企業買収行動指針に補足文書が添付されるそうで・・・
次の日曜日は「豊臣兄弟!」も「リブート」も放送休止ということですが、「続きがどうなるの?」と気になっていたところで、とても残念であります。
さて、経済産業省の「公正な買収の在り方に関する研究会」が再開されたのですね(経産省リリース)。2月4日の日経ニュース(朝刊1面トップ記事)では「M&A合戦、提案価格安くても勝てる? 企業の成長重視へ経産省が指針」とか「過度な株主優先に歯止め 買収諾否、企業は説明責任一段と」といった見出しで
指針自体は改定せず、補足資料やQ&A集といった補足文書の作成を想定する。企業やM&A助言会社などへの聞き取り調査も踏まえた上で、5月をめどに取りまとめる。
と報じられています。「うーーーん、ヤバいなぁ・・・」というのが率直な感想です。
本日も、あるガバナンス研究団体の理事の方から「先生が委員長を務められた東京コスモス電機の検証委員会報告書、あれ、研究題材に使っていいですかね?ちなみに発表者は〇〇先生です」とのお電話がありました。そうなんですよ。今回の行動指針の事実上の改訂の論点は、まさに東京コスモス電機報告書の最大の論点と一致しております(企業価値を高める可能性が高いのであれば、低い買収価格の提案者に賛同してもいいんじゃないの?「真摯な検討」しちゃってややこしくなるくらいなら、そもそも「真摯な検討」をしないで済むように(「真摯な提案」をさせないように)頑張ればいいんじゃない?)。
上記記事の中に登場する慶応大学の久保田教授のご発言や京都大学の松尾教授のご発言の方向性に悩みながら、委員会で出した「考え方」と「結論」が当該報告書にまとめられております(たぶん甲南大学の梅本教授もなにかおっしゃりたいはず(笑))。3か月間悩みに悩んで、ひふみ総合法律事務所の委員の方々とオトシドコロを見出しました(これ以上詳しくは書けません)。
ちなみに私は委員会活動中、「上場会社法概説」(飯田秀総ほか著 2025年9月 有斐閣)と「場面別 公開買付けの実務(第2版)」(森幹晴著 2025年10月 中央経済社)を何度も熟読しました。どこに問題があるのか、といった論点発見にはとても役立ちましたが、その解決の道筋は自分で考えるしか方法はなかったですね。現経営者にも旧経営陣にも忖度していない姿勢だけはわかってもらえたはずです。
企業再編に携わるファイナンシャルアドバイザーやリーガルアドバイザーの職務の誠実性がますます要求されるようになるでしょうが、それ以上にたいへんなのが社外取締役さん方ですね。今後、法的責任を追及される社外取締役さんも出てくるのではないかと。誠実であってほしいのですが、絶対に「誠実なフリ」はダメですよ。ちなみに、対外公表している調査報告書は社会インフラだと思っておりますので、研修等目的でお使いになる場合には当職の了解を得る必要はまったくございませんのでよろしくお願いいたします。
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コメント
山口先生
いつも勉強させていただいております。
M&Aは、我が国において今後も増えていくと思いますが、そのプロセス等を含めたあるべき姿については慎重に検討されるべきだと思いました。
そして、先生が取り纏めされましたTOCOS社の調査報告書は、関係者にとって必読であると感じた次第です。
たまに法外に高いと思われる価格を主張する株主(主としてファンド系)もいますが、しかし、一般の株主の利益は最大限配慮されるべきでしょう。
「過度な株主優遇」とは何なのか、低い買収価格を正当化できる「説明責任」とは何なのか。
この辺りについて、上記報告書の内容を踏まえた十分な議論が必要だと思いました。
投稿: 艦長 | 2026年2月 5日 (木) 12時20分
艦長さん、コメントありがとうございます。報告書を読まれる方が多くなればなるほど、ご異論・ご批判も増えると思いますし、真摯に受け止めたいです。今後の適切なルール形成のための一助となれば幸いです。
なお、報告書の中のもうひとつの論点である「株主提案に対する反対意見の内容に虚偽記載がある場合、ペナルティの対象にならないのか」についても、ひとつの判断基準を報告書の中で提示しておりますので、そちらも様々なご意見をいただければと思っております。
投稿: toshi | 2026年2月 5日 (木) 16時40分
まさに、この報告書を思いだし、セミナー等で話しています。
でも、某北海道出身の家具・日用品屋さんや、某放送局の自社株買い案件は、この買収指針は何も間違っていないですよね。
投稿: Kazu | 2026年2月 6日 (金) 18時38分