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2026年5月31日 (日)

66才を前に「生成AI」にハマる

5月30日の共同通信ニュースによりますと、最高裁は、AIを民事訴訟で補助的に活用する可能性を検討しているところ、大量の主張書面の要約には有効とする一方、証拠の拾い漏れや誤った誘導などのリスクがあることが判明した、とのこと。最高裁は結果を踏まえ、さらにAIの活用の検討を進めるそうです。

レベルは全くちがいますが、私も諸事情ございまして、毎日寝食も忘れて(?)生成AIと向き合っております。もうすぐ66才になりますが、こんなに動画を作ったり、画像を作ったりすることがおもしろいものとは知りませんでした。

もちろん、自分で楽しむだけですので、自分が出すテキストデータさえ気をつけていれば権利侵害のおそれは少ないのですが、さすがに素人丸出しの「AIの壁」に突き当たっているところです。プロンプトジェネレータまで購入しましたが、やっぱり適切なコマンドプロンプト、ネガティブプロンプトを出すことに1000回以上は失敗しており、ITリテラシーの限界を感じております。自分の頭の中にある成果物のイメージが、なかなか成果物に反映されないのです。「なんでやねん!」と思うことばかりです。しかし、どれだけアメリカのAIプラットフォームにお金を流出させているのか、ほんとに情けない。いや、ホントに電気だけでなく、お金も、時間も、それからたぶん人的資源もむちゃくちゃ必要です。

プラットフォーマーの倫理ポリシーも、法律家の立場からすれば「あたりまえ」かもしれませんが、作る(「創る」といいたいが、とてもじゃないけど「創る」レベルではございません)立場からすると、とんでもなくジャマに思えますよね(笑)。ある漫画の主人公にいくつか指示を出すと、すぐに顔が変わってきませんか?(笑)著作権保護の世界的な技術レベルも、実際には高いのでしょう。

あまり偉そうなことは言えませんが、自分で生成AIを使ってみて、このAIの汎用品の技術は「脳科学」と「進化生物学」そして「哲学」と一緒に進歩しなければ人間の幸福にはつながらないのではないか、と思います。先週、東京大学の物理系の先生と1時間ばかりお話をする機会がありましたが、やっぱり人間の脳は本当にうまくできています。5才くらいまでは、視覚、聴覚がとても優れているが、社会生活をうまく送れるように、脳に届く情報を、次第に省略していくそうです。見えなかったことにする、聞こえなかったことにする、という脳の働きはすごい。しかしAIは、テキストで送られてきた情報は、すべて見えるもの、聞こえるものとして処理するので、素人は、こんなにもプロンプトで苦労することになるのでしょう。

もちろん、本業に支障が出ないように気を付けておりますが、こんなにもハマったのは2000年初頭のブログ以来です。「失敗を許容する文化」に乏しい日本で、本当にAIは活用されるようになるのでしょうかね?みんなから笑われるような(恥ずかしいと思うような)極端な意見や発想を堂々と出さないと、実務で活用できそうなAIは生まれないように思います。ということで、すでに高齢者の域に達している私としては、AIネイティブの世代に、大いに期待する次第であります。

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2026年5月14日 (木)

製造業における品質不正問題に関する提言(案)ー追記あり

本日(5月13日)も、ニデックにおける品質不正事案が多数発覚し、全容解明のために第三者委員会が設置される旨のリリースがありました。神戸製鋼や三菱自動車の品質不正事案が表面化した2015年頃から、ニデックでも「ひょっとしてうちの会社でも品質不正は起きているのではないか」との疑いは持たなかったのでしょうか?(追記:5月14日の日経朝刊3面で、当職のコメントも掲載していただきました。なお、ニデックの件については、私個人としては、ビジネスへの影響は「品質不正事案」のほうが大きいと予想しております)。

さて、本日、私もメンバーである「品質不正問題研究会」が「製造業における品質不正問題に関する提言(案)に対する意見募集について」をリリースいたしました。西村高等法務研究所内に事務局を構え、2025年3月13日から2026年3月24日までの合計10回の研究会を開催して、ようやく提言案をまとめるに至りました。パブコメ案なので、本日より7月13日までの2か月間、提言案に対する皆様方からの意見を公募いたします。

冒頭の趣旨説明にもあるように、品質不正の防止というと、とかく製造業側の問題点に焦点が当たりがちですが、当研究会では、品質不正を抑止するためには、製造業側の取組だけでは十分ではなく、顧客および社会も意識を変える必要があると考えております。なにをもって「品質不正」というのか、その品質不正は何が原因なのか、品質不正はどうしても起きてしまうので、それに対して企業はどのように自浄作用を発揮すればよいのか。製造業者側だけでなく、ステークホルダーや国内外のメディアの皆様にもコモンセンスが必要です(そうでないと、日本企業が一生懸命品質を高めていても、海外競争力でハンデを背負うという悲しい状況になってしまいます)。

品質管理、生産管理等の研究者、企業倫理の研究者、コーポレートガバナンス、内部監査等の研究者、そして法律実務家によるメンバー構成ですが、1年にわたって議論を重ねて取りまとめられた内容です。ここに企業経営者の方々、モノづくりに直接関与されている方々、品質管理や品質保証に関与されている方々、さらにはリスクマネジメント・コンプライアンス担当の方々の生の声を反映させることができれば、品質不正問題に関する指針として有用性が高まるのではないかと思っております。

ぜひ提言案をお読みいただき、ご意見をお聞かせいただければと思います(先のリンク先から意見は提出できます)。

(追記)大手メディアでも提言案を取り上げていただけるようです。記事になりましたら、またご紹介いたします。

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2026年5月 8日 (金)

「社内の常識と社外(世間)の常識との乖離」というけれど・・・

企業不祥事の根本原因を考える際、よく「社内の常識と社外(世間)の常識が著しく食い違っていた」「社内の常識は世間の非常識」と指摘されることがあります。不祥事が長い間放置されていたり、不正を不正だと認識せずに不適切な行為を続けていたときに用いられるフレーズですが、最近ちょっと違和感を抱くことがあります。

世間で叩かれて、組織の信用が毀損されてしまった後にに「後出しじゃんけん」のように使われることが多いのですが、そんな簡単に「世間の常識はこうだ」と評価できるものなのでしょうか。それは単に「社会(世間)の常識」といいながら、実は指摘している本人の主観的な常識(と思っているもの)にすぎないのではないでしょうか。

「社内の常識」と比較する「社外(世間)の常識」というものは、当該組織の置かれた経済環境において、さらに組織における歴史的な文脈で考察しないと出てこない評価であり、そこそこ当該組織の社内事情に精通していないと判断できないものと思います。これはなにも企業不祥事の防止といったことに限らず、ビジネスを前に進めるための戦術を検討する際の判断とも通じるところかと(他社でうまくいったビジネスが自社でもうまくいくとは限らないのは当然ですよね)。

KDDI子会社の架空循環取引は、親会社トップが「おかしい」と声を上げたことで発覚したわけですが、結局のところ、ビジネスを前に進めることに有用な意見を述べることができる人が、不祥事の予防や早期発見にも寄与しうるわけで、とりわけ取締役会のスキルマトリクスには(少なくともコンプライアンスという視点からは)あまり意味がないように思うのは私だけでしょうか。

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