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2026年2月27日 (金)

企業価値向上に貢献する監査役等の新たな使命~あらためて考える常勤監査役等の役割(告知)

あいかわらず東京大学のプロセス検証委員会の仕事で忙しくしております(あと1か月!)。なかなか更新できずに申し訳ございません。。。

さて、本日は告知でございます。日本監査役協会が主催する春の監査役全国会議が(今年は関西支部50周年記念ということで)大阪で開催されます。会員企業の皆様には2日ほど前に告知されましたが、今年のテーマは「企業価値向上に貢献する監査役等の新たな使命~あらためて考える常勤監査役等の役割」ということで、私が基調講演を行います。その後のパネルディスカッションでも司会(ファシリテーター)を務めます。以下、会員告知の内容を引用しますと、

【日 程】 2026年4月16日(木)13:00~17:00
【会 場】 ホテルニューオータニ大阪
<後日オンデマンド視聴> 4月下旬配信開始予定

【プログラム(一部抜粋)】
・祝辞   公益社団法人関西経済連合会 会長 松本正義 氏
・基調講演 山口利昭法律事務所 弁護士 山口利昭 氏
・パネルディスカッション
 パネリスト 公認会計士 北山久恵氏、同志社大学法学部 教授 川口恭弘氏、日東電工株式会社 常勤監査役 徳安晋氏
 ファシリテーター 山口利昭法律事務所 弁護士 山口利昭氏

となります。5年ぶりにコーポレートガバナンス・コードが改訂されますが、もちろん、「攻めのガバナンス」全盛の時代背景を前提としたうえで「いまなぜ常勤監査役(常勤監査等委員、常勤監査委員)なのか」というテーマについて語りたいと思います。

本業の委員会活動と並行して準備しなければいけないのでたいへんですが、誰かが真正面から向き合って方向性を示さなければならないテーマなので、ぜひ多くの取締役、監査役、取締役会事務局、監査役等スタッフの皆様にご臨席、ご視聴いただきたい。

けっして上場企業の監査役・取締役だけに関心が向きそうな話にはしませんし、不祥事企業の話に偏ることもありません。ひごろ、往査に勤しむ常勤監査役等の皆様が元気になるような内容にしたいと思っております。監査役協会の会員企業以外の方もご参加できますので、ぜひご検討ください。

 

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2026年2月10日 (火)

東京大学「プロセス検証委員会」委員長に就任いたしました。

2月9日午後9時ころに公表されましたが、2月5日に設置されました東京大学の「プロセス検証委員会」委員長に就任いたしました(こちらでリリースされています)。

東京大学の医学系研究科・医学部カンナビノイド学社会連携講座における収賄案件、医学部附属病院救急救命センターにおける収賄事件など、一連の事案に対する東大の対応プロセスの問題点を検証するため、2月5日付で設置された外部第三者による委員会です。3月末が報告書提出期限ということで、(世間は選挙の話題でもちきりでしたが)先週からすでに忙しく動いております。

ということで、KDDIの架空取引案件など、ブログで書きたい事案もありますが、しばらくの間は更新が滞りそうです。更新が途絶えてもけっして病気とか私の不祥事とかではございませんのでどうかご理解ください<(_ _)>。

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2026年2月 5日 (木)

企業買収行動指針に補足文書が添付されるそうで・・・

次の日曜日は「豊臣兄弟!」も「リブート」も放送休止ということですが、「続きがどうなるの?」と気になっていたところで、とても残念であります。

さて、経済産業省の「公正な買収の在り方に関する研究会」が再開されたのですね(経産省リリース)。2月4日の日経ニュース(朝刊1面トップ記事)では「M&A合戦、提案価格安くても勝てる? 企業の成長重視へ経産省が指針」とか「過度な株主優先に歯止め 買収諾否、企業は説明責任一段と」といった見出しで

指針自体は改定せず、補足資料やQ&A集といった補足文書の作成を想定する。企業やM&A助言会社などへの聞き取り調査も踏まえた上で、5月をめどに取りまとめる。

と報じられています。「うーーーん、ヤバいなぁ・・・」というのが率直な感想です。

本日も、あるガバナンス研究団体の理事の方から「先生が委員長を務められた東京コスモス電機の検証委員会報告書、あれ、研究題材に使っていいですかね?ちなみに発表者は〇〇先生です」とのお電話がありました。そうなんですよ。今回の行動指針の事実上の改訂の論点は、まさに東京コスモス電機報告書の最大の論点と一致しております(企業価値を高める可能性が高いのであれば、低い買収価格の提案者に賛同してもいいんじゃないの?「真摯な検討」しちゃってややこしくなるくらいなら、そもそも「真摯な検討」をしないで済むように(「真摯な提案」をさせないように)頑張ればいいんじゃない?)。

上記記事の中に登場する慶応大学の久保田教授のご発言や京都大学の松尾教授のご発言の方向性に悩みながら、委員会で出した「考え方」と「結論」が当該報告書にまとめられております(たぶん甲南大学の梅本教授もなにかおっしゃりたいはず(笑))。3か月間悩みに悩んで、ひふみ総合法律事務所の委員の方々とオトシドコロを見出しました(これ以上詳しくは書けません)。

ちなみに私は委員会活動中、「上場会社法概説」(飯田秀総ほか著 2025年9月 有斐閣)と「場面別 公開買付けの実務(第2版)」(森幹晴著 2025年10月 中央経済社)を何度も熟読しました。どこに問題があるのか、といった論点発見にはとても役立ちましたが、その解決の道筋は自分で考えるしか方法はなかったですね。現経営者にも旧経営陣にも忖度していない姿勢だけはわかってもらえたはずです。

企業再編に携わるファイナンシャルアドバイザーやリーガルアドバイザーの職務の誠実性がますます要求されるようになるでしょうが、それ以上にたいへんなのが社外取締役さん方ですね。今後、法的責任を追及される社外取締役さんも出てくるのではないかと。誠実であってほしいのですが、絶対に「誠実なフリ」はダメですよ。ちなみに、対外公表している調査報告書は社会インフラだと思っておりますので、研修等目的でお使いになる場合には当職の了解を得る必要はまったくございませんのでよろしくお願いいたします。

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2026年2月 2日 (月)

かなり悩ましい「企業不祥事発覚経路の公表」

少し前の記事ですが、2025年9月4日の朝日新聞ニュース「企業の会計不正が最多『役員は共謀、非管理職は単独』で行う傾向」において、日本公認会計士協会が昨年7月にまとめた報告内容を紹介しています。紹介内容については上記記事を参照していただきたいのですが、少し気になったのが

20~24年度の5年間で、調査報告書が公表されている177社で起きた会計不正は184件だった。そのうち不正発覚の経路として最も多かったのが「当局の調査等」で47件、「内部統制等」が31件、「内部通報」が28件と続いた。一方で、調査報告書に発覚の経路が公表されないケースも26件あった。協会は「ステークホルダー(利害関係者)への説明責任の観点から、より積極的な開示が望まれる」と指摘している。

との記述です。ここからは私の推測ですが「当局の調査等」というのは、いわゆる内部告発(内部者から当局への情報提供、当局から会社への調査要請)が多くを占めており、「内部統制」の多くは内部通報に基づく社内調査によるものかと。調査報告書に発覚の経路が公表されていないケースが26件もある、とのことですが、ここは実務的にはとても悩ましいところですね。

通報者保護を徹底するためには「通報者の秘密」だけでなく「通報の秘密」も確保しなければならない。不正発覚の端緒が「通報による」と公表してしまうと「あいつがチクったな」と通報者が特定されてしまう可能性がある(上司に相談してもとりあってもらえなかったがゆえに通報に至ったというケースの場合、通報者も「通報の秘密」の確保を希望している)となれば、報告書に「通報があった」とは書きにくいです。

しかし一方で、「内部告発による」となると自浄能力のない企業というレッテルを貼られてしまうため、会社としては自浄作用を発揮したことを示したいので、「内部通報があった、社内調査を行った、是正措置を行った」と、どうしても明記したいわけです。企業の利益と通報者の利益とどちらを優先すべきか・・・とても悩ましい。「内部統制」とか「社内調査」といった「嘘ではないけれども、やや不明瞭」な発覚経路の公表というのは、そのような悩ましい局面での対応、ということかもしれません。

それにしても会計不正への関与者として「経営者」「管理職」が多いですね。経営幹部が会計不正に関与する、というのは投資家の判断に影響を及ぼす程度が重大(質的にも量的にも)と思われる不正に至るため、会計監査人としても無視できないわけでして、調査報告書を公表せざるを得ないほどの有事対応が要請される、ということなのでしょう。だからこそ、早期発見に向けた対応と経営幹部にも例外を作らない財務報告内部統制の整備運用が重要となります。

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