2010年6月28日 (月)

ビックカメラ課徴金審判決定を冷静に考える-その1

既報のとおり、ビックカメラ社の元代表者の方に対する課徴金納付命令につきましては、審判手続きの末、「違反事実なし」ということで、SESC(証券取引等監視委員会)の勧告にもかかわらず、課徴金納付命令は出されないことで決着いたしました。マスコミ各社の報道内容では、被審人が、さも取消訴訟で勝訴もしくは刑事事件で無罪判決を勝ち取ったようなイメージで捉えられております。たとえば読売新聞ニュースの見出しでは「証券監視委の拙速調査疑問-金融庁『無罪』判断」とあり、記事も「ずさんな調査だったことは否めない」で締めくくられております。

たしかに上記記事において早大の黒沼先生がおっしゃっておられるように、課徴金納付命令の勧告が出された時点において、被審人となる対象会社(対象者)は、その社会的信用が相当に毀損されることは間違いないわけですから、調査にあたってはもうすこし慎重な配慮が必要だったのかもしれません。法務省のHPに掲載されているY検事さんの紹介文によりますと、課徴金・開示検査課(犯則事件ではなく、課徴金事案について調査を担当する部署)にも検事や公認会計士の方々が配属され、立件(?)に関する指導を行っているとのことでありますので、被審人に対する適正手続き保障についての配慮も十分可能だったのでしょうね。

ただ、この金融庁の審判手続きというのは、たとえ発行開示規制違反の事実を糾弾するものであっても、犯則事件(刑事事件)を取り扱うのではなく、あくまでも課徴金処分(行政事件)を取り扱うものでありますから、どうしてもSESCさんの調査には「縛り」がかかってしまうのではないでしょうか?たとえば、現行の課徴金処分はあくまでも制裁ではなく、不当利得返還モデルですから、審判手続きも民事訴訟手続きをお手本とするものであり、また強制的な捜査権限も付与されていないのでありますから、刑事処分ほどの厳格な証拠や立証は必要ないものと解されております。(先日ご紹介した金融法務事情1900号56頁:SESC課徴金・開示課長さんの論文参照)つまり、被審人の方の違反事実を認定するためには、刑事訴訟のような厳格な立証は必要ない、という前提で調査をするのであれば、「できる範囲での立証」で勧告する、ということもやむをえないところではないかと思われます。

また、上記に加えて課徴金処分においては、刑事手続きのような「起訴猶予」は認められず、違反事実があると思えば必ず処分しなければならない、つまり課徴金処分とすべきか否かという点において、金融庁には裁量権がない、という点も問題かと思われます。調査をしても有力な証拠がないかぎりは、そのまま事件を寝かせておくことは考えられるでしょうけど、審判手続きがある以上は、最終判断は審判に委ね、とりあえずの証拠が出揃った段階では、課徴金納付命令に関する勧告は出さなければ、むしろ批難されることになるのではないでしょうか?SESCの調査段階で、あまり厳格な(慎重な)調査と、厳格な心証形成を要求することは、結局のところ金融庁が課徴金処分に裁量権を持つことを認めることになってしまい、原則の建付けと矛盾が生じてしまうことにはならないでしょうか。

さらに、平成21年2月の時点におきまして、ビックカメラ社は独立性が確保された弁護士3名が関与する第三者委員会を立ち上げ、その報告書においては、明らかに会社側に有価証券虚偽記載違反の事実が認められ、コンプライアンス体制の充実やガバナンス体制の再構築などが再発防止策として提言されております。被審人の方が、ビックカメラ社において実権を握っておられた方である以上、会社が依頼した第三者委員会報告書の内容を信頼して、元代表者であった方にも課徴金納付命令を勧告する、という流れは、迅速な処分を目標とする課徴金制度の趣旨にも合致するところであり、「第三者委員会報告書」の持つ意義からみても、そこそこ納得できるSESCさんの対応かと思います。

本件審判官の方々は、こういったSESCの調査に「縛り」があることも前提のうえで、今回の判断に至ったのかもしれません。今後、課徴金処分の持つ意味が、単に金額の問題ではなく、企業や個人の名誉・信用に関わるものであるとするならば、被審人側が争うケースが増えることも予想されるところであります。個人的には課徴金制度に審判手続きが設置された趣旨からすれば、ビックカメラ社における会計処理方針が法律上の重要な虚偽記載に該当するのか否か、という非常に重要な論点についても専門的判断を示すべきではなかったのか、という疑問が残るところではあります。しかし課徴金制度の(現実的な)必要性と、その背後にある人権保障(デュープロセス)とのトレードオフの関係が、今後の運用面における課題であることを考えさせられるような、きわめて興味深い事件ではなかったかと思う次第であります。(結局、審判の中身については-その2-におきまして、別途考えてみたいと思います)

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2010年6月14日 (月)

どうして出ない?ビックカメラ役員に対する課徴金審判決定

「もうそろそろ出るのでは?」と、4月5日付けエントリー「待ち遠しいビックカメラ役員に対する課徴金審判決定」において軽々しく予想していたのでありますが、ビックカメラの役員さんに対する有価証券目論見書の虚偽記載に関する課徴金審判の決定(金融庁)が未だ出ておりません。審判開始決定は平成21年6月26日ですから、当該審判手続きは、まもなく1年を迎えようとしております。銀行検査や、検査忌避に伴う刑事告発など、いろいろと金融庁もお忙しいこととは存じますが、審判を担当される方々は、まったく別の部門に属しておられるわけで、なにゆえこんなに時間を要するのか不思議であります。処分対象者側の事情で長引いている、ということもないと思われます。

そもそも、証券取引法改正によって課徴金制度が導入され、その処分の慎重を期するために審判手続が設置されたわけでありますが、これまで課徴金処分を課された法人、個人がその処分を不服として争ったことはなく、最近やっと味の素事件で(インサイダー規制違反ですが)否認事件に関する審判決定が下されたところであります。行政法的にみれば、この審判制度は司法制度に代替する役割を担うものではなく、あくまでも証券市場における不利益処分を迅速に解決するために設置されたものであり、審判決定に不服のある者は、その後行政訴訟のなかで、その取消を求めることが可能になっております。したがいまして、課徴金処分を争う対象者としては、この審判決定の理由を行政訴訟のなかで争うことになりますので、いかなる審判決定が出るのかは、自身の利益保護(防御権保障)のためにはきわめて重要であります。

審判手続きのルールを示す「金融商品取引法第6章の二の規定による課徴金に関する内閣府令(平成17年3月4日内閣府令第17号、以下「課徴金府令」といいます)」のなかでも、たとえば「審判官は、その職務を公正迅速に、かつ、独立して行わなければならない」(同6条)と定められており、また迅速な審理のために争点や証拠の整理を行う「準備手続き」の活用が規定されており(同30条)、さらに「審判官は、課徴金納付命令の決定をするに足りる主張および証拠の提出がなされたと認めるときには審判手続きを終結する」(同60条)とされ、もし課徴金処分の根拠となる事実が認められないときには、その旨の審判決定をしなければならない、と定められております(同61条4項)。とくに審判官は、上記課徴金府令の文言からすれば、もう当事者からの主張と証拠は出尽くした、と判断したからこそ審判を終結したわけでありまして、終結後、これまで相当の時間が経過している点をどのように理解すればよろしいのでしょうか。

上記のとおり、課徴金処分に不服のある者としては、この審判決定が出ないかぎり、どのような点に異議を申し立てて裁判を起こすべきなのか、その見通しが立たないことになります。もちろん、ビックカメラという法人自身は課徴金処分を争っておりませんが、役員個人としては有価証券報告書、届出書の虚偽記載の点を争う可能性もありますし、またそれらの書類作成に関与した、とされる点を争うことも考えられます。しかし、これだけ審判決定が出ないとなりますと、自身の主張を裏付ける証拠が散逸する可能性が高まることも考えられます(審判官から「早く出せ」と促されるわけですから、裁判と同じレベルの証拠を処分対象者側が出さなければならない、ということもいえないわけでして)。先日の味の素事件の審判決定をみると、課徴金納付命令の根拠事実を裏付けるものとして、企業内に残る電子記録が多用されておりました(電子メールや、社員の入退館記録等)。デジタルフォレンジックの必要性は、なにも摘発する側だけでなく、防御する側にもあるはずです。(ちなみに、ここでは「デジタルフォレンジック」の文言を、ハードディスクに残った痕跡から、システム利用の実態を解明する、という意味で用いております。)

審判決定に時間を要したために、こういった電子記録が散逸してしまって、原告側が裁判では提出できない、といった事態になることは考えられないのでしょうか。対審制の民事訴訟ルールが妥当する審判手続きであることから、処分対象者にとって「まったく予想できなかったような処分理由」が出ることはあまりないものとは思われますが、そもそも審判する側がこのように迅速に判断できない、ということになれば、適正手続き違反ということにはならないのでしょうか?一般に行政不服審査が遅々として進まないケースも散見されることはありますが、当該制度は上記課徴金府令に定めているとおり、関係当事者に対して迅速な審理への協力を求めているわけでありますから、当然、審理する側も、迅速性が要求されても当然のことであろうと思われるわけでして、このあたりは審判決定の中身と同様、多くの議論がなされるであろうと予想されます。

課徴金処分は、たしかに行政処分ではありますが、罰金(刑事処分)の確定裁判があった場合の按分に関する規定があり、また平成20年の改正金商法では(行政当局の裁量の余地はないものの)課徴金加算制度も設けられ、制裁的な意味合いも含むものに変容しつつあるようです。そうだとすれば、課徴金処分の迅速性の問題は、単にデュープロセス保障ということにかぎられず、憲法上の迅速な裁判を受ける権利の保障にもつながるように思われます。課徴金処分を真剣に争う処分対象者が出てきたときにこそ、この制度の本当の長所・短所が露呈することになるのかもしれません。(とりあえず、6月26日までに決定が出されることを期待しております)

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2010年4月 5日 (月)

待ち遠しいビックカメラ元役員に対する課徴金審判決定

先日、味の素社員によるインサイダー取引に対する課徴金審判決定が出されまして、その内容を精査いたしますと、わずかばかりではありますが、違反行為に対する金融庁の立件方法が垣間見えてきて、たいへん興味深いものがありました。先日もご紹介したように、デジタルフォレンジックの重要性や、社員のインサイダー取引摘発及び立件に対する会社側の協力体制の重要性なども考えさせられるところがございます。この事件は納付命令(行政行為)に対して取消訴訟が提起されたようですので、今後は裁判所で争われることになります。(ちなみに味の素社の株式交換の相手方だったカルピス社の社員の方については、すでに争わない旨の答弁書が提出され、課徴金納付命令は確定しております)

ところで、もうそろそろ審判決定が出てもいいのではないか、と思われるのがビックカメラの元役員の方に対する課徴金納付命令に関する否認審判手続きですね。有価証券報告書(正確には同社報告書に基づく目論見書)虚偽記載事件についての1億2000万円余りの課徴金納付命令が勧告されているものであります。上の味の素事件の終結直後である3月17日ころに審判手続きが終結しておりますので、今週あたり決定が出るのではないでしょうか。ただ、味の素事件の審判期日が4回に対して、ビックカメラ元役員さんについては6回開催されておりますので、事案の争点および事実認定とも複雑なのかもしれません。また、法人たるビックカメラ社は、すでに事件について争わない旨の答弁書を提出しておりますので、これが元役員さんの審判にどのように影響を及ぼすのか、このあたりも気になるところであります。(果たして法人たるビックカメラ社は、創業者である元会長さんにとって不利益となる証拠を積極的に金融庁に提出しているのでしょうか?このあたりは大いに悩ましいところではないかと。。。)

ただ弁護士として、本当に取り扱ってみたいのは、インサイダー取引事件にせよ、有価証券報告書虚偽記載事件にせよ、クロかシロか、を審判や裁判ではっきりさせることよりも、刑事事件として起訴相当と思われる事件をなんとか課徴金納付命令事件(行政処分事件)に落とせるのではないか、という事案でしょうね。クロかシロかを争うことよりも、よっぽどこっちの方が難しい仕事ではありますが、行政事件を取り扱う弁護士としてはやりがいを感じるところであります。おそらく刑事事件と行政処分事案とでは、行政当局での組織も変わってくるでしょうから、相当に困難が伴うかもしれませんが、当事者にとっては最も切実な局面でしょうし、それゆえにプロとしての弁護士の力量が問われる最大の場面ではないかと。現実問題としては、証券取引等監視委員会に出向経験のある(現場感覚を持ち合わせた)法律家が、この分野ではもっとも能力を発揮できるのではないでしょうか。当局にとりましては市場の健全性確保のためにリスク・アプローチの手法で事件処理に臨まれるわけですから、「前例がすでにある、ごくごくありふれた事案」なのか「たとえ検察庁と全面協力してでも、世間に示しをつけなければならない事案」と考えるのかは、やっぱり中にいた人の感覚でないとわからないところもあるのではないか、と思われます。

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2010年2月 4日 (木)

金商法上の課徴金と「会社の損害」(ビックカメラ株主代表訴訟へ)

ちょうど1年前の2009年2月2日に「ビックカメラ過年度決算訂正と社外取締役の苦悩」なるエントリーを書きましたが、そのなかでビックカメラ社による長年にわたる不適切な会計処理に関する課徴金処分との関連で、「おそらくビック社は上場廃止にはならないのでは」といった意見を述べておりました。同時に、課徴金処分が課された以上は、ビックカメラの法人に刑事罰が課されることはなく、もし制裁的な意味を必要とするのであれば、それは法人の役員らに対する民事賠償請求に委ねられるのではないか?といった感想も付記しておりました。

ところで朝日新聞だけが報じておりますが、やはりビックカメラ社の一部株主の方が、このたび旧役員9名を被告として、株主代表訴訟を提起することになったようであります。(朝日新聞ニュースはこちら)元会長さんは現在も課徴金処分を争っておられるようですが、法人としてのビックカメラに対する約2億5000万円の課徴金納付命令についてはすでに確定しております。報道によると、この課徴金自体が会社の損害であるとして、利益水増し分に対する過払い課税額20億円と併せて、その賠償を旧役員に求める、という構成のようであります。ちなみに、この旧役員のなかには、監査役さん3名も含まれていると、(噂で)お聞きしておりますので、またまた監査役さんが訴訟で「粉飾見逃し責任」を追及される事件が増えそうであります。すでに裁判になっている三洋電機社の株主代表訴訟につきましても、会計処理に問題があり過年度決算を訂正した事案でありますが、独立委員の方々による報告書では監査役さんの責任もかなり厳しく指摘されておりましたので、最近は監査役さんも「責任の分担」を(当然のこととして)求められる時代になってきたのかもしれません。

さて、ニュースの内容からの感想でありますが、まず課徴金がはたして会社の損害に含まれるのか?といった疑問が生じます。ビックカメラ社による本件報告がなされていた時代の課徴金算定には行政庁に裁量権限が存在しなかったと思いますし、いわゆる不当な利益ははく奪する・・・といった趣旨で課されているものであります。つまり、「会社が不当に得た利益なんだから、返しなさい」ということで納付命令が出ているわけですから、そもそも会社には損害はないのでは?といった疑問であります。これを役員個人に「損害」として会社が請求するとなりますと、それこそ不当な利益分が会社に戻ってくる、という理屈になりそうですね。このあたりから、報道にありますように専門家のなかでは慎重論もある、ということだと思われます。(ただ、以前、大林組の株主代表訴訟が和解で終結した際、和解金の一部は「課徴金による損害」として交付された事実があるようですね)実質的には刑事処分を課す代わりに(早期解決のために)課徴金が賦課される、という実態があるわけですし、また役員の故意・過失を問わずに形式的な法令違反の事実を捉えて法人に課徴金処分を課す、ということですから、課徴金処分がなければ刑事罰を課され、会社の信用もさらに毀損されていた、と考えましたら、少なくとも課徴金相当額を損害とみることもできそうであります。(うーーーん、でもちょっと構成上では苦しいかも・・・)なかなか金商法上の処分として賦課された課徴金相当額を会社の損害とみなすことは、考えてみると難しいもののように思えてきました。

次の問題は「関連当事者の開示」と不動産の流動化の枠組み、つまり「信託受益権の譲渡に関する会計処理」(売却処理すべきか、金融取引として処理すべきか)が不適切であったことについて、旧役員に善管注意義務違反の事実が認められるのか、という点であります。金融庁による調査の後にこそ「不適切であった」と会社自身が答弁しておられるようですが、そもそも信託受益権処理の適否に関しては、ずいぶんと以前のお話になってしまいますので、「関連当事者の開示」が不適切であったことへの善管注意義務違反が中心的な争点になってくるように思われます。(←あくまでもニュースを読んでの推測ですが・・)ところで、昨年4月にビックカメラ社が東証に提出している「改善報告書」によりますと、「連結の範囲認定のために行う子会社の洗い出しの調査方法についての不備から問題が発生した」「連結の範囲内であり、関連当事者の範囲でもある当社役員等が実質的に支配する会社に関するものが調査対象外になっていた」とあります。そもそもビックカメラ社は、平成20年に東証に上場するわけですが、そのときの上場審査において調査は不十分だった、とのこと。しかし平成18年にはすでにJASDAQには上場していたわけですから、すでに連結範囲に関する調査をする体制は当然に整えるべきであった、ということは言えないでしょうか?(このあたりの構成は三洋電機社の調査委員会報告の例を参考にしているだけですので、あくまでも推論ではありますが)ただ、これは内部統制の構築、という視点から(つまり業務執行)でありますので、取締役の善管注意義務に関するものであり、監査役についてはまた別途考慮すべきではないかと思われます。なお、ライブドア一般投資家損害賠償事件では、監査役の「会計処理に誤りがあることへの指摘」に関しては、会計監査人による第一次判断権を根拠に裁判所が(原告の主張を)一蹴しておりますので、ここでも請求原因の立て方はなかなか難しそうな気もいたします。

いずれにしましても、課徴金事案に対する株主代表訴訟は、今後増えそうな予感がしておりますので、他の事案と同様、今後の経過にたいへん興味を抱くところであります。

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2009年9月11日 (金)

金融庁・課徴金処分で初の審判期日(味の素社員インサイダー事件)

先日、ビックカメラの元会長さんの有価証券虚偽記載事件について、金融庁の課徴金事案における初めての審判期日が開催されるのでは?という報道がなされておりましたが、期日変更ということで、こちらの味の素社員によるインサイダー課徴金事件のほうが先になってしまったようです。

そもそも金融庁の課徴金制度における不服申立(事前審判制度)は、あくまでも被審人(ここでは味の素の社員の方)を保護するための制度、という建てつけになっておりますので、一般の行政手続法による行政不服審査制度とはかなり様相が違います。SESCによる暴走を防ぐための牽制機能…と表現するのが妥当ではないでしょうか?いちおう審判官3名は法曹から選出されておりますが、証券取引等監視委員会の課徴金納付命令の勧告について、被審人の言い分を聞いて、しかるべき金融庁としての決定案を考えるにすぎないものですから、SESCの勧告とほぼ同様の決定が出されることになるものと思われます。(ということで、SESC側からもとくに必死になって有力な証拠を出すこともないと思います)

ただ、被審人は金融庁の課徴金納付命令については送達後30日以内に行政訴訟を提起することができますので、代理人弁護士さんもおつきになっておられることですし、できればこっちまで頑張っていただきたいと思います。(取消訴訟なら、金融庁側からもそれなりの証拠が提出される可能性が高いと思いますし。)また、訴訟のなかで、①刑事罰と課徴金という二重処罰体系がこれを禁止する憲法に違反することにならないのか、②不正監視・是正という同じ行政目的を持ちながら、独禁法上の課徴金制度と大きな違いを有する金融庁の課徴金制度が比例原則違反(行政目的を達成するための「必要最小限度の権利制限」といえるのか)あたりを主張して、課徴金制度の法律上の位置づけを司法判断のうえでも明確にしていただければ・・・と期待しております。(とりいそぎ、備忘録のみにて失礼いたします)

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2009年2月 2日 (月)

ビックカメラ過年度決算訂正事件と社外取締役の苦悩

(追記; なんか、いろいろとご批判のメールも頂戴しておりますが、以下はあくまでも私見でございますので、投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。また、メールでの法律相談には応じかねますので、どうかご了承くださいませ。。。)

「これはちょっとひどいですよねェ・・・」「いやいや、もっとえげつないとこ、ありまっせ・・」と、昨年12月ころから噂されていた上場会社のひとつ、ビックカメラ社(東証1部)の会計不正問題でありますが、この週末の各種マスコミの報道によりますと、ビックカメラ法人自身には約2億4000万円、代表者(会長)個人には約1億2000万円程度の課徴金を賦課するようSESC(証券取引等監視委員会)が勧告(→金融庁)を出すそうであります。(日経ニュースはこちら)なお、以下は私見にすぎませんので、投資家の皆様におかれましては、有価証券取引につきましては、自己の責任においてお願いいたします。

役員個人に対する課徴金については、すでに当ブログでもとりあげました東証マザーズ上場会社の社員の方に対する約2000万円程度の課徴金処分が最高額でしたので、今回はかなり高額であります。しかし、(とくに「減算制度」の適用がない当時の事例ですから)課徴金の金額算定において金融庁に「いくらにすべきか」といった裁量権はありませんので、1億2000万円なる数字は、認定された事実が違法行為であれば、そこから法の定めた計算式によって自動的にはじき出される金額、ということになります。もし金融庁が「課徴金の金額をいくらにすべきか」をもくろむとすれば、どこまでの事実を対象行為として認定すべきか、という方向で検討することになりますが、こちらも(タテマエ上は)処分対象事実が発生していれば、それは行政庁による裁量の余地なくすべて処分する必要があることになっております。ですから、「ウソの有価証券報告書を提出しておいて、自分は保有株式の放出により、60億も儲けていながら、たった1億2000万円の罰金で済むとは」といったご意見もございますが、(1億2000万が安いか高いかは別として)これは法律に基づいて金融庁が課徴金対象事実を認定し、また金額算定したものであることをまずご認識ください。

また、代表者への刑事処分はあるのか?ビックカメラは今後上場廃止になるのか?といったあたり、ライブドア事件や日興コーディアル事件、IHI事件との比較で議論されているようでありますが、こうやって法人だけでなく、個人に対しても課徴金処分となりますと、原則として刑事処分はないですよね。(もし代表者に刑事手続を進めてしまいますと、二重処罰禁止という憲法上の権利侵害に該当する可能性がありますので。)また、発行開示(有価証券届出書)および継続開示(有価証券報告書)いずれにおいても、役員に有価証券虚偽記載に基づいて課徴金処分とする場合には、役員の故意過失は要件とされておりませんので、金融庁は形式犯として違法行為を認定できることになります。したがいまして、法人も代表者もともに「連結に関する会計処理について当局とは見解の相違があるが、これ以上当局と無意味な紛争を続けることを回避するために、過年度決算に応じることとした」なる答弁が事実上許されることになります。(これは課徴金処分を発出するにあたっての障害にはなりません。)また金融庁としても、あまりギチギチに証拠を固めることなく、会計不正についての行政的ペナルティを課すことができることになります。(このあたりが、課徴金制度がうまく機能するキモといえるものと思われます。しかし、これだけ多額の課徴金処分となりますと、没収した金員について、被害者還付のような制度も必要ではないか、といった議論もそろそろ必要ではないでしょうかね。)

さて、株主の方々には、こういった処分によってビックカメラは上場廃止になってしまうのかどうか、といったことに関心が集まるものと思いますが、もし課徴金処分が出る・・・ということであれば、私は上場廃止の可能性はかなり低いのではないかと予想しております。(いろいろとご異論はあるかとは思いますが、あくまでも私の個人的な意見であります)たしかに直前の決算期に虚偽記載によって黒字化したうえで117億円もの増資行っている点については、かなりマズイと思います。しかし、平成14年までさかのぼって決算を修正するとしても、それは本業による利益操作を繰り返していたものではなく、あくまでも不動産証券化のためのSPCの取扱いに関するものであって、計上されたのも「特別利益」であります。(また、特別利益がSPCの特別精算配当金であることは、2008年4月の中間決算書にも明確に記載されております)さらに、この特別利益が増資にいかなる影響を及ぼすか・・・という点でありますが、たしかに「金額的重要性」という観点からみれば課徴金要件たる有価証券届出書の「重要記載事実」には該当するものと思われますが、売上や経常利益の架空によるものではないことに鑑みますと(投資家の判断材料という観点から)極めて悪質・・・とまではいえないのではないでしょうか。こういった観点からすると、IHI社の過年度決算修正事例のほうが問題ではないかと思えるのですが、IHI社はご存じのとおり、特設注意市場銘柄に指定されながらも上場廃止にはなりませんでした。また、日興コーディアルについても上場は維持されました。したがいまして、極めて非難が高まる事例であることは理解できるのでありますが、私的にはどうも上場廃止にはならないように思えるのであります。(実際のところ、ビックカメラ社よりも、監査法人の責任を含めて、もっとヤバイことになっている某会社がありますよね。)

ただ、課徴金処分とは異なり、役員の民事上の法的責任問題、道義的責任問題については市場規制の手法が「事後規制(事後監督)手法」に移行しつつある現在、話はまったく別のような気がいたします。行政として、「これは問題あり」と宣言(課徴金処分)をしておいて、その後の役員の「故意過失」「損害論」などの絡む民事賠償上のムズカシイ問題は一般株主の自己責任に基づく責任追及に委ねる・・・という構図は、今後も課徴金手法が採用された場合には多用されるのではないでしょうか。ある意味「企業コンプライアンスの官民分担」だと思われます。そういえば、一昨日、東京地裁で西武鉄道株主損害賠償事件において、株主の損害範囲に関して、内容の異なる判決が別々の裁判所において出されましたが、(今後、法人に対する虚偽記載損害賠償事件において金商法上の損害規定の適用がある場合でも)こういった構図のなかで、一般投資家が法人や役員の法的責任、また監査法人の責任をどのように追及できるか・・・といった議論も進んでいくのではないでしょうか。(たとえば、最近の事例でも、三洋電機社もIHI社も役員責任を追及する訴訟は提起されているようですし。)とりあえず、刑事処分が前提とならない事例におきまして、課徴金処分だけが先行している事案となりますと、今後の法人や役員の法的責任を追及するための拠り所としては「社内調査委員会」や「社外調査委員会」における調査報告書、の占めるウエイトは大きくなりそうです。なお、ビックカメラ社のリリースによりますと、社外取締役を中心とした社内調査委員会の報告書が2月中旬から下旬を目途に(その概要だけが)公表されるそうであります。

ちなみに、ビックカメラ社の社外取締役は現在4名いらっしゃいますが、そのうち監査法人ご出身のエディオン社からの派遣で就任された方は(報道によりますと、提携解消によって、もうすぐ帰られると思いますので)別として、他の3名の方々はたいへんエグゼクティブは方々ばかりであります。どのような報告書になるのかは、(調査目的をどのあたりに置くのか、という点も含めて)非常に注目されるところではないでしょうか。現役員らの進退問題だけでなく、役員の法的責任が追及される資料として活用されることが予想される以上、その内容については法的アドバイザー含め、慎重な配慮が必要になってくるものと推測されます。また、そもそも役員の法的責任が問われる前提となる報告書であるとすれば、社外取締役らも「利益相反関係となる」もしくは「公正性に疑いがもたれる」立場になってしまうのかもしれません。(それぞれきちんと責任限定契約は会社と締結されているようでありますが、それでもやはり問題は残るでしょうね)そのあたり、この社内調査委員会の活動には、相当の苦悩が潜んでいるのではないでしょうか。

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