2024年12月26日 (木)

公益通報者保護法の運用に関する私の意見-具体的事例に触れて

本日(12月25日)兵庫県の百条委員会が開催され、県としての公益通報者保護法違反の有無を認定するための証人尋問等が行われたようです。私も9月に参考人として意見を述べた関係者の一人なので、個別具体的な意見をここで述べることは(百条委員会が継続中ということもあり)差し控えます。ただ、組織における日頃の公益通報制度の運用状況が、いざというときに組織を助けるのではないかと思うところがあるので、少しだけ(個別案件を離れて)意見を述べます。

今年9月30日の神戸新聞記事によりますと、兵庫県において2006年から2024年までの18年間で、内部通報は135件、うち受理件数は42件、つまり通報のうち3割程度しか受理しておらず、しかも是正につながったのは1割だそうです。これまで外部窓口はありませんでした。一方、私が公表数値から調べたところでは、神戸市では2021年から23年までの3年間で内部通報件数は67件、うち受理件数は58件です。つまり通報のうち87%は受理しており、なおかつ外部窓口は3つの法律事務所に別々に設置されています。さらに隣の大阪府では2018年から23年までの5年間で通報件数は131件、うち受理件数は82件であり、通報の6割が受理されています。外部窓口にも40件ほどの通報があり、うち7割が受理されています。この数値の比較や外部窓口設置の様子から、兵庫県の公益通報への対応体制が「長年にわたって公益通報者には厳しい運用」だったことがわかります。

いま、兵庫県知事の対応が問題となっていますが、それよりも元々兵庫県という自治体が公益通報を軽視してきたツケが回ってきたのではないかと考えています。ふだんの対応体制が脆弱だったからこそ、組織として3号匿名通報への対応が適正にできなかったのではないかと(もし兵庫県に神戸市と同様、複数の外部窓口-具体的には法律事務所-が設置されていたとすれば、元県民局長も3号通報はしなかったのではないか・・・との疑問も湧いてきます)。平時にできないことを有事に突然できるようになるのはむずかしい。

同様のことは(たかさんもコメント欄でご紹介されている)12月24日の毎日新聞朝刊1面で報じられていた「大川原冤罪 公益通報放置」の見出し記事で報じられている警視庁の事案にも如実に表れていると思います。警視庁職員から虚偽有印公文書作成・同行使罪に該当するおそれのある公益通報が警視庁の内部通報窓口に届いたにもかかわらず、具体的な調査もせずに放置していた、というものです。匿名通報ではあるものの連絡先アドレスも記載されていたわけですが、警視庁の内部通報担当者は「本当に警視庁の職員かどうかわからないから、身分を明かしてほしい」と執拗に要望したそうです。

もちろん、私も窓口担当者として同様の要望を出すときがあります。不正行為の是正に熱心であればあるほど、このような場合には(証拠収集への協力も含めて)通報者との密なコンタクトをとりたくなるものです。ただ、私は外部窓口担当なので「会社には匿名のままでよいから、弁護士である私には調査の必要があるので教えてほしい」と言えば、6割ほどの通報者は実名を明かしてくれます。日ごろから外部通報窓口を活用している組織であれば、このような通報者の悩みは一定程度は解決できるはずです。公益通報者保護法が問題となるのはいつも組織の有事ではありますが、実は平時からの取組みの巧拙が有事に反映される・・・ということを認識していただきたい。

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2024年5月15日 (水)

BtoBにおけるカスタマーハラスメントと厚労省対策マニュアル

Kasuhara001 5月10日のエントリー「BtoBにおけるカスタマーハラスメントと内部通報担当者の対応」でも書きましたが、カスタマーハラスメントの深刻さは一過性のBtoCにおけるハラスメントよりも、継続的かつ執拗なBtoBのハラスメントにあると思います。「自民党PTが従業員保護を企業に義務づけるべく法改正に乗り出した」との記事が5月13日に出ていましたが(たとえば朝日新聞ニュースはこちらです)、そこで想定されているのは全てBtoCにおけるカスハラです。

もし今後企業が内部統制としてカスハラ防止対策を講じるとするならば、被害者である従業員が安心して相談できる体制を作るだけでなく、カスハラの加害者にならないように周知することも体制のひとつと心得ておく必要があります。なお、カスハラに対する厚労省対策マニュアルでも、(そこでは「パワハラ」と定義されていますが)BtoBにおけるカスハラへの対策についても示されています(16頁参照)。法人規制が中心である下請法や独禁法上の「優越的地位の濫用」では規制できない問題なのです。

先に述べた通り、カスハラ事案を内部通報制度に乗せることはかなり困難が伴いますが、カスハラ対策は、ビジネスと人権指導原則における「救済措置」として各事業者が対策を講じる必要性が今後高まるはずです。

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2024年5月10日 (金)

BtoBにおけるカスタマーハラスメントと内部通報担当者の対応

5月9日の毎日新聞ニュースでは、取引先社長から(従業員が)カスハラ(カスタマーハラスメント)被害を受けた会社が、当該取引先企業を提訴した事案が紹介されています(「お前、何様だ」2時間怒鳴る 会社間のカスハラめぐる異例の裁判)。原告会社にとって、被告会社は重要な取引先であり、売上に占める割合も高いようですが「従業員を守ることが一番大切」とのことで訴訟に踏み切ったそうです。法人間でのカスハラ訴訟は全国的にも珍しい、とのことですが、私が相談を受けている事案においても、カスハラに関する内部通報対応問題が少しずつ増えています。

最近よく話題となるカスハラ問題ですが、そのほとんどがBtoCにおけるハラスメントです(たとえば駅員さんが酔客から嫌がらせを受けたとか、ファストフード店員さんが暴言を吐かれたとか)。事業者の従業員に対する職場安全配慮義務の一環として議論されているのでBtoCの場面が想定されるのはそのとおりかとは思います。ただ、実は上記訴訟のようにBtoBの場面でもカスハラ的な状況はありまして、取引先の担当者から「当社との取引担当者としては失格ですね。担当者交代の要望をあなたの上司に伝えておきますね」とか、「こんな迷惑をかけて、よく平気な顔をしてるな。親からどんな教育を受けてきたのか、今日中にメールで書いてよこせよ」といった嫌がらせを繰り返し受けて精神的に疲弊するケースを見かけます。

ところで「カスハラを受けた」という通報は、そもそもどこになされるべきなのでしょうか。被害社員の所属する企業の内部通報窓口は自社の不正に関する通報を受け付けるのであって、取引先の不正事実を受けるところではありません。一方、取引先企業の社員にも門戸を広げている窓口であれば受理できますが、そうでない窓口では受理されません。仮に取引先従業員も通報者として取り扱う場合であっても、通報事実の調査を開始した時点で、どこの取引先従業員からの通報なのかはすぐにわかりますので、窓口の対応次第では会社間における取引自体の継続性にも影響が及ぶ可能性があります。会社の業績にも影響が及ぶ問題に、内部通報担当部署だけの判断で介入してよいものでしょうか。

本格的な調査となりますと、カスハラ加害者とされる自社社員への早急なヒアリングが求められるのですが、当該ヒアリングによって重要な取引に多大な影響が及ぶリスクがある以上、簡単には対象社員へのヒアリングには踏み込めないような気がします。解決がなかなかむずかしい局面ですが、カスハラ被害者に対して、自社の上司なり役員に相談をしてもらって(カスハラは個人対個人の問題ではあるものの)「会社対会社」でカスハラ撲滅に向けた対処を検討してもらうように説得したほうが良いのではないでしょうか。カスハラについては内部通報窓口が動くよりも、(上記訴訟のように)被害企業自身が対処するほうが「当社はカスハラを許さない」といったメッセージを自社に示すことになるので(たとえ取引上の信頼関係に影響があったとしても)適切ではないか、と思うところです。

「BtoCのカスハラであれば断固たる対応がとれるがBtoBとなると腰が引けてしまう」といった企業姿勢が垣間見えることがあります。こういった場合の内部通報窓口担当者の処理として適切な対処がありましたら、ぜひお教えいただきたいものです。

 

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2024年4月 1日 (月)

内部通報制度の大切さをいかに社長に伝えるか(消費者庁の提言)

最近のデロイトトーマツ・グループによる「調査レポート 内部通報制度の整備状況に関する調査2023年版」では、日本企業の内部通報制度の最新事情がアンケート調査集計として示されており、制度を取り巻く現実の厳しさがよくわかります。①高い倫理観をもつ従業員が内部通報制度を知っていて(認知度が高く)、②組織が信頼されており(信頼性が高く)、なおかつ③通報者個人に対してもなんらかの見返りがある(メリットが大きい)とき、組織にとっての有益な通報が促されるものと考えます。」と締めくくられています。

また、KPMG社の日本企業の不正に関する実態調査 2022によりますと、日本企業(単体)における不正発覚の経緯の35%が「内部通報」によるものだそうです。通報受領後の対応のまずさによって新たに「二次不祥事」を発生させている企業もあることを考えますと、適切な内部通報の整備・運用こそ「自浄能力に高さ」を示すためのメルクマールではないかと思います。

ところで形式だけではなく、実質的にも内部通報制度を適切に機能させる(実効性を高める)ためには社長自身の本気度が極めて重要と言われていますが、では、社長にどのように伝えれば「その気」になってもらえるのか、そのヒントを消費者庁が提言としてまとめて公表しています(「2023年度調査-企業不祥事における内部通報制度の実効性に関する調査・分析‐不正の早期発見・是正に向けた経営トップに対する提言」3月27日公表)。この提言は、デロイトトーマツ弁護士法人が、平成31年1月以降に公表された企業不祥事に関する調査報告書265本を収集・分析した結果を受けて、消費者庁が経営トップに対する提言としてまとめたものです。これだけ膨大な調査報告書を一定のテーマに従って収集・分析することは、なかなか個人では難しいところでして、とても貴重な資料ですね。

世間にあまり公表されない「内部通報制度がうまく機能したので、大きな不祥事に至らなかった事案」も紹介・分析されています。経営陣だけでなく、管理部門のマネジメントに携わる方々にもご一読をお勧めいたします。ただ、私の実務感覚からしますと、(この提言が実効性向上につながるためには)通報制度の実効性を高める土壌としての「職場の心理的安全性」を確保すること、たとえばハラスメント研修も一緒に実施することやリスクマネジメントの失敗を歓迎すること、つまり「20件の通報のうち、1件でも会社にとって重要と思われる通報が上がってくれば制度を設けた意味がある」という思想を全社的に浸透させることが必要かと思われます。

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2024年2月19日 (月)

「はじめての公益通報者保護法」と内部通報制度導入支援キット

緊急対応案件が重なってしまって、ちょっとブログを更新する余裕もなくなってしまいましたが、2月17日(土)の日経社会面に内部告発の特集記事が掲載されていましたので一言だけ。記事中にアップされていた改正公益通報者保護法の解説図表は正確でしたが、記事本文にはやや誤解を招く表現がありました。行政機関への公益通報は「真実相当性」の要件を満たさずとも、文書記載事項の要件が充足されていれば保護の対象となりますのでご注意ください。

改正公益通報者保護法の施行によって、予想通り内部告発が増えているのが実態ですし、通報を受領した行政機関はこれに対応する義務が明記されましたので、すぐに労務提供先(事業者)にフィードバックされる実務となりました。コメントをされていた弁護士の方と同様、通報はしかるべき通報先にすべきであり、SNSでは不適切な情報提供とされることが多いと思います。ちなみに、こういった外部への情報提供がなされた場合の事業者の対応自体も法律上で「対応体制」が問題となりえますのでご注意ください。

なお、昨年12月、消費者庁のホームページに「はじめての公益通報者保護法と内部通報制度導入支援キット」が公表されています。自浄作用の欠如と評価されてしまう「内部告発による不正発覚リスク」を低減させるためにもご活用いただくことをお勧めいたします。NBL2024年2月1日号にも、この支援キットの解説記事が掲載されていますので、定期購読されていらっしゃる方は、そちらもご参照ください。

おそらく2月19日の日経「税法務面」に掲載されるであろう「役員報酬、マルス、クローバック条項」特集記事にもコメントしたかったのですが、残念ながらまたの機会に。

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2024年1月19日 (金)

社内リニエンシー制度はかなり運用がむずかしい(と思う)

本日(1月18日)の読売新聞朝刊(関西経済面)に「不正『自己申告』で処分に差、パナ楠見社長 子会社問題を受け」との見出しで、パナソニックグループが不正の自己申告をした社員と、しなかった社員とで社内処分に差を設ける方針を明らかにした、との記事がありました(読売新聞ニュースでもご覧いただけるようです)。パナソニックグループ会社の不正事案を契機に社内リニエンシー制度を採用する、とのこと。

自社の不祥事をできるだけ早く察知したい、との経営陣の意向を受けて、最近は社内ルールでリニエンシー制度を導入する会社も増えています。ちなみに、電力会社やゼネコン、広告代理店など、過去にカルテルで痛い目にあった会社は独禁法違反事実に特化した不正事実のみに限定して社内リニエンシー制度を導入する、というところもありますね(パナソニックはどうなんでしょうか)。 ただ、内部通報制度をお手伝いしているなかで、社内リニエンシー制度の運用はなかなかむずかしいと感じています(私だけかもしれませんが💦)。運用にあたって「これが正解」という回答をなかなか見い出せていません。

まず、社内リニエンシー制度を採用する場合、どの範囲の不正関与者を処罰対象とするのか、ということを決めないといけません(たぶん、個別事象ごとに処罰対象者の範囲を検討することになると思います)。実際に不正行為に手を染めた者に限定するのか、それとも「見て見ぬふり」をしていた黙認者も共謀者として処罰対象にするのか。「自己申告」というイメージからみて前者のみに限る、というのが一般的かもしれませんが、後者も「不作為で不正に加担していた者」として処罰の可能性がある以上、リニエンシーを活用できるようにしたほうが良いとの意見もあります。

あまり運用を複雑にするのも適切ではありませんが、自己申告は社内調査前の申告者に限られるのか、調査後であっても、有力な証拠を持っている社員にはリニエンシーを認めるのか、という問題もあります。このあたりは会社によって異なるとは思いますが、社員の予見可能性を確保するためにも、あらかじめ明確にルールで決めておく必要があります。

つぎに社内リニエンシー適用の有無を社内で公表すべきかどうか。基本的には社内処分の内容だけが公表されますが、リニエンシー適用が判明するような公表の仕方はちょっと問題かな、と思います。ただ、リニエンシーが本当に機能しているということを周知徹底しなければ実効性がないので、個別の案件とは離れてリニエンシー制度の適用状況については(実績として)社内周知をしたほうが良いのではないでしょうか。

そしてなんといってもリニエンシー利用者の特定の問題です。独禁法や金商法に定めのあるリニエンシーは法人が特定されることが多いわけですが、社内で個別の社員が特定される場合には、かなり居心地が悪くなるのが現実です(けっこう特定されてしまうケースが多いような)。この問題があるからこそ、社内リニエンシー制度はあまり活用されないとの話を聞きます。申告者の秘匿には十分に配慮しますが、それでも自己申告者はバレることが多い。あらかじめ「自己申告」するのが当社では当たり前なのだ、といった会社としての理念を徹底させておく必要があります。

ちなみに、当ブログでもご紹介したことがありますが、不正に関与しながら内部通報をした職員に対して、大阪市は他の不正関与職員と同様懲戒免職処分としましたが、裁判では「告発した事実も懲戒理由として考慮すべき」との理由で処分が取り消された例がありました(後日、大阪市は当該職員に対して懲戒免職処分を取り消して停職6か月としました)。

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2024年1月18日 (木)

スギホールディングスはなぜ内部通報(件数)が多いのか?

ダイハツ品質不正事件が世間の関心事となっていますが、同じ品質不正事案といってもダイハツ事件と日野自動車事件や豊田自動織機事件ではやや様相が異なります。日野自動車事案と豊田自動織機事案は社内調査で自ら「発覚」にまでこぎ着けた(いずれも社内調査が端緒ということですが、おそらく内部通報)ものですが、ダイハツ事案の発覚は内部告発(外部への情報提供)ですね。文春オンライン記事に登場するダイハツの現役管理職の方の証言では「通報しても実効性がなかった」とのことで、やむを得ず告発に至ったものと思料します。不祥事を起こしても「自浄能力」を示すためには、やはり通報制度の充実が欠かせません。

さて、年末(2023年12月29日)の東洋経済オンラインの記事「内部通報件数が多い企業ランキング」上位100社-ビッグモーターの不正請求で注目の内部通報制度」では、3年連続の1位の日産自動車を筆頭に、日立やファーストリテイリング、パナソニック等、日本を代表する企業が(通報件数の多い企業として)ベスト10に並んでいます。ただ、その中でスギホールディングスが2位にランクインしていることが(たいへん失礼ながら)とても奇異に感じました。

最初は2021年5月13日のエントリー「やはり内部告発の威力はスゴイ(がんこ寿司、スギHD)」でも紹介しましたが、スギホールディングスは内部告発で痛い目にあったことから内部通報制度に注力するようになったのかな、と思いました。しかしスギホールディングス統合報告書を読むと、2018年ころから通報制度の整備に力を入れていることがわかります(2018年度には年間269件だった通報件数が、2022年度には1585件にまで急増しています)。つまり2021年の問題が騒がれる前から通報制度の拡充に力を入れていたのですね。

同社の統合報告書では「人材戦略」の一環として通報制度の整備・運用が紹介されており、従業員エンゲージメントの強化策と捉えられています。通報の内訳をみると(統合報告書71頁)、全体の5%ほどが「不正」「ハラスメント」であり、その他は社内における悩み事が中心のようです。「たった5%しか有用な通報がなされていないのか」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、全体の5%でも不正が通報されるというのは、かなり良いほうです。統合報告書で通報制度が前向きに紹介されていることから、おそらく社員の方々の通報に至る心理的安全性は高いものと思います。

これまで何社か内部通報制度の整備・運用のお手伝いをしましたが、いったんは通報件数が増えても、また2,3年後には元の件数に戻ってしまうということを経験しました。振り返ってみると、そのような会社は通報制度の整備・運用への特定社員の熱心さ(属人的な要素)に依存していたようです。やはり社内慣行として、もしくは組織風土として定着しなければスギホールディングスのように件数が増えることはないと思うのです。そのような意味で、一度スギホールディングスの統合報告書2023(とくに71頁と85頁)を参考にしてみてはいかがでしょうか。いろいろな「気づき」があるかもしれません。

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2023年12月23日 (土)

日本もそろそろ「内部告発者奨励金制度」を導入する時期では?

SMILE-UP(旧ジャニーズ事務所)事件、ビッグモーター事件、日大アメフト薬物事件、そしてダイハツの品質不正事件と、今年世間で話題となった企業不祥事(組織不祥事)はいずれも内部者による外部への情報提供が発覚の端緒でした。古いところでは、今年「非公開化」で揺れた東芝の会計不正事件も内部告発が端緒でしたね。つまり、内部告発がなければ世間に公表されず、また行政処分もなかった、さらには取引先への飛び火(損保ジャパン、各放送局の検証等、いわゆる「やぶへびコンプライアンス」)もありませんでした。

本日(12月23日)のブルームバーグニュースでは、米SEC、内部告発者7人に計40億円余り支給-重要情報提供で報奨金との見出しで、金融不正事件の内部告発者に多額の報奨金が支払われた事実が報じられています。また、11月28日の日経ニュース「米企業の不正摘発、内部告発増加 報奨金最高」では、今年9月に報奨金制度の改訂が行われ、一人の内部告発者に171億円もの報奨金が支払われた事実(過去最高)も報じられています(MLBの契約金並みですね)。日本の不正発覚の実情をみるに、記事の中で西村あさひ法律事務所の弁護士の方が「世界的には社外への通報環境を整備する流れになっている」と解説されていますが、私も同じ流れを想定しています。

今年大きな話題となった電力カルテル事件、裁判係属中の東京五輪カルテル事件をはじめ、公正取引委員会が動く事案においてもリニエンシー(自主申告制度)が有効に機能していますが、リニエンシー導入が検討されていた時期には「日本ではおそらく自主申告などする企業はないだろう」と言われていましたから、企業を取り巻く環境は大きく変わっているのでしょうね。告発にはやはり明確なインセンティブ(告発によって生じるリスクと得られるリターンとの比較考量)が必要であり、「会社を良くしたい」という精神論だけではなかなか有力な情報が当局に集まらないのかもしれません。裏を返せば「社員によって内部告発をされないために、内部通報制度を充実させるべき」(制度間競争的発想)となるわけで、改正公益通報者保護法に準拠した通報制度への運用見直しは経営問題と認識すべきでしょう。

ということで、日本も内部告発奨励金制度の導入に向かって真剣に検討すべき時期に来ているものと思われます。

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余談ですが(手前みそになりますが)、今週はダイハツの品質不正事件のエントリーで連日1万を超えるアクセスをいただいたこともあり、本日も「ココログ人気ブログランキング」で昨日同様4位ということになりました。10月以降で6回目のベスト5位入りです(こんなことはブログを18年間書き続けてきて初めてであり、とても信じられません)。新規でご愛読いただくようになった方もとても増えており「ビジネス法務」「企業法務」の認知度が多くの方に高まっていることを実感いたします。本当にどうもありがとうございました。

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2023年12月 5日 (火)

消費者庁-公益通報者保護法対応の内部通報導入支援キットを公表

本日(12月4日)、日大理事長の記者会見がありました。記者の皆様も現行私立学校法と日大の寄付行為の内容に対する理解がないと、なかなか学校側の説明は腹落ちしなかったのではないでしょうか。日経の記事コメントにも載せましたが、私は昨年10月以降、数多くの通報(告発)があったにもかかわらず、これに真摯に対処してこなかったことが今回の「ガバナンス不全」につながったと思います。古いところでは2014年12月、東芝に内部告発(社員2名によって金融庁に対する情報提供が行われた)がなければ、今日のような姿はなかったと思いますし、ホント内部告発の威力はすさまじい(もちろん、東芝は復活すると信じておりますが)。

そういえば、宝塚歌劇団の事件が世に出たのも週刊文春に内部者が情報提供したことが発端のようですし(調査報告書3頁の記載からの推測です)、熊本県の助成金不適切受給事件を扱うこちらの記事をみても、(真相を究明するための)内部告発代理人の要望・主張はきわめて妥当なものと思います。内部告発の代理人業務を請け負う弁護士が増え、内部告発が大きく報じられる時代だからこそ、内部通報制度の重要性は広く認識されるべきと考えます。

ただ、内部通報制度の整備こそ内部告発を防いで自浄作用を発揮するために不可欠の施策でありますが、なかなか痛い目に逢わないと資源配分に至らないのが企業社会の現実です。ということで(?)、平時から中小の事業者の皆様にも通報制度に親しみを覚えていただくため、本日(12月4日)消費者庁のHPに内部通報導入支援キットが公表されました。これまで導入経験のない中小企業の皆様にお勧めであることはもちろんですが、すでに整備していると自負されておられる大企業の皆様にも、改正公益通報者保護法に対応する内部通報規程のモデルや公益通報対応業務従事者の指定に関するモデル案が公表されていますので、ご参考にされることをお勧めいたします。

また、消費者庁として、今後公益通報者保護法の実効性向上に向けた施策を打つことを消費者庁長官が述べておられますので、ぜひこちらもご一読いただければと。以下、インタビュー記事からの抜粋ですが、

公益通報者保護法の周知・広報については、今年度の総合経済対策の施策に盛り込まれています。これを受け、消費者庁では、公益通報者保護法に関する企業経営者向けの解説動画(5分)、従業員向けの啓発動画(5分)、窓口担当者向けの研修動画(1時間)、制度を運用するための内部規程や通報受付票、内部通報対応の責任者・担当者の指定書のサンプルなどを一式そろえ、「内部通報制度導入支援キット」と名付けて、12月4日の正午に消費者庁ホームページに掲載します

とのこと。このような施策の一環として周知・広報がなされたわけですね。先ごろ、フィナンシャルタイムズ(FT)でも「日本の改正公益通報者保護法だけでは内部通報者保護は不十分」と指摘されています。運用面ではまだまだ課題が多いのですが、まずは多くの事業者の方々に通報制度や現行法を理解いただき、競争力強化につなげていただければと。(なお、全然関係ない話ですが、産経新聞ニュースやスポーツ紙で「(日大会見に登壇した)久保利(第三者委員会答申検討会議)議長のド派手なスーツ」が話題になっていますが、あのスーツはふだんの久保利さんと比べれば驚くほど地味です。おそらく場所をわきまえて地味目のスーツにされたのかと推測いたします。)

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2023年12月 1日 (金)

続・公益通報者保護法の2025年運用改善を目指して-消費者庁始動?

今年も早いものでもう師走ですね。今年はずいぶんとリアルな忘年会が増えていますので、少しブログの更新も減ると思いますがご容赦ください。

もう5年以上前ですが、私が内部通報者の支援をしていた組織で(ここ1年以内に)大きな不正が発覚し「ああ、ついに出たのか。あのとき自浄作用を働かせておけばこんなことにならなかったろうに」と思わず嘆いてしまう事件がございました(どんな事件かは到底申し上げられませんが)。当時、(私の能力不足で)通報者の方の力になってあげられなかった後悔とともに、不正を「これは不正ではない」とこじつけていたトップ、監査役員(および会社側アドバイザーの方々)は今ごろどう思っておられるのだろうと、少し興味深く眺めております(以下、本題です)。

さて、11月14日のこちらのエントリー「公益通報者保護法の2025年運用改善を目指して-消費者庁始動?」の続編でございます。本日(11月30日)の日経ニュース「内部通報制度[未対応]66%、民間調査、実効性に課題」を読みましたが、帝国データバンクの調べで、改正公益通報者保護法への対応済の企業はわずか20%であり、ほぼ未対応(分からないを含め)が80%とのこと(全国11,500社回答のアンケート集計結果より)。

また、この記事では今年4月のパーソル総合研究所の調査結果として、不正を目撃しながら対応しなかった理由がいくつか具体例として挙げられており、「何も変わらない」「不利益処分がこわい」といったところが紹介されていました。消費者庁としては、上場会社を含む1万社を対象に、内部通報制度の実態を紹介し、しくみを解説した動画も作るそうです。なお、昨日のロイターニュースでは、消費者庁が昨今の企業不祥事報告書を本年度中に分析するとのこと(「公表」とまでは報じられていません)。まさに消費者庁が本格始動されるようですね。ビッグモーター社事案(裏返しとしての損保ジャパン事案)、日大アメフト薬物事案、タムロン事案(経費不適切支出で解任要求)、タカラヅカ歌劇事案など、昨今世間を賑わせている不祥事案件は内部通報もしくは内部告発(外部通報)が発覚の端緒です。まさにタイムリーです。

ただ、公益通報者保護法への対応(通報対応業務の整備)を社長に説得するのはなかなかむずかしい。メリットへの実感がわきにくいですね。さえき事件判決によって「見て見ぬふりは不法行為」ですよ、とかリニエンシー制度、司法取引、確約手続の不作為は社長自身の善管注意義務違反ですよ、とか申し上げても社長さんは(コンプライアンス担当役員には響いても)あまりピンときません。つまり人的物的資源が投入されないのです。

それよりも、公益通報者保護法が施行された平成18年当時と令和5年とでは、通報制度を取り巻く外部環境の変化をご理解いただくのが最も近道かと思います。①労働者の流動性の高まり、②ハラスメント防止への社会的合意、③社内証拠の持ち出しが簡単(SNS、スマホ、録画録音データ)、④通報者支援アドバイザーの急増、⑤職場環境への労働者のこだわり(第三者通報の急増)、⑥明確な法令違反はなくても倫理上問題のある行為は世間から叩かれる、あたりでしょうか。少子高齢化が進み、人材確保がむずかしくなっている中で、労働者の人権保護のための制度は業績にモロに影響します。少なくとも外からは「通報制度を整備していること」はそのような目で見られる時代になったということを認識していただきたい。

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