統制の質的課題と量的課題(訂正あり)」でも述べたように、(経営陣の関与が疑われる等)全社的内部統制に問題がある場合、不正の内容が悪質である場合等では、監査法人による特別調査や監査の範囲を限定することがむずかしいため、財務報告の信用性が担保されず、必然的に監査意見の付された有価証券報告書の提出までに時間を要することになります。「たかがJ-SOX、されどJ-SOX」です。
とりわけ内部統制が有効でない状況が3期も続くとなると、もはや上場会社としては異常事態であり、ニデック自身による内部管理体制の改善が認められなければ上場企業としての参加資格を認めることはできない、ということになるのでしょうね。おそらくニデックのガバナンスから見直しが必要となるので、全社レベルでの対応が求められるはずです。
ただ、従前から申し上げておりますとおり、私はニデックのガバナンス再構築の最中で起きた「一気に膿を出し切る過程での会計不正」だと解釈しておりますので、投資家からみてそれほど深刻な事態ではないように思います(もちろんニデック自身が一生懸命ガバナンスの見直しに取組めば・・・という前提ですが)。最近、関西電力のグループ会社「かんでんエンジニアリング」で消防署への虚偽報告、配電工事の水増し請求等、不祥事が続けて発覚し、謝罪会見が開かれていますが、これも自浄作用が発揮された上での不正公表であり、関西電力グループ挙げてのコンプライアンス経営推進の途上にあることを示しているものと(私は前向きに)理解しています。
